ウラジーミール・プロップ
何らかの損害ないしは不利益(誘惑、追放等)を与えられることから、または何かを手に入れたいという願望(王が息子に火の鳥をとりに行かせる)からはじまって、主人公が家を出、彼に呪的手段を与える与者、または求める物を見つけだすのを手伝ってくれる援助者との出会いを経て展開していく昔話のジャンルが、ここで研究されることになる。さらに敵との決闘(最も重要な形式は大蛇退治、帰還、追跡と進む。この構成は入りくんでいることが多い。兄弟たちが家に向かっている主人公を穴に突き落とす。その後彼は再び立ち上がり、難関による試練を受け、自分の国または勇の国で王位につき、結婚する。出典:ウラジーミール・プロップ著/高橋英子訳(1983)『魔法昔話の起源』せりか書房 加入礼全体に起源をもつのは次のモチーフである。
子供を森へ連れ去るか追い払うこと、あるいは森の霊によってさらわれること、小屋、売買契約、ヤガーばあさんによって主人公がいじめられること、指の切断、あとに残された者に主人公の死を示すしるしの証拠を見せること.ヤガー婆さんの炉、八つ裂きと蘇生、呑みこみと吐き出し、呪的手段あるいは呪的援助者の獲得、仮装、森の先生、術これらを較べて判断すれば、一群の加入礼が昔話のもっとも古い基盤であることが確認される。
出典:ウラジーミール・プロップ著/斎藤君子訳(1983)『魔法昔話の起源』せりか書房