ダニング・クルーガー効果
「知識や技能を持たない人が、実際以上に自分は知識や技能を持っていると思い込み」、その反対に「知識や技能を持っている人は、実際以上に知識や技能を持っていないと思い込む」傾向のこと 論文「Unskilled and Unware of It: How Difficulties in Recognizing One’s Own
Incompetence Lead to Inflated Self-Assessments(未熟と不注意:過大な自己評価へと導く自分自身の無能力を認めることが、どれだけ困難であるか)」
コーネル大学の2人の研究者の実験による理論として1999年に発表されたもので、「知識の少ない人間が、もっと知識の多い人々より自分の 方が物事をよく知っていると思い込む」現象のことである。 実験に当たって彼らが立てた仮説は以下の4つで、結果的にそれらがほぼ証明された。
1. 無能な人々は、自分のスキルのレベルを過大評価する傾向がある。
2. 無能な人々は、他者が持っているスキルを正しく認識できない。
3. 無能な人々は、自分の無能さがどれほどのものかを認識できない。
4. こうした人々も、本質的にスキルが向上するような訓練を施されれば、それまでのスキル不足に気づき、それを認めることができる。
認知心理学者のコーネル大学のデビッド・ダニング(David Dunning)とイリノイ大学のジャスティン・クルーガー(Justin Kruge)は、コーネル大学の学生に英文法、論理的推論に関するテストを受けさせた。
その結果、どのテストでも下位4分の1の成績の学生達が、自分の成績を最も過大評価しがちだと判明した。
「仕事ができない人々ほど、自分が無能であることに気づいていない。それどころか、できない人々の方ができる人々よりも自信に満ち、自分の能力に確信を持っている。実は、有能な人になるために要求される資質とは、自分が有能か無能かを判定する能力と同じものなのである」 「無能な人々は、誤った結論に到達して不幸な選択を行なうだけではない。彼らはその無能さゆえに、自分が誤った結論に達し、不幸な選択をしていることさえ気づかないのである」 ダニングとクルーガーは、この研究により2000年の心理学賞を受賞した。 バートランド・ラッセル(Bertrand Arthur William Russell)
ダニング・クルーガー効果が唱えられる以前に
「世界が抱える問題は、愚か者が自信に満ちあふれていて、賢い者が疑念を抱えていることだ。」
("The trouble with the world is that the stupid are cocksure and the intelligent are full of doubt.")
と言い表していた。