自己効力感
「人間の働きの中で、自分の持つ力を信じることほど力強いものはない」(アルバート・バンデューラ)
バンデューラの社会的学習理論の中で論じられた概念。
その人自身が実際にその行動を起こすことができると自信を持つこと。
人はあることに対して自らがそれをできる、ということに確信(80%といわれる)を持つと、行動を起こすとされる。
自己効力感があると
ない場合に比べてその行動を取る可能性が高くなる
行動することに必要な努力を惜しまない
失敗や困難に突き当たっても諦めにくい
その行動を行う場合のストレスを感じにくい
ため、結果として行動をうまく行うことができる
という考え方。
自らの成功体験や、代理経験(モデル学習)、言語による説得、生理的状態等により行動の予期(ある状況で、そのことを遂行できるという有能感)が基礎付けられるとされる。
遂行行動の達成
代理行動の達成
言語的説得
情動的喚起
の4つの情報源から導かれるとされる。
やればできる(行動すれば結果が得られる)という信念を結果予期という。
これに加えて、自分はその行動をやれるという信念(効力予期)が必要である。 高い効力予期の感情を自己効力感という。
達成欲求と成果の間には相関関係があることが明らかにされている。
人の行動は、環境、認知によって影響を受け、特に行動における自分自身の能力のとらえ方(認知)を重要視しているため、社会的認知理論というようになった。 人がある行動をとる時、その行動に関する2つの予測が働くといわれている。
結果予期
自分のとる行動によってある結果が生じるという予測
効力予期
上手く行なえるかどうかという自分の遂行能力に対する予測
この効力予期を「自己効力」という。
自分はどのくらい行動をとることができると考えるのか、自分の行動に対する可能性や自信を表したもの。
その行動をとるのにいくつの方略を持っているのかを評価したものではなく、自分が持っている限りの方略を使ってどれだけ行なうことができるかを評価したもの。
自分がどの程度の自己効力を持っているかを認識していることを「自己効力感」という。
人→(効力予期)→行動→(結果予期)→結果
自己効力は、ものごとを達成する上で重要な能力で、自己責任という西欧的価値観から生まれた考え方に基づいている。
また、社会的認知理論の前提に、次の5つの「認知能力」をあげ自己や他者の経験から成り行きを予測したり、行動をイメージ化したりするのに必要な能力で自己効力感をひきだす上で重要であるとしている。 イメージ化することができるシンボル操作能力(Symbolizing capability)
予測する能力(Forethought capability)
他者を観察することによって学ぶ代理能力(Vicarious capability)
価値観や信念などの自分自身の基準や自己評価によって行動を調整する自己調整能力(Self-regulatory capability)
分析・予測・修正などの反省能力(Self-reflective capability)