サウナをつくろう:設計と入浴法の全て
書いたサウナー:3w7ai.icon
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しかしサウナの設計で大切なことは, サウナの精神をよく理解することで, 設計者がサウナ文化的知識を持っていることが良いサウナを設計するためには不可欠なのです.
サウナにはわが国のサ室に似た要素があるように私には思えます。…サウナとサ室を同じように論じることに幾分無理があるにしても, 喫茶や入浴といった世俗的な習慣に美意識を持ち,「美学」に昇華させていった共通点は, 大変興味深いものです.
何が書いてあるか?(概要)
本全体の前半パートの約半分は「サウナを知る」ことに割かれている
サウナの歴史を含め、なぜサウナがこの世に誕生し、どのような目的で使われてきたのか
良いサウナをつくるために欠かせない前提知識となる
後半パートは事例を交えながらサウナの設計方法・作り方が書いてある
読むと何を得られるか?
サウナの作り方だけでなく「なぜサウナをつくるのか?」を学べる
それゆえに、サウナの作り方・設計の一つ一つの目的を捉えることができる
具体的なサウナの作り方・設計ポイントも細かい部分まで含めて学べる
サウナをつくるための計画にはじまり
壁・天井・床、ベンチやドア、窓や照明などストーブ・石の選び方などサウナ室の構造
サウナ室以外にも、換気や水、洗い場、更衣室、外気浴スペースなにも言及
本の要約
1.iconサウナを知る
サウナとは?
サウナ(SAUNA)はフィンランド語
ストーブの上に石を乗せて熱し、水をかけて蒸気を発生させて発汗を促す
火は力の象徴、岩や石は忍耐の象徴
燃焼という恐ろしい力をコントロールし、神聖な熱に変換する
水をかけてロウリュすると恐ろしい火は全く違った熱(蒸気)に変換され、人々の心身を癒やす 汗は人間の魂と力の結びついたエッセンスであり、人間を再生させる
フィンランド人にとってサウナ入浴は儀式であり、さながら日本が茶室で茶の湯という儀式を行うかのよう
そういう意味では、サ道は茶道に通ずるものがあるという意味でとても良いネーミング…!(というかもしかしてこの本を参考にしたのかな?)3w7ai.icon サウナの目的は身を清めるだけではない
身体を清潔にするだけでなく、身体や気分をリラックスさせることも重要
サウナの歴史
移民だったフィンランド人が道中に暖を取るために作ったのがはじまりと言われている
サウナの歴史は今から2000年程前にに始まった
中央アジアでフィンランド民族が地中にサウナをつくる(アースサウナ) アースサウナはフィンランド語でマーサウナと呼ばれる サウナのオリジナルモデルと言って良い程完成されたスモークサウナは現代もサウナ愛好家に人気 サウナで楽しむ要素を理想的な方法で備えている(熱、換気、照明、香り)
煙で芯まで温まっている余熱の石に水をかけるから、音が長く、蒸気の質が異なる
サウナは封建的な社会において時に偏見や中傷の対象だった
中世のヨーロッパでは、スウェーデンにおける発汗風呂バスツ(BASTU)への非難がフィンランドにも及ぶ 民族差別的意味合いも含み、当時のフィンランドとスウェーデンの関係を反映したもの
それでもフィンランド人は偏見を跳ね除け自分たちの入浴文化を守り通した
第二次世界大戦の最中、サウナ愛好家のジャーナリスト・医師・建築家といった人々のサウナ運動がはじまる
1950〜60年頃に登場した電気式サウナストーブにより、場所の制約がなくなり都市住宅内部へもサウナが大きく普及 世界中にフィンランドサウナ文化を広める大きな要因にもなった
フィンランドの生活文化とサウナ
サウナは神聖な場所であり、悪い霊や悪いものを追い払うと信じられていた
この本質はいつの時代も変わらず「サウナでは教会で振る舞うようにせよ」ということわざがあるくらい
サウナにはトントゥという妖精がいると信じられている トントゥは喧嘩や騒音が嫌いなので、大声を出したり罵り合ったりしてはいけない
もともとは丸太小屋での薪ストーブによるサウナが多かった
電気式サウナストーブの出現によってサウナは形を変えていった
一方で、工業技術の進歩はサウナの良さが失われたという面もある
フィンランドには150万個、3.3人に1個のサウナがある
一戸建て、集合住宅、オフィス、学校、役所、工場、船など至るところにサウナがある
国としてもサウナを守る取り組みをおこなっている
例えば、国の住宅局は政府の住宅ローンで住宅を建築する場合はサウナを付属させることを規定
フィンランドの商業サウナ(公衆サウナ)は住宅環境にサウナが普及したため減少している
日本の銭湯の減少と似ている
商業サウナの減少をコミュニティがなくなり孤独になったと嘆く人も
フィンランド人は週に2〜3回、多い人は毎日サウナに入る
一般的には家族単位でサウナに入る
男性は父親、女性は母親と入る
サウナの入浴法
フィンランドにおける一般的な入浴法はロウリュとサウナで熱気をあび、時にヴィヒタで身体を叩いてマッサージし、水浴びをして身体を洗い、最後にリラックスする https://gyazo.com/6053eba232494ba88211c21ceb4aad07
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厳密な定義はないので、自分に合った入浴方法で入ることが重要
白樺の枝葉でつくるヴィヒタは実利的な面では、痛むところをマッサージするのに良いとされている 悪霊を追い払う精神的な意味合いも込められている
サウナ後の水分補給は重要
ビールが一番人気
ただしアルコールが強すぎるお酒は避けるべき
砂糖・レモン・干しぶどう・イーストでつくられる甘い飲み物
サウナ後の食べ物は塩味が強いものが喜ばれる
身体から大量の水分が失われているため
フィンランドでは塩漬けのニシンに茹でたジャガイモを添えた料理がよく出てくる
サウナの手入れと衛生
従来のフィンランドにおけるサウナは衛生的な場所の1つだった
スモークサウナは薪を焚いている間にサウナ室内の温度が200℃に達し、煙による殺菌効果もある
人々はサウナで子供を出産したり、病気や怪我の治療をしていた
一方で現代に普及している電気式サウナストーブでは衛生を保つために手入れが必要
以下のような理由から、バクテリアなどの微生物がサウナ室内で生き続けられるような状態になっている
サウナ室内がスモークサウナのように極端に高温になることがなく、入浴していない時間は温度が下がる
サウナ室内で水を使うようになり、湿度が上がりやすくなった
日常の手入れとして以下を行う
サウナに入り終わったら換気をする
スノコ板やサウナベンチは2〜3週間に1回程度のペースでよく洗う サウナ室内の掃除は温度が下がってから行う
温度が下がらないと掃除できない菌もいるため
サウナをつくるときは、手入れしやすいサウナとして設計することが重要
床は簡単に洗えるコンクリートかモルタル、その上にスノコ板
サウナベンチは取り外しができるように
サウナベンチにはサウナマットをはじめとする布やシートを敷いておく サウナ室は年1回のペースで日常の手入れとは別で大掃除を行う
洗剤をつけてブラシでこすり、壁・床・天井などすべて洗う
ロウリュと健康
ロウリュという単語には、本来は命や霊魂といった意味がある
ロウリュを投げる目的は、サウナで快適に過ごせるようになるから
蒸気によって呼吸が楽になり、長時間いても苦しくなくなる
身体の活力を生み出し、ウイルスに対して抵抗力をつける働きがある
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石に水をかけないと湿度が不足してしまう
空気1kgあたり20〜30gの水蒸気量で止まってしまう
湿度が低いと汗が皮膚表面からしかでなくなり、汗をかいている感じがしなくなる
ロウリュがないとサウナの醍醐味である熱波を感じることができない 良いロウリュの目安は80〜90℃のときに空気1kgで40〜60gの水蒸気量 https://gyazo.com/60b61fad7bb033cf05b9d238bc834398
サウナ免疫力を高め、血行を良くするので健康に良いとされてる
フィンランドではサウナは二日酔いによく効くと信じられている
最近の研究ではいろいろな中毒症状の回復に有効という結果が出ており、ある程度効果があると思われる
一般的にはサウナ入浴後は熟睡できるようになり、深い眠りの時間が増える
2.iconサウナをつくる