メモ:現在手に入る中国SFリスト
『三体』で中国SFを知った方のために、現状手に入る中国SF・中華SFを掲載した本をリストにしました。抜けがあるかもしれませんが予めご了承ください。
それぞれだいたい手に入れやすい順に単行本・雑誌・同人誌に分けて上から並べていきます。(入手難易度はあくまでも目安です)
収録作品等、詳細は個別ページにて確認してください。
なお、「中国SF」「中華SF」および「SF」の定義はかなり広くとっています。
単行本・文庫本等
『三体』(早川書房)
劉慈欣作/大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳
長篇。
『三体Ⅱ:暗黒森林』(早川書房)
劉慈欣作/大森望、立原透耶、上原かおり、泊功訳
長篇。
『時のきざはし 現代中華SF傑作選』
立原透耶編
アンソロジー。
『金色昔日 現代中国SFアンソロジー』(ハヤカワ文庫SF)
ケン・リュウ編・中英訳
アンソロジー。
『荒潮』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
陳楸帆作/ケン・リュウ中英訳/中原尚哉英日訳
長篇。
『息吹』(早川書房)
テッド・チャン作/大森望訳
短篇集。(広義の中華SFということでご勘弁)
『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(ハヤカワ文庫SF)
ケン・リュウ編・中英訳
アンソロジー。
『2000年代海外SF傑作選』(ハヤカワ文庫SF)
橋本輝幸編
劉慈欣作/大森望・齊藤正高訳「地火」収録。
アンソロジー。
『2010年代海外SF傑作選』(ハヤカワ文庫SF)
橋本輝幸編
郝景芳作/立原透耶訳「乾坤と亜力」
陳楸帆作/阿井幸作訳「果てしない別れ」収録。
アンソロジー。
『中国・SF・革命』(河出書房新社)
文藝2020年春季号の単行本版。単行本化にあたり、ケン・リュウ「宇宙の春」が「トラストレス」と入れ替えになり、新たに郝景芳「阿房宮」などが追加。
アンソロジー。
『アステリズムに花束を』(ハヤカワ文庫JA)
陸秋槎作/稲村文吾訳「色のない緑」収録。
百合SFアンソロジー。
『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF)
テッド・チャン作/嶋田洋一、公手成幸、浅倉久志、古沢嘉通訳
短篇集。(これも広義の中華SFということでご勘弁)
『紙の動物園』(ハヤカワ文庫SF)
ケン・リュウ作/古沢嘉通訳
短篇集。
『もののあはれ』(ハヤカワ文庫SF)
ケン・リュウ作/古沢嘉通訳
短篇集。
『母の記憶に』(ハヤカワ文庫SF)
ケン・リュウ作/古沢嘉通、市田泉、幹遙子訳
短篇集。
『草を結びて環を銜えん』(ハヤカワ文庫SF)
ケン・リュウ作/古沢嘉通、市田泉訳
短篇集。
『生まれ変わり』(ハヤカワ文庫SF)
ケン・リュウ作/古沢嘉通、幹遙子、大谷真弓訳
短篇集。
『神々は繋がれはしない』(ハヤカワ文庫SF)
ケン・リュウ作/古沢嘉通他訳
短篇集。
『宇宙の春』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
ケン・リュウ作/古沢嘉通、幹遙子訳
短篇集。
『郝景芳短篇集』(白水社)
郝景芳作/及川茜訳
短篇集。
『沈黙の遺伝子』
黄序作/望月暢子訳
長篇。
『沈黙の細胞』
黄序作/望月暢子訳
長篇。
『黄泥街』(白水Uブックス)
残雪作/近藤直子訳
長篇「黄泥街」と訳者の論文を収録。
あまりSFらしいSFとは言えないものの、とりあえず広義のSFということで。
『カッコウが鳴くあの一瞬』(白水Uブックス)
残雪作/近藤直子訳
短篇集。
『蒼老たる浮雲』(白水Uブックス)
残雪作/近藤直子訳
短篇集。
『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
チャールズ・ユウ作/円城塔訳
長篇。(同じく広義の中華SFということで)
『スタートボタンを押してください』(創元SF文庫)
ケン・リュウ作/古沢嘉通訳「時計仕掛けの兵隊」
チャールズ・ユウ作/中原尚哉訳「NPC」
ゲームSFアンソロジー。
『中国SF作品集』(外文出版社)
中国の出版社、外文出版社が日本向けに日本語で出版しているSF短篇集。
中国からの個人輸入か、中国の本を取り扱っている専門の書店からでないと購入出来ない。そして異様に高い。(約7000円超)
『星雲組曲』(国書刊行会)
張系国作/山口守、三木直大訳
連作短篇集。(台湾)
『台湾セクシュアル・マイノリティ文学 2 紀大偉作品集『膜』』(作品社)
紀大偉作/ 訳
短篇集。
入手困難。
『中国科学幻想小説事始』(イザラ書房)
童恩正作/ 訳「雪山魔笛」
鄭文光作/ 訳「太平洋人」
短篇小説2作、映画シナリオ1本、評論3編のほか、魯迅によるヴェルヌ「月世界旅行」の前書きが収録されているのが特徴。
小説は70年代の作品の翻訳であり、翻訳当時ですでに20年以上前の作品。
入手困難。
「猫城記」(サンリオSF文庫、絶版)
老舎作/稲葉昭二訳
長篇。
『三体』序盤で文化大革命の犠牲者の筆頭として名前が挙がった中国の国民的作家、老舎の”失敗作”。
SF界隈ではその表紙のドギツさと内容のダメダメさ、そして作者本人に「失敗作だ」と断言されているネタ性によって、不名誉な方向であまりにも有名。
入手困難。
雑誌
SFマガジン2020年12月号
王晋康作/大久保洋子訳「生存実験」
宝樹作/及川茜訳「我らの科幻世界」
査杉作/阿井幸作訳「地下室の富豪」
劉慈欣作/泊功訳「人生」(特集の一環ではなく、連載企画として)
本号は中国SF特集第二弾で、中国のSF雑誌『科幻世界』とのコラボ特集でもあります。充実の中国SFブックガイド、立原透耶先生による特集解説など、見逃せないラインナップです。
アジア文化(亜州文化)2019年10月号(特集 王晋康SF傑作選)
「転生の巨人」井田綾訳
「夏禍帰還」浅田雅美訳
「天に替りて道を行う」上原徳子訳(誌面では泊功訳と誤記)
「失われた至宝」泊功訳
「追殺」笹沼俊暁訳
「水星播種」(中国語)
「生命之歌」(中国語、邦訳あり「生命の歌」)
「養蜂人」(中国語、邦訳あり「養蜂家」)
「終极爆炸」(中国語)
「七重外殻」(中国語、邦訳あり「七重のSHELL」)
「斯芬克斯之謎」(中国語)
座談会『王晋康作品について語る』
ほかにも評論を掲載。
文藝2020年春号(特集 中国・SF・革命)
ケン・リュウ作/古沢嘉通訳「宇宙の春」(小説)
閻連科作/谷川毅訳「村長が死んだ」(小説)
立原透耶「『三体』以前と以後 中華圏SFとその周辺」(エッセイ)
藤井太洋「ルポ『三体』が変えた中国」(ルポ)
黒色中国「監視社会を生きる人々」(ルポ)
※伴名練さんによるジョージ・ソーンダーズ作/岸本佐知子訳『十二月の十日』の書評も掲載されているので、お見逃しなく。
単行本として、作品を追加して刊行されます。
SFマガジン2020年6月号〜
劉慈欣の訳しおろし短篇を連載中。
泊功訳「鯨歌」(6月号)
泊功訳「クーリエ」(8月号)
泊功訳「2018年4月1日、晴れ」(10月号)
泊功訳「人生」(12月号)
泊功訳「繊維」(2021年2月号)
SFマガジン2019年8月号
王晋康作/上原かおり訳「天図」
何夕作/及川茜訳「たゆたう生」
趙海虹作/立原透耶訳「南島の星空」
宝樹作/稲村文吾訳「だれもがチャールズを愛していた」
ミステリマガジン2019年3月号
王晋康作/立原透耶訳「生命の歌」収録
本号は華文ミステリ特集号であり、ほかにも陸秋槎と陳浩基の短篇を収録している。
三田文学2019年春季号
王晋康作/泊功訳「プロメテウスの火」収録
本号はSF特集号であり、ほかにも川又千秋、草野原々、リチャード・コールダーの短篇が収録されている。
SFマガジン2019年4月号
郝景芳作/立原透耶訳「戦車の中」収録
SFマガジン2017年2月号
韓松作/ケン・リュウ中英訳/幹遙子英日訳「セキュリティ・チェック」収録
現代中国文学 第13号
韓松作/上原かおり訳「再生レンガ」収録
現代中国文学 第19号
飛氘作/上原かおり訳「巨人伝」収録
現代中国文学 第22号
郝景芳作/上原かおり訳「遠くへ行くんだ」収録
灯火 2017年 社会と人間
陳楸帆作/小笠原淳訳「巴鱗」収録
これ以降は入手困難な雑誌。
聴く中国語2017年11月号
程婧波作/立原透耶訳「白色恋歌」
聴く中国語2017年12月号
程婧波作/立原透耶訳「青梅」
SFマガジン2008年9月号
韓松作/立原透耶訳「水棲人」
劉慈欣作/阿部敦子訳「さまよえる地球」
江波作/阿部敦子訳「シヴァの舞」
SFマガジン2007年6月号
夏笳作/ 訳「カルメン」
SFマガジン2003年10月号
遥控作/林久之訳「アッシャ」
本号は非英語圏SF特集号で、ほかにフランス・ロシア・ドイツ・スペインの作品と紹介が掲載されています。
SFマガジン1990年7月号
張系国作/林久之訳「モノリス惑星」
張系国作/徐瑞芳訳「銅像城」
張系国作/徐瑞芳訳「通訳の絶唱」
(台湾)
SF宝石1980年2月号
童恩正作/市川宏訳「珊瑚島上的死光」
SF宝石1981年6月号(終刊号)
鄭文光作/林久之訳「鏡の中の地球」
SFマガジン1979年11月号
厳家其作/ 訳「宗教・理性・実践」
1980年前後のSF宝石、奇想天外にも中国SFが掲載されていたとの情報をSF翻訳家山岸真さんからいただきました。現在調査中です。(2020年4月11日、追記しました)
同人誌
『天球の音楽』(2018年4月刊行)
ケン・リュウの作品を収録した同人誌。
「天球の音楽」「追跡」「リアル・アーティスト」「遊糸」を収録。「天球の音楽」は私のイチオシです。
『九龍』第2号(2018年12月刊行)
潘海天作/天津一、下村思游訳「偃師伝説」収録
東北大学SF・推理小説研究会の機関誌。現在も通販形式にて頒布中。詳しくは東北大SF研Twitter(@tohoku_sf)まで。
SFファンジン2016年7月号(通巻60号)
夏笳作/立原透耶訳「瓶詰めの妖精」収録。
SFファンジン2017年8月号(通巻61号)
宝樹作/立原透耶訳「時間の王」収録。
SFファンジン2018年7月号(通巻62号)
王晋康作/立原透耶訳「養蜂家」収録。
ほかにも中国のSF小説が載っている同人誌の存在は知っているものの、性質上もう手に入る可能性が限りなく低いため省略しました。
参考資料等
中国SF・中華SFに興味のある方向けです。
『文學界』2020年10月号
評論 李琴峰「宇宙の神秘に迫る壮大な叙事詩──『三体』シリーズ」
『日経サイエンス』2020年3月号
特集 中国のSF「三体」の科学
『数学セミナー』2020年1月号
特集 3体問題と力学系
『中国科学幻想文学館』(大修館書店、上下巻)
武田雅哉、林久之著
2001年刊行と古めの本ではありますが、20世紀の中国SFを知るには最高の本です。私もこれを読んで勉強しました。
東方451~453号(東方書店)
立原透耶さんが「中華圏SFほんのさわり」という記事を3回にわたって連載されていました。こちらは最近の若手作家への言及があります。
『エクリヲ』11、12号(同人誌)
中国文学研究者・批評家の楊駿驍さんによる『三体』に関する批評が連載されています。
『東北大SF研、中国SFを大いに語る』参考資料
SFレビュアー下村思游による、2019年の京都SFフェスティバル合宿企画『東北大SF研、中国SFを大いに語る』の参考資料。東北大SF研公式wikiに掲載。
https://img.atwikiimg.com/www28.atwiki.jp/tohokusf/attach/245/113/kyofes2019_china.pdf
『#02 ケン・リュウからはじめるSF入門』
私、卜部理玲によるケン・リュウと中国SFについての紹介動画です。『三体』刊行前の動画ですので少々古びている部分もありますが、本質的な部分についてはどこよりも詳しく解説している自信があります。
https://youtu.be/k8iQP2hicm4
#中国SF #中華SF