2025年改正の概要
2025年10月16日施行の省令改正により、在留資格「経営・管理」の許可基準が大幅に厳格化された。
改正前後の比較
要件構造
改正前:「常勤職員2人以上」または「資本金500万円以上」の択一
改正後:「常勤職員1人以上」かつ「事業用財産の総額3,000万円以上」の両方必須
金額基準の対象
改正前:資本金の額又は出資の総額
改正後:事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む)
金額
改正前:500万円以上
改正後:3,000万円以上(6倍)
常勤職員
改正前:2人以上(資本金要件との択一)
改正後:1人以上(財産要件と同時に充足が必要)
本質的な変更点
「択一→両方必須」という構造変化が本質。単なる金額引上げではない
公式Q&Aで資本準備金・資本剰余金・利益剰余金は「事業用財産の総額」に含まれないと整理されている
実質的に払込済み資本金を3,000万円まで積み上げる必要がある
追加要件(AERA記事による報道)
経営経験3年以上(またはそれに相当する学位)
中小企業診断士による事業計画書の確認
日本語能力N2以上(※ パブコメ案には含まれず後から追加されたことを内藤入管庁次長が国会で自認)
統計データで見る影響規模
2026年4月〜5月の4議員質疑で、政府答弁から以下の数字が確定した。
46,781人:経営・管理ビザ在留者総数(昨年末)
41,615人:入管庁実態調査の対象(令和6年末・申請書記載の範囲のみ)
9割超:旧基準500万円付近で新基準未達(仁比聡平議員質疑で内藤次長が「概ねご指摘のとおり」と認める)
約4%:把握できたうち資本金3,000万円以上(西村ちなみ議員質疑で確定)
8.7%:日本企業全体に占める資本金3,000万円以上の割合(総務省統計局・令和6年経済センサス)
3,000万円の根拠(政府答弁)
衆議院法務委員会(2026-05-08)で初めて政府が出典を明示。
「国税庁の会社標本調査令和5年度のものでございますが、において法人の資本金階級別で欠損法人よりも利益法人が多くなるのは2000万円超5000万円以下の階級であること、諸外国の同様の制度における要件等を参考として検討し、資本金等の額を3000万以上とすることが適当と判断したものでございます」
— 内藤入管庁次長(衆議院法務委員会 2026-05-08・西村ちなみ議員質疑)
ただし、500万円要件の起源は平成12年投資経営ガイドラインで「常勤職員2名雇用に要する資金(1人250万円水準)」「当時の米韓500万円相当」を参考に設定されたものであった(内藤次長/仁比聡平議員質疑)。500→3,000万円という6倍引き上げの飛躍を埋める論拠としては不十分との批判がある。
国会論戦による事実関係の確定
4議員(打越さく良・仁比聡平・福島みずほ・西村ちなみ)が参議院・衆議院で質疑を実施。政府は「改正前の許可基準に戻すことは、現時点では考えていない」(平口洋法務大臣/打越質疑)と明言した。
法令情報
改正省令:令和7年法務省令第50号・第51号
官報掲載:令和7年10月10日 号外第227号
施行日:2025年10月16日
法律(入管法)本体の改正ではなく、省令(行政立法)として実施。国会審議を経ていない
関連ページ
出典
衆議院法務委員会 2026-05-08(西村ちなみ議員質疑)
国税庁「会社標本調査令和5年度」
総務省統計局「令和6年経済センサス基礎調査」