Münchhausen の trilemma
根據關係は以下の三つの少なくとも一つの形を取る
循環論法 (circular argument)。惡循環 無限後退 (regressive argument)
無根據な斷定 (dogmatic argument)
數理的定式化
事の集合$ V:=\{a,b,\dots\}を考へる 「事」の意味は meta 的に與へる
命題・命令・事件等
$ Vは有限集合あるいは可算集合である
二項關係$ \larr_{\subseteq V\times V}を考へる。$ a\larr bを「事$ bは事$ aに基附く」と讀む 「基附く」の意味は meta 的に與へる
被演繹・歸納・解釋・正當化等
頂點の集合$ V、邊の集合$ E=\{a\larr b|a,b\in V\}\subseteq V\times V、寫像$ \larr:E\to V\times V,a\larr b\mapsto(a,b)の組$ G:=(V,E,\larr) $ Gは以下のいづれかを必ず滿たす
循環論法。$ Gは可算長かもしれない閉道$ a_0\larr\dots\larr a_1\larr a_0を含む
可算長の場合は無限後退と考へ、有限長の場合のみを循環論法と呼んでもよい
無限後退。$ Gは可算長の道$ a_\omega\larr\dots\larr a_1\larr a_0を含む
無根據な斷定。沈點が存在する$ \exist b(\neg\exist a(a\larr b))
證明
$ Gが有限の場合に、循環論法もしくは無根據な斷定のどちらかが存在することを示す
沈點が存在すれば、無根據な斷定が存在する
沈點が存在しなければ、
全ての頂點の出次數は$ 1以上である
$ Vの濃度を$ nとする
適當な頂點を$ v_0として選ぶ
$ v_0の出次數は$ 1以上である爲、隣接する頂點を適當に選んで步道$ v_1\larr v_0を構成できる。$ v_1以降からも同樣に步道を構成し、$ \dots\larr v_1\larr v_0とできる。これには切りがない
步道の長さを$ n+1迄延ばす$ v_n\larr\dots\larr v_0。この步道には頂點が$ n+1囘表れる。$ Gには頂點が$ n個しかない爲、鳩の巢原理よりこの步道は少なくとも同じ頂點を$ 2つ含む。これは閉道の存在を意味し、循環論法が存在する $ Gが可算の場合に示す
沈點が存在すれば、無根據な斷定が存在する
沈點が存在しなければ、
任意の頂點$ bに對して集合$ \{a|a\larr b\}は空集合でない 任意の頂點$ v_0から、步道を再歸的に定義する
$ v_{n+1}=f(v_n),$ n\in\N
任意の$ v_nに對して$ v_{n+1}は必ず存在する
或る$ i,j\in\N,$ i<jに於いて$ v_i=v_jであれば、步道$ v_j\larr\dots\larr v_iは閉道であり、循環論法が存在する
その樣な$ i,jが存在しない$ v_{n+1}\notin\{v_n,\dots,v_0\}ならば、步道$ \dots\larr v_0は無限列であり、無限後退が存在する
別證明
$ Gが有限の場合に、循環論法もしくは無根據な斷定のどちらかが存在することを代數的に示す
$ V=\{v_1,\dots,v_n\}
$ Aは非負行列である$ A_{ij}\ge 0
沈點が存在すれば$ D_{ii}=0、無根據な斷定が存在する
沈點が存在しなければ$ D_{ii}>0、
$ 0<k\le nとして、隣接行列の冪$ A^kの對角成分$ (A^k)_{ii}に正の成分が存在する、卽ち蹟 (trace)が$ {\rm tr}({A^k})>0であれば長さ$ kの閉道が存在し、循環論法が存在する $ \rho(A)>0であるから、$ {\rm tr}(A^k)>0となる$ 0<k\le nが存在する
邊に label を付與して「基附く」を二種類に增やす
以下は循環論法を持つ
code:mmd
flowchart LR
a --B--> b
b --B--> a
同じ label を持つ邊のみに道を制限すれば、以下は循環論法を持たない
code:mmd
flowchart LR
a--B-->b
b--B'-->a
同じ label の邊が無限に連なる場合を無限後退と呼び、同じ lebal の邊の閉道を循環論法と呼び、label は異なってゐても出次數が 0 である頂點を無根據な斷定と呼ぶとする
道が可算長でも、同じ label の道が有限長ならば無限後退でない$ \dots\xleftarrow{B}v_m\xleftarrow{B'}\dots v_{n+1}\xleftarrow{B'}v_n\xleftarrow{B}\dots\xleftarrow{B}v_0
異なる label の邊による閉道は循環論法でない
code:mmd
flowchart LR
a--B-->b
b--B'-->a
同じ lebel による出次數が 0 でも、異なる label による出次數が正ならば無根據な斷定でない$ \xleftarrow{B'}b\xleftarrow{B}
code:mmd
flowchart LR
a--B-->b
b--B'-->a
が自明な例である
我々は頻繁にこれをやってゐる
別の理屈を持ち出す
別の分野に預ける
無限後退は無限の廣さの空閒が要る事が問題だ、と考へる。無限長の道を Cauchy 列に對應させる樣に埋め込めれば、有限の廣さの空閒で無限後退を納められ、問題ではなくなる 循環論法に見えるが、少しづつズレてゐる幾何學的な像を描く事もできる。これは無限後退である
ズレてゐる「循環」の各周囘を同一視して本當の循環論法と見做す事もできよう
事の全體が豫め與へられてゐる (論理的全知。閉包原理 (closure principle)) とは考へず、今檢討してゐる事のみが graph (構造) に載ってゐるとする 非單調論理の樣に、追加した事だけでなく既存の事も變化すると考へてもよい 既存の事を忘卻してもよい
無限後退の價値も、無根據な斷定の價値も變はろう