オキシトシン
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オキシトシン - Wikipedia
オキシトシン(Oxytocin, OXT)は、視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである (Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)。1906年にヘンリー・ハレット・デールによって発見され、1952年に分子構造が決定された。
注射剤のアトニンは分娩時に用いられる。オキシトシン経鼻薬は欧州で授乳促進の適応がある。鼻投与での自閉症の主症状の社交性の改善に対しては、偽薬と同程度である。
2つのシステインとチロシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギンで大きな環を作っており、環の中の2つのシステインのそれぞれの硫黄原子がジスルフィド結合をし、1つのシステインから3つのアミノ酸(プロリン、ロイシン、グリシン)が分岐した構造を取っている。
同じく下垂体後葉ホルモンであるバソプレッシンと構造が似ており、アミノ酸2つだけが違う。
オキシトシンには末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用がある。
末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、分娩時に子宮収縮させる。また乳腺の筋線維を収縮させて乳汁分泌を促すなどの働きを持つ。このため臨床では子宮収縮薬や陣痛促進剤をはじめとして、さまざまな医学的場面で使用されてきており、その歴史は長い。
最初は女性に特有な機能に必須なホルモンとして発見されたが、その後、男性にも普遍的に存在することが判明している。
また、視床下部の室傍核 (PVN) や視索上核 (SON) にあるニューロンから分泌され、下垂体後葉をはじめ様々な脳の部位に作用し機能を調節している。
オキシトシンの分泌調節はまだ未解明な点が多いが、エストロゲンによって分泌が増加され、オキシトシン受容体の発現を脳内で増加させることがわかっている。
オキシトシンは分娩中の子宮頸部および子宮の伸長および母乳からの乳首の刺激に応答して分泌され、PVNやSONのニューロンでのオキシトシン合成量が、血液中へのオキシトシン放出と関係していると考えられている。
何らかの刺激によりオキシトシンが分泌されると、近隣や自己細胞のオキシトシン受容体を通じて、オキシトシン合成がさらに促進される。合成されたオキシトシンはさらに近隣細胞を刺激し、オキシトシン合成量は飛躍的に上がる。このポジティブフィードバックによりある一定の量が合成されると、やがて下垂体後葉にオキシトシンが分泌される。
末梢に放出されるオキシトシンは、神経伝達物質としてのオキシトシンと違いPVN、SONのニューロンでは分泌顆粒の中で前駆体として存在する。この前駆体が視床下部から下垂体後葉へと分泌されると酵素の作用により、オキシトシンになる。このオキシトシンは下垂体後葉に刺激が伝わったときに血液中に放出される。
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