自然変換の各成分が同型射のとき、その自然変換は同型
この自然変換$ \alphaについて、
https://gyazo.com/df7fdc4ae348a79c00e71edfd0bce2e6
以下の2つは同値である
①$ \alphaは自然同型である
②$ \alpha_A: F(A)\to G(A)が各$ A\in\mathscr{A}について、($ \mathscr{B}における)同型射である ①→②
こっちは割と自然に示せるmrsekut.icon
①より、$ \alphaが自然同型であると仮定する
つまり以下のことが言える
$ \alpha:F\to Gに対し、逆射として自然変換$ \beta:G\to Fが存在する
$ \beta\circ\alpha=\mathrm{Id}_F
$ \alpha\circ\beta = \mathrm{Id}_G
https://gyazo.com/9c4388274be4ed8d822940f32f04ec2a
$ \alpha\circ\beta = \mathrm{Id}_Fが成り立つので、任意の対象$ Aに対して、
$ \beta_A\circ \alpha_A=\mathrm{id}_{F(A)}が成り立つ
同様にして、$ \beta\circ\alpha=\mathrm{Id}_Gが成り立つので、任意の対象$ Aに対して、
$ \alpha_A\circ\beta_A=\mathrm{id}_{G(A)}が成り立つ
以上より、任意の$ Aに対して、$ \alpha_Aは$ \mathscr{B}における同型射であることがわかる =②
②→①
任意の対象$ Aに対して$ \alpha_A:F(A)\to G(A)が同型射であると仮定する
つまり以下のことが前提される
$ \beta_A: G(A)\to F(A)で、
$ \beta_A\circ\alpha_A=\mathrm{id}_{G(A)}かつ
$ \alpha_A\circ\beta_A=\mathrm{id}_{F(A)}
を満たすようなものがただ1つ存在する
更に、$ \alphaが自然変換であることも前提されているmrsekut.icon
何を示せばいいのか?
この射$ \beta_Aの族$ \beta:G\to Fが自然変換になっていること
$ \alpha\circ\beta = \mathrm{Id}_Fかつ$ \beta\circ\alpha=\mathrm{Id}_Gであること
$ \betaについて着目すると、以下のような図式が書ける
この時点では、「この四角形は可換である」とは言えない(わからない)ことに注意mrsekut.icon
https://gyazo.com/927745883998d519a48f34b1fdbfd842
この四角形が可換であることが言えれば1つ目の目的がクリアになるmrsekut.icon
ここで、$ \alphaについて着目し、上図に射を書き込む
https://gyazo.com/25d8286403381079bed4457f13aba6ee
$ \alphaは自然変換なので、内側の四角形は可換である
つまり、$ Gf\circ\alpha_{A_1}=\alpha_{A_2}\circ Ff
これを良い感じに式変形すればいいmrsekut.icon
右から$ \beta_{A_1}、左から$ \beta_{A_2}を合成し、
恒等射になるある逆射どうしの合成をキャンセルする
https://gyazo.com/05e48cae2f16bc9013f0f975031bfc09
これで目的の式が得られたので、上図の外側の四角形も可換であることがわかった
故に、$ \beta: G\to Fは自然変換である
関手圏として見れば、射$ \alpha,\betaの合成が
$ \beta_A\circ\alpha_A=\mathrm{id}_{G(A)}かつ
$ \alpha_A\circ\beta_A=\mathrm{id}_{F(A)}
を満たすことも自動的に定まる
参考
p.37 補題1.3.11