著作権法のせいで国産検索エンジンができなかったという議論
@alfredplpl: さらにこの根元には検索エンジンなんですよ。日本の検索エンジンは著作権に足を引っ張られて、Googleに駆逐されたという背景があるんです。その失敗を2度としたくないと検索エンジンの人たちががんばって作ったのが第30条の4なんです。 これを調べると確かにいくつかそのような専門家意見が出てくる
Perfect10, Inc. v. Google, Inc.事件
Kelly v. Arriba Soft Corp.事件
日本は対応できなかったので法改正した
つまり、検索エンジンの事業者は、次のことができるということが条文の趣旨になります。
ロボットでサイトの記事内容を収集できる
収集したデータをリストに加工・整理できる
リストを用いて検索結果表示を提供できる
牧野 要するに、「日本の著作権法が検索エンジンをつぶしてしまった」ということなんです。著作権法では「コピーをすることについて、著作者の承諾をとらないといけない」ということになっています。
日本には1994年の段階で、「千里眼」をはじめとする、非常に高性能な検索エンジンが開発されていました。95年に僕がホームページを公開したときに、その(「千里眼」の)人たちからメールが来て、「検索エンジンを作りましたので、データをコピーして、発信していいですか」というお願いがきた。僕は、「当たり前でしょ、どんどんやってよ」と思ったのですが、彼らは、日本の著作権法にしたがって、いちいち承諾を取ってまわっていた訳です。 僕ら弁護士だって、相談されたら「やめろ」って言いますから。それが、遵法国家な訳ですよ。新しい技術の発展は応援したいけれども、どうしても手が出ない、足が出ない。
グーグルはいまではさまざまなネットサービスを展開していますが、もともとは「検索エンジン」としてスタートしました。実は、グーグルが創業したころ、日本発の検索エンジンもあったのですが、日本には「フェアユース」がなかったために、グーグルに遅れを取ってしまったのです。
これに対する批判がある
「著作権法が国産検索エンジンの足をひっぱった」という主張を嘘であると批判
2000年代前半では検索エンジンがコンテンツをダウンロードすることは黙示の許諾があった やや問題はあったが覇権争いには軽微だった
@HiromitsuTakagi: 2000年代前半では、Webの検索エンジンが検索のためにコピー(分析のためダウンロード)することは、ブラウザによる閲覧と同様であり、Webに置いた時点で、そのようなダウンロードがなされることに黙示の承諾(引用者注:黙示の許諾)があるという理解がされていた。 @HiromitsuTakagi: 問題となり得えたのは、Googleが「キャッシュ」と称してコピーを公開し始めたことで、これは著作権侵害にあたり得たかもしれないが、検索エンジンの覇権争いに影響を及ぼしたと言えるほど重要な機能ではない。スニペットも同様の問題がなくはないが、誰も問題にしていなかった。 @HiromitsuTakagi: もう一つは、画像検索が始まったとき。画像検索では画像の全部を見せるほかなく、サムネイルに縮小するとはいえ、元のコンテンツ提供者がWebに置いた時点でそのような閲覧をされることに黙示の承諾があると言えるかは微妙であった。 だが、この件で日本の検索エンジンが死んだわけでもない。
@HiromitsuTakagi: 日本の検索エンジンの死亡が確定し始めたころ、大航海プロジェクトが始まったが、今さらそんなことしてどうする?という批判が続出。革新的な検索技術を打ち出せるはずもなく、プロジェクトは制度面での解決を出口に位置付けることになった。それ自体は悪いことではなく、私も、… @HiromitsuTakagi: …私も、脆弱性発見のためのリバースエンジニアリングが著作権侵害とならないための著作権法改正に向け、若干関与した。著作権法を改正しないとそうしたリバースエンジニアリングができないわけではない。改正に向けた動きが誤解を招かないよう、やってよい(いや、やれ)ということも同時に啓発した。 「できないわけではない」が、まあやった方がいいからやれと言ったということ?基素.icon
「改正に向けた動きが誤解を招かないよう」とはど誰がどんな誤解をするの?基素.icon
@HiromitsuTakagi: 結局、脆弱性発見目的のリバースエンジニアリングの合法化改正提案は経産省から出たものの、文化審議会でボツにされたが、「法規制のせいで日本の脆弱性発見技術の進歩が止まった」などと戯言を言う人はいない。 それに対して、47条の6及び47条の7の導入を推進した人たちはどうしていたのか。
@HiromitsuTakagi: グレーゾーンがあり、実際のところ大して問題ではないが、いちおう法改正した方がいいかなというとき、法改正を進めるには、現に問題があることにしなければ、役所は動かないので、大した問題でないことを大した問題であるかのように嘘をつくことになる。役所も嘘だと知りつつ、進めることになる。 @HiromitsuTakagi: 改正という大きな善のためには、立法事実を誇張する小さな嘘は許される。役所も国会もわかっててそれを進める。だが、世論の賛同を得るためにそうした嘘が臆面もなく吹聴された場合は、改正後の戦後処理が問題となる。つまり、嘘を真に受けてしまう民が大量に発生して、いつまでも消えないのだ。 そんなの明文化されないとわかるわけないじゃん基素.icon
しかし明文化はできない
事実を丹念に追った人か関係者じゃないと分かり得ないし、追った人も陰謀論と言われるだろうね @Kazzz: 米国には「Fair Use条項」があったが、著作物の無断複製は日本以上に厳しく禁止されていた。 それまで無かった「検索エンジン」が出てきたことで、初めて議論になったわけで、グレーだったのは日本も米国も同じはず。
玉井克哉は、米国内にもいろんなエンジンがあったけどGoogleが勝ったのだからFair Useがあるから成功しているわけではないと批判 @tamai1961: グーグル創業は1998年。それ以前から、米国にも日本にも(フェアユース規定の存在などと関係なく)検索エンジンというものはあったし、ビジネスにもなっていた。またたく間にそのすべてを打ち倒したのは、ペイジ・ランク・システムに象徴される技術力と、エリック・シュミットに代表される経営力。 @tamai1961: あの会社のすごいところは、弁護士に相談などせずに「このビジネスは、全人類に利益をもたらす。それをもしいまの法律が禁止しているのなら、その法律の方が変わるべきであり、われわれが変わる必要なんかない」と割り切ったところ。最近はかなり「成熟」したようですが。 @SrockPlay 日本の著作権法が法が足を引っ張っていないということが主張できていないから
そのことと国内で規制が足を引っ張ったかどうかは別の話基素.icon
規制がなければGoogleがあったかどうかはわからないが、ないよりは芽があることは確実だから
検索エンジンと著作権 三浦 基/小林憲一
ネバダ地裁で行われた裁判の原告はブレーク・フィールドという弁護士である。彼は自分のサイトに掲載した自作の詩をグーグルが利用者に「キャッシュ」で提供したことに対して,著作権の侵害であるとして裁判を起こし,法廷損害賠償として1作品につき5万ドル,合計255万ドルの賠償と,「キャッシュ」の差し止めによる救済を求めた
わが国の著作権の考え方に従えば,検索エンジンの場合は,この公衆送信権および送信可能化権を侵害している可能性があると考えられる。この公衆送信権が定められていない米国においても著作物の複製頒布の許諾は著作者に帰属するから,検索エンジンの「キャッシュ」サービスは法的に見て,非常に微妙な問題を抱えていることは誰の目にも明らかである。 判決は,フィールドの訴えを退けた
その内容は,次のようになっている。
1)グーグルは直接侵害を犯していない。
2)該当作品の複製頒布に関して「黙示の許諾」を有していた。 3)原告のフィールドは禁反言により著作権侵害請求を禁じられている。 さらに,この損害賠償請求は5)デジタルミレニアム著作権法512条(b)の「システム『キャッシュ』」に関するセーフハーバー条項により免責される。