黙示の許諾
implied permission
著作権法上明文で規定される規範ではなく,裁判所が採用する法理論に補充的に組み込まれて適用される法原則である
例えば,当事者の意思表示のない契約事項が問題となるとき,慣習,任意規定又は信義則を基準として,黙示の合意を適用して補充的に契約事項を解釈することがある(最高裁判所第一小法廷過払金返還請求反訴事件平成10年(オ)第1465号)。 表記揺れがあるが全部同じ意味
「黙示の同意(合意,承諾,承認)(implied consent)」
「準契約(quasi-contract, implied-in-law contract or constructive contract)」
「包括的同意(comprehensive agreement)」との異なる表現で呼ばれることもある。
法律概念「準契約」の起源をローマ法(Romanlaw)に見ることができ,近代法律体系の一部にも見られる概念である(wikipedia)。
著作権法上「著作物利用の黙示の許諾」とは,
一定の団体内又は組織内で利用され又は改変される著作物の利用又は改変に対して,著作者が異議を唱えなかったときに,
相手方がその利用状態又は改変状態を信頼して,さまざまな行為を行い,
その後,著作物の利用又は改変の撤回を求めると,
その著作物に著作物性があったとしても,正義に反する結果を招来する状態を法律上拘束力のあるものとして取り扱う法理をいうものと解される。
このような著作物の利用状態が確立されると,著作物の利用又は改変の撤回を求めない事実を相手方に信頼させた創作者は,その著作権に基づき著作物の利用又は改変の撤回を求めることはもはや許されない。
即ち,著作者が異議を唱えずに,一度著作物の利用状態が確立した事実は,著作物の利用を黙示的に許諾したことを意味する。
利用状態が一度確立された後に,著作者がその著作物の利用又は改変の撤回を求めることは,黙示的許諾に対する禁反言となり,許されないと判断される 著作権侵害訴訟事件では,基本的に著作権の効力を制限する規範として,裁判所が「著作物利用の黙示の許諾」を判示する多くの判例が見られる。
黙示の許諾が認められる可能性が高いと思われる著作物の例は,下記の通りである。
(ⅰ) 著作者から提供されて,特定の団体内又は組織内で利用され又は改変されたことに著作者が異議を唱えず,当該団体内又は組織内で利用状態又は改変状態が信頼されて,さまざまな行為が行われるに至った著作物。
(ⅱ)特段の使用制限が主張されずに著作者から提供されて,特定の団体内又は組織内で利用又は改変されることが想定される著作物。
(ⅲ) 何人も自由に無償でアクセスできるサイト上に表示されかつ複製(プリントアウト)されることが想定される情報。
(ⅳ) 商品購入検討のため,複製,回覧又はメール送信が想定されるサイト上に表示される商品広告。
(ⅴ) 何人も自由に無償でアクセスできるサイト上に表示されて紙面上で読むため複製(プリントアウト)されることが想定されるニュース記事や論文等。
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