日本版フェアユース
なぜフェアユースが重要か
導入の課題は?
この50年間の著作権法を取り巻く最大の環境変化はデジタル化の進展だった
デジタルアーカイブ化する際の大きな障害が孤児著作物(Orphan Works)問題 デジタル化するには著作権者の許諾を得なければならないが、著作権者が分からなくては許諾も取れない
フェアユースは有効な孤児著作物対策であると同時に、強力なイノベーション促進策
アメリカ1998年に著作権の保護期間を70年にしたが、孤児著作物が大幅に増えた
2000年代に2回、孤児著作物を利用しやすくする法案が提案されたが通らなかった
欧州デジタル図書館計画につながる
EUは孤児著作物を利用しやすくする法令改正
2008年 孤児著作物指令
2019年 デジタル単一市場における著作権指令
加盟国間の著作権制度の差異をなくし、オンラインコンテンツへのより広いアクセスを可能にする指令
2015 アメリカ議会図書館著作権局が拡大集中許諾制度を創設するパイロットプログラムを提案するも反対多数で立法断念
パブコメで反対が賛成の5倍あり、反対の半数がフェアユースで対応できるとした
韓国
2011 フェアユース規定導入
2021 拡大集中許諾制度の導入を含む著作権法の全面改正案が国会に提案
これ通ったんかな?基素.icon
Google ブックスで筆者の名前を検索すると、国会図書館の蔵書検索データベース「NDL-OPAC」で検索した場合の数十倍の件数がヒットする。日本語の書籍ですら母国語の国立図書館の検索サービスが、米国の一民間企業のサービスに劣るという事態は国の文化政策上も問題である。
日本でも「知的財推進計画」の提案を受けて、日本版フェアユースが検討された 2008年ぐらいに議論されている
日本版フェアユースは権利制限規定の最後に「以上の他、やむを得ないと認める場合は許諾なしの利用を認める」という受け皿規定を置く方式。
この規定の導入を検討した末、2度にわたる著作権法改正が行われたが、2度目の2018年改正でやっと実現したのが、一番右の「著作物の表現を享受しない利用」。これによって、AIに著作物を読み込ませるのは可能になったが、人が著作物の表現を享受するような利用まではカバーしないため、パロディなども未だに認められていない。
https://gyazo.com/fccea9553f0c9b01747c30e6c1031a91
進歩ではある。特にAIに著作物を読み込ませることがかなりできる基素.icon
個別規定方式では権利制限規定が設けられて合法化されるまではサービスが提供できない...
一般規定方式ではフェアユースが認められると判断すれば、見切り発車でサービスを開始できる...
下表のとおり、先行企業はフェアユース判決が確定する約10年前にはサービスを開始している。
フェアユースがなければ、今やiPhone以外のほとんど全てのスマホに使われているAndroidの成功もなかったことになる。フェアユースがベンチャー企業の資本金と呼ばれる所以でもある
https://gyazo.com/692c980d34f9bb33214a3e813f482603