主張:二次創作のガイドラインのエログロ禁止条項は曖昧解釈、明快表現が便利
文章を書いた経緯
ウマ娘二次創作のガイドラインが2021/11/10に改定されたのを読んで、曖昧だと思ったし、コミュニティが「やっぱり禁止じゃないか」と受け取るのは今後のガイドライン設計において良いことではないと考えた 一方、実際に「R-18表現がNGとなりスッキリした」という人もTLにいる
自分がなぜこの表現でも曖昧だと思うのか、そして解釈はゆるいほうがよいと考えるのかを書く
主張
1. 権利者がコンテンツの利用を強く禁止していなければ、ファンは曖昧な解釈の余地があるとしたほうがよい
権利者側が線引きをコントロールするのに便利であるので双方に便益がある
2. 1を実現するために、権利者は、二次創作のガイドラインのエログロに関して禁止したい場合、非常に強い言葉で、シチュエーションを限定して明示的に禁止してほしい
同人文化に強い弁護士などの法曹と相談して練り上げるのが望ましい
例
o「性的表現は禁止である。訴える可能性がある。性的表現とはxxのような行為を指す」などと書くのが良いと思う
ちなみに、訴えないのに訴えると書くと脅迫罪になりうるのでそうは書けない
実際には訴えるのがコストに見合わないから訴えないことも想定できるため、訴えるとことがあるという程度しか書けないだろう
x「控えてください」
なぜそういう主張になるのか?
前提として、2021年現在、二次創作のガイドラインを巡っては次のような状況があると考える
制約1. 2021年現在、企業がエロ・グロを肯定するのはハードルがある
上場企業じゃなくてもおおっぴらに肯定するのははばかられる人が多いだろう
ガイドラインではある程度明文化する必要がある。ガイドラインというのは、読んで従うと事故らないということを目標にするのだから、明文化されていなければ意味がない
これからは公式がガイドラインを出すが、個別の質問には超えたないというスタイルが一般的になっていくだろう
2021年現在、まだ一般とはいえないがよくみかけるようになってきた
制約1,2から、次のような傾向が構造的に発生する
ガイドラインではエロ・グロについても書く必要がある
エロ・グロは明示的には許容しづらい
さて、権利者の中にはエロ・グロも表現としては完全には否定はしたくないという立場がありうる
OKとはいえないが、明示的に禁止したくもないというケースを想像してほしい。もっといえば「本当にヤバかったら止めたいけど、許可を出すと言質をとられてやっかいだから明治的には許可は出したくない」という想像でも良い。
代表的にスタジオカラーはそうである(と筆者は思っている)が、そのような企業の公開するガイドラインは非常に慎重に文面が構成されている。
どう書かれているか実際に読んでみよう。
エロ・グロに関わりそうなところを抜粋すると
2.本ガイドラインの範囲内において、動画、静止画(イラスト・漫画・写真など)、および小説を以下の場で公開できます。
全年齢向けのSNS一般
...
ただし、多くの方が一般的に利用し、かつ公序良俗に反しないサービスに限ります。
3.本作品への理解と尊重をもって創作してください。また、既存のファンコミュニティの活動にも敬意と理解を持って創作してください。
4.以下の表現・内容の創作物の公開は控えてください。
本作品、または他者の気持ちや名誉、考え方などを傷つける目的のもの
...
過度に暴力的・グロテスクなもの
ポルノ表現そのものを目的としたもの
その他反社会的な表現のもの
...
これを読みんでどう思われただろうか?コミケなどの成人向け二次創作を全く知らない人は「エロ・グロは禁止」と読むのではないだろうか?二次創作の作家でもそう読むかもしれない
「公序良俗に反しないサービスって言ってるし」「エロ・グロは理解と尊重がない」「ポルノ表現そのものが目的なものは控えろと言っているじゃないか」
これらは一見どれも当たり前に聞こえる
しかし、カラーはのような解釈が広まるとすぐにTwitterで補足を出した。
このガイドラインはファン活動をその内容含め【規制・禁止】するものではありません
解釈にあえて曖昧な部分を残しているのは、ファンの皆さんの自由な活動をなるべく阻害したくないという思いからです。
少し難しいことですが、一人一人で【本文】を読んでいただき、しっかり考えていただいた上で、ご自身の責任をもって活動を続けていただきたいと思います。
これは個人的に重要だと考える部分を抜粋である。繊細な言い回しなのでぜひ全文読んでいただきたい
既存のコミュニティ活動自体を認めるためにあえて曖昧な部分を設計していたことがわかる。
ここで重要なのは、これが旧来の二次創作文化の暗黙のルールを加味した繊細な曖昧さが設計されたガイドラインだということである
もし、ファン側が曖昧にかかれたものを禁止と解釈してしまうと、このような繊細なガイドラインを今後書いたとしても意味をなさず、権利者側で微妙な線引ができなくなる
したがって、ファン側は文面を慎重に読む方が全体の便益が向上すると考える。
そしてそれを実現するためには、本当にNGの場合強い言葉でNGと書く必要がある。
他の例
OK/NGが明快
NGと明示的に言っていないのは曖昧