日本の現代主婦と家父長制
現代主婦をめぐっては、次のように分けられる
前期 : 1950 年代後半から 1960 年代前半
労働市場への参入が本格化
1963 年には、現代主婦誕生の条件が整いつつあった 女性の家事が大幅に削減される傾向
現金収入の必要性 → 主婦の労働市場への参入による家計の補填の要請
それまで、地縁や血縁といった相互扶助があった家計が、労働者の稼得収入のみに頼るように
産業界からの要請
1960 年代半ば、労働力の編成をめぐる状況は大きく変化し、新たな労働力政策が必要に 婦人労働力の積極的活用
若年労働力に代わる不熟練労働の担い手として既婚女子を利用
それまでは中卒者が金の卵として不熟練労働の担当者として期待された
1960 年代半ばには、若年労働市場が逼迫
出生率の低下と進学率の上昇 (大企業が高卒を本工として採用し始めた)
家父長制の緩やかな変化
日本の場合、そもそも農村での女性の戸外労働への参加の規範がある程度残存する形で作用したのではないか
母役割の強調は継続
高度経済成長の中で、日本政府は子どもと老人の世話を含めた労働力の再生産について、社会的に負担することに消極的
極力、それをかつての家族が持っていた相互扶助機能に担わせようとした → その核が母たる女性
主体の対応
家事の時間短縮や代替可能性の増加、女性の高学歴化 → 主婦をめぐる様々な不満
家事は家事労働になっても、育児は労働化しなかった (愛の奉仕であり続けている)
家事に対しては相反する意味づけ
家事を 「労働」 と感じて外への指向を持つのと、家事労働をあくまで自分の仕事として受け入れる傾向
現代主婦の対応としては半々ぐらい
育児については、情緒的な意味づけが非常に強く、労働だと感じる主婦が日本では非常に少ない
1960 年代前半ごろに現代主婦が誕生
家事の市場化、空間的隔離の傾向の弱い家父長制、家事の労働化 → 再生産労働だけでは飽和しない主婦
労働力として主婦を求める産業化の要因、生産領域への参入を許容する家父長制、主婦が外での就労に生きがいを求める傾向 → 現代主婦の多くが就労
日本の場合、現代主婦の誕生は主婦の一般化、大衆化でもあった
近代主婦の時代は、農村が広がっており、近代主婦は都市に成立した一部の中間層だけだった
ただの近代主婦の拡大というだけでなく、その違いは生産労働への参入
関連
参考文献