日本型の近代的家父長制
日本型の近代的家父長制
男 = 生産労働 / 女 = 再生産労働という基本的な構造は欧米の近代的家父長制と変わりがない
この構造を準備したという点で、良妻賢母主義はまさに近代的な女性観
次のような特徴
役割分担を支えるうえで、夫婦愛が希薄で、母性愛が圧倒的に強い
背景等
日本の既婚女性が家の中で置かれた状況は欧米とは大きく違っていた
団系の直系線の継承が非常に重視された家族形態
女の腹は借り腹
女性は子どもを産むことではじめて嫁ぎ先で安定的な地位を得ることができた
夫や姑への忍従を余儀なくされる
はけ口は子どもに向かう
夫婦間の愛情が重視されない
夫婦愛を重要なメルクマールとして持っていた欧米の近代家族とは異なる
これらのことが、日本において母性愛が生まれ、受け入れられる理由
夫婦愛の弱さ、父系血縁のなかにひとり入れられた孤独を子が唯一守ってくれること
近代主婦の誕生以前は、日本において育児労働の担い手は必ずしもその子を産んだ母親ではなかった
当時は働く女性の劣悪な労働条件がしきりに問題とされていた時期
外で就労せずに家事・育児に専念できることは一種のステータス・シンボルとしての役割も果たした
参考文献
東アジアの家父長制 ― ジェンダーの比較社会学