日本の近代主婦と家父長制
労働力の型
イギリスはエンクロージャーによる挙家離村型の労働者の群れを前提とした
帰る場所がないため、失業などによって都市にスラムが形成されやすい → 労働問題が社会問題になりやすい
工場法などの社会政策を促す
原生的労働関係から近代的労使関係への移行が内発的に促進される傾向
対して、日本はいわゆる農村を基盤とする出稼ぎ型
帰属する帰るべき場所を農村に持ちつつ、近代産業の労働力となる
失業が顕在化しにくい (農村に吸収される)
原生的労働関係からの脱却が社会政策という明確な形では現れにくい
人口の大半が農村にあり、既婚女子が近代産業に雇用されるということが少ない
近代主婦の誕生はイギリスなどと比べて量的に限定された
女子労働の形態
初期産業化段階
出稼ぎ労働力の大部分が未婚の若年女子
近代産業セクターが未発達の段階では、低賃金の労働であることもあり、女性が賃労働者になる
6 つの分類
機械制大工業
マニュファクチュア
問屋制家内工業?
機械制工業
都市の貧民層が担う、マニュファクチュアか問屋制家内工業に基づくもの
重筋工業
イギリスでは工場法による既婚女子の撤退が近代主婦の誕生の一因だったが、日本では既婚女子の賃労働は少なかった
労働者の生活水準の緩やかな上昇が主婦の誕生の要因
都市下層
熟練労働者層
新中間層
日本型の近代的家父長制の背景
良妻賢母主義が新しい規範
従来の規範とは異なる規範として、国家的に奨励され、浸透が図られた
従来の規範
農村の既婚女性は農作業に従事するのが普通
武家の 「愚かな女」 としての女性規範
「良妻賢母」 という規範の成立の流れ
日本における近代主婦の誕生
日本でも近代主婦が誕生したが、その広がりは都市に限定されたもの
社会全体に主婦が大衆化するのは、現代主婦の段階
農業や自営業では、再生産労働はあくまでの仕事の一環だった
近代主婦が出てくるとき、初めてそれのみが切り取られて独自の領域として現れた
関連
日本の現代主婦と家父長制
参考文献
東アジアの家父長制 ― ジェンダーの比較社会学