日本の現代主婦
家族の機能のいくつかが外部に移っていき、家族が生活の維持とパーソナリティにまつわる機能のみを司るように
もともと近代主婦はそのような状況にあったが、それが大量現象として大衆化したのが現代主婦の誕生の時期
現代主婦のおかれた家族の持つ機能
パーソナリティの形成と安定
この部分の比重が増えてきている (家族の情緒化)
それを基礎から支える生活維持機能 (物質的安定)
欧米に比べると、日本では生活維持機能が強調される傾向
家族の情緒化の一方で、家事は 「家事労働」 となり、情緒的意味づけが剥奪された
1949 年から 1965 年にかけて、家事時間は大きく減少
その後、1970 年、1980 年調査では家事時間は増えている
家事が趣味化し、要求水準が上昇したと考えられる (擬装労働)
類型
1. 都市型と地方型
地域ごとの女性労働力率には大きな違いがある
生活様式の違いであり、背景としている規範が微妙に異なる
地方型では、かつての農家での 「働く嫁」
都市型では、男 = 生産労働 / 女 = 再生産労働
大都市圏の方が専業主婦世帯が多い
合計特殊出生率も、大都市圏の方が低い
第三次産業従事者比率とも強い順相関
2. 夫の収入別
夫の稼ぎが増えれば妻の有業率が下がる → 基本的には生計維持型の就労が多いことを示す
3. 学歴別
女性労働力率は、学歴が高いほど高くなる
年齢別にみると
高卒だと典型的な M 字カーブ → パートなどの生計維持型の就労が多いと考えられる
短大卒は初期年齢ピーク型 → 大卒の夫を得て経済的に安定し、専業主婦志向が強いと考えられる
大卒だと仕事を継続する割合が高い → 自己実現型の就労が多いと考えられる
専業主婦とは、高卒にとっては階層上昇を意味し、大卒にとっては桎梏 (枷) を意味する、と言える
関連
日本の女性労働力率
参考文献
東アジアの家父長制 ― ジェンダーの比較社会学