質問
良い質問とは、 正しい答えを求めるものではない。 / 良い質問とは、すぐには答えが見つからない。 / 良い質問とは、現在の答えに挑むものだ。 / 良い質問とは、ひとたび聞くとすぐに答えが知りたくなるが、その質問を聞くまではそれについて考えてもみなかったようなものだ。 / 良い質問とは、思考の新しい領域を創り出すものだ。 / 良い質問とは、その答えの枠組み自体を変えてしまうものだ。 / 良い質問とは、科学やテクノロジーやアートや政治やビジネスにおけるイノベーションの種になるものだ。 / 良い質問とは、深針であり、「もし〜だったら」というシナリオを調べるものだ。/ 良い質問とは、ばかげたものでも答えが明白なものでもなく、知られていることと知られていないことの狭間にあるものだ。 / 良い質問とは、予想もしない質問だ。 / 良い質問とは、教養のある人の証だ。 / 良い質問とは、さらに他の良い質問をたくさん生み出すものだ。 / 良い質問とは、マシンが最後までできないかもしれないものだ。 / 良い質問とは、人間だからこそできるものだ。〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則 ケヴィン・ケリーpp.380, 381 質問力の原則。自分が本当に知りたいこと x 相手が一番聞いてほしいこと。 質問する側は「聞けて嬉しい」、質問される側は「自分から普段なかなか言いにくいことを言えて嬉しい」。この2つの嬉しいのWin-Win、マリアージュこそが最高の質問。 質問がヤバいのはそれが最高のサービスにもなりうるし、最高の嫌がらせにもなりうること。問いの項目参照。 「なんで離婚したんですか」👉質問の形で嫌がらせ。
「どうして敬語使わないんですか?」👉使えという糾弾
セミナー等のQ&Aコーナーで「質問」と言いながらずっと自分の自説を開陳する自説開陳おじさん。 「中華にします?それともお蕎麦?」👉相手の意思を確認しているようで、選択肢を二つに限定してる
人は質問で様々な権力を振るうことができる。まずはそのことを徹底して自覚するべき。
相手を喜ばせるためにこそ質問を使いましょう。それが基本。
さて、質問の原則から逆算して「どう質問すれば答えてもらえるか」を考えてみる。
相手が一番聞いてほしいこと。まずはこちらから考える。
何を聞いてもらいたいか。
どう聞いてもらいたいか。
誰に聞いてもらいたいか。
何を聞いてもらいたいか
基本「成功談」でしょうそりゃ。
特に苦労してからの成功談。このストーリーを聞き出してあげるとむちゃくちゃ喜ばれる。
成功したことは本当はめっちゃくちゃ話したい。けれども、自分からは自慢になるからなかなか話せないという矛盾がある。誰か!!質問してくれ!!って相手は(ほぼ)絶対思ってる。
ここでの成功は仕事かもしれないし、趣味かもしれないし、知識かもしれないし、恋愛かもしれない。
例)「本当に素敵な旦那さんですよね」。
👉細かいことだけど、自分は基本絶対「旦那さん」のような言い方をしない。けれども、相手が「そういう価値観」なら、わざとボキャブラリーは相手に合わせる。なぜなら「質問は相手に対するサービス」だから。相手を喜ばせてナンボなのだ。 基本「成功談」なのだけど、人によってちょっとそこにアレンジがある。過去志向か、現在志向か、未来志向か。
過去志向:過去の成功をストレートに聞いてあげる、褒めてあげるのが一番サービスになるタイプ。基本はこれ。傾向としては、あんまり今恵まれてない人にこのタイプが多い。今恵まれてないので、あまりインタビューもされてない。聞かれることにすごく飢えている。
現在志向:今とにかくめっちゃハッピーだという人はその確認がしたいので、とにかく今を徹底して聞く。新婚ラブラブとかこのタイプ。「おいおいおい、旦那さんも大概だなww」とか、ちょっとツッコミ気味に聞いてあげる=ネガティブを少しスパイス的にきかせながら聞いてあげるととても喜ばれる。
未来志向:成功者に多い。過去の成功についてはもう何度も聞かれてウンザリしてたりする。めっちゃ賢いので「なんでみんな過去のことばかり聞くのか」「とっくに自分は未来を見通してるのに」って感じ。なので、これまでの成功についてはほどほどにし、むしろこれからに照準をしぼるのが正解。今持ってる戦略やアイデア、未来までつながる根本の価値観などを聞いてあげるといい。
どう聞いてもらいたいか
基本的には秩序をもって聞いてもらいたい。質問がランダムだったり、ぐちゃぐちゃだと、
答えるほうも地味に思い出したり考えたりがストレスだし非常に疲れる。
聞いてるほうが「本当に聞きたいのか」「何が聞きたいのか」という疑念も持ってしまう。
秩序をもった質問の仕方は(細かくわけることもできるが大きくは)3つしかない。ヨコ、タテ、時間。これだけ。
ヨコ:
その話題でまだ聞いてないことをどんどん聞いていくイメージ。
たとえば「理想の結婚相手」について「どういう人が好きですか」と聞くとき。「年収は?」「身長は?」「どんな性格ですか?」。「まだ塗ってないぬりえ」を少しずつ塗っていく感じかな。
基本的には次の説明する「タテ」で聞き終わったり、会話が尽きたときに発動する感じ。
タテ:
「なぜ」「どうして」「どうやって」「具体的には」でディテールを掘り下げる。
「理想の結婚相手にその年収を求めるのはなぜですか?」みたいな感じ。
どんどんどんどんなぜなぜで深くしていくことができる。
「なぜ年商が倍増したんでしょうか」👉「顧客数が増えたのはどうしてですか」👉「営業力が強化されたということですがどのようにして強化されたんですか」👉「具体的にはどのような研修を行ったんでしょうか」みたいな感じ。
すっごく重要な質問方法だし、聞き方によっては相手は自分の状況を整理してあげることになるので、単なるおべんちゃらやヨイショ以上の、最高の価値=コンサルティングの提供になるのだが、下手をすると尋問になってしまうし、「なぜ」質問は思いつかない人には思いつかないので、結構難易度も高い。なので、基本的には次の「時間」を推奨。
時間:
もう時系列を最初っから順に聞いていくという、誰でもできる、これ以上なくシンプルな質問スタイル。質問初心者にはこれを強く推奨。
「事業部門の成長、すごいですよね.....。すみません、最初から順にお聞きしたいんですが、事業部を最初に立ち上げたのはいつなんでしょうか?」みたいな感じ。「旦那さんとーー最初に出会ったのはいつですか?」。
あとは時系列で聞いていくだけ。シンプルだし、「時間順」という秩序で整理されるから、相手もすごく話しやすいし、思い出すうちに当時の感情まで蘇ってきたりするから、和やかであったり、感情豊かなやりとりになりやすい。
ただ、たんたんと流していってしまうとツルツルするので、ところどころでうなずき、驚き、話を適宜小休止するのがポイント。
カジサックの芸人に対するインタビュー動画とか見てください。基本ほとんどこれです。「最初に芸人になろうと思ったんはいつですか」「ほんで学校卒業して。その後すぐNSC入ったんすか」「相方さんと会ったのは」「ほんでいよいよ東京進出するわけですね!」。 途中で聞きたいことあれば脱線してオッケーです。むしろちょっと脱線するくらいが盛り上がってる感じになる。ただし、脱線が終わったら、必ず時系列を元の場所まで戻ること。これ、戻らない人も非常に多いから、必ず戻して!!
誰に聞いてもらいたいか
これは逆に誰に聞かれたくないかを考えるとわかりやすい。
敵対してる人や仲の悪い人、不信感ある相手からは何一つ聞かれたくない。
格下には聞かれたくない。
こちらに関心ないやつ、関心が嘘っぱちなやつには聞かれたくない。
理解してないやつ、理解が浅いやつには聞かれたくない。薄っぺらいんで。
つまり、この逆だと思わせるようにすればいい。したい質問の前段階、質問中、質問後それぞれでやるべきことがある。
事前:
つってもわかんないだろうから、要するに安全ですよアピールってこと。
匿名で特定もされない質問箱のようなサービスは、質問されてるほうもデフォルトでかなり怖いことを理解しておく。 まずはアイスブレイク。共通の知り合いや、これまでの絡みなどがあれば確認しておく。インタビュー場所などについても軽くふれてもいい。 「ランドマークタワーに来るのは久しぶりです」「あ、こられたことあるんですか?」
「以前、吉田さんのインタビュー受けてましたよね」「はいはい」「吉田さんとは仕事でよく一緒になって」
「共通のフォロワーさんにAさんいますよね。Aさんと実は....」
たとえば政治的信条やビジネス上の立場など。可能なかぎりで開示し、小さな同意を積み重ねておく。共通の地盤をつくるイメージ。
ボキャブラリーの確認。どういうジャンルならどこまでの深度のボキャブラリーを使うのかを確認し、相手と言葉の深度と粒度を合わせておく。 たとえば「ペルソナ」「コンバージョン」「KPI」みたいな言葉を使っても平気なら使う。ダメそうなら使わない。「食い尽くし系」「ファンネル」「冷笑系」みたいな言葉も、なんだかんだでネットスラング。こういうのもワード確認。 ↑こういうことができるために一番効果的なことは何かって、もう徹底的な事前リサーチでしょ。ぶっちゃけ質問は「質問するまで」が9割だと思う。
あとは自己開示。たとえば単に「離婚していいことありました?」とだけ聞くと、失礼だったり、なんなら嫌がらせにしかならないが「実は自分、今離婚を考えてるんですけど勇気が出なくて.....」と前置きしてあれば、親身に答えてあげたくなる。
質問中:
基本は「うんうん」「はあ.....なるほどなあ」などと言いながら聞いていく。相槌についてはまた今度まとめておきます。
食いつきがない人が非常に多い。食いつきってのは、簡単に言うと、話を途中で止めること。
話止めるって失礼では?って思うかもしれないけど、すごくいい話なのに驚いたりひっかからず流すほうが失礼。
「ちょwwww」「えええーーーー!?いやいやいやいや」「ごめんなさい、話途中で止めて....でも、どうしても言いたい。ありえないですって!」。
事後:
相手は人間。検索エンジンやAIではないので聞きっぱなしは絶対NG。
質問したら質問しっぱなしのやつが非常に多くて、本当に頭を抱える。他人に興味なさすぎやろ。
「ありがとうございました!」とか「本当に今日聞けてよかった....」とか。少なくとも匿名なんだからいいねやスキは押すとか。
これしないやつがどうやら人類の9割以上っぽいので、ちゃんとやるだけで上位10%です。
自分が本当に知りたいことを聞く
さて、最初の原則のもう一つの側面。自分が知りたいことを聞くにはどうすればいいか。
基本「相手が聞かれたい質問」なら↑の方法でいいので、ここでは「相手が聞かれたくないだろうが、どうしても自分が聞きたい」質問をどうするかを考える。
まず、基本的には「聞かれたい質問」を先にして、相手を気分よくさせてから/警戒を解いてから「聞かれたくないだろう質問」をする。この順序ははずせない。
クッション言葉を使って相手に事前に準備させる。突然聞きにくい質問をされると相手だってストレス。「これは聞いていいのかわからないのですが」や「答えにくければ結構なのですが」と前置きする。
どーーーーーーーーーしても聞きたいんだということを伝える。そこまでじゃなきゃそもそも聞いちゃいけない。
ここまでくると、誠実さと誠実さなんですよ。誠実さとは何か。それは「リスクをおかす」ってことです。
自分だけ安全な箇所から相手に質問だけぶつけるって、これ、そもそも卑怯じゃないですか? だから自分にとっても等量の、自分が傷つきやすい部分、コンプレックスやトラウマ、悩みや課題、言いにくいことを先に開示する。
相手はそれでも答えてくれないかもしれない。ただ自分が弱いをさらすだけかもしれない。けれども、リスク取らないと。
もしそれで相手に答えてもらったら、相手の誠実さを賞賛すること。
フォローもきちんとすること。