便秘
#臨床推論 #緩和
<2023後期間宮先生>
便秘とは、一般的に排便回数や量の減少(3~4日以上排便がないなど)とされているが明確な定義はない。
排便習慣は個人差が大きいため、これまでの習慣に比べて回数減少、苦痛を伴う場合便秘とみなす
がん患者の便秘
【鑑別】腸閉塞
• がん患者の多くにみられる
• 進行がん患者の約50%、終末期がん患者の75%にみられる
• 便秘は、食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛、不眠など、他の症状を伴うことがあり、の質を低下させる要因のひとつ
【原因】
消化管異常:腸管内腔の狭窄・閉塞、腸管外からの圧迫
薬剤性:オピオイド、抗うつ薬、利尿薬
オピオイド:耐性がつかない。μオピオイド受容体につくと、大腸蠕動運動の抑制、肛門括約筋の緊張により、水分が吸収されて便が硬くなる。それによってさらに蠕動運動が低下する
電解質異常:高Ca血症、低K血症
骨転移があるなど
全身性:全身衰弱、活動性低下、腹圧低下
食事性:食事・食物繊維・水分の摂取減少
神経因性:脊髄神経圧迫
心因性:不適切な環境、抑うつ
【問診・身体所見】(本田、2008)
排便状況、排ガスの有無
排便困難感、残便感の有無、程度 辛い、スッキリした感じ
便秘の原因・誘因
腸蠕動音の有無、程度
画像データ、直腸指診、腹部触診
これまでの排便習慣・排泄方法
患者自身の取り組み
食事・水分の摂取状況 →食事性
随伴症状の有無、程度
排便に対する患者の思い
便の種類:ブリストル便形状スケール
水の状態:GVHD
【治療】
薬物療法が主体
(原因の治療)
消化管閉塞への対応
代謝・電解質異常への対応
原因となる薬物の検索
(対症療法)
個人の排便習慣を把握して予防的に関わる
薬物療法
便が硬いとき:浸透圧性下剤 患者自身が調節できるようにする  水を引っ張ってくる
ラクツロース(モニラック)
酸化マグネシウム(マグミット)1st⇨単回の刺激
モビコール(最近使われるように。美味しくない)
硬さはよいが出ないとき:大腸刺激性下剤
センノシド(プルゼニド、アローゼン)
ピコスルファート(ラキソベロン)一日の排便量、排便間隔によって調節する。普通~軟便が2~3日に一回は出ることを目標に調節する
ナルデメジン(スインプロイク):消化管のオピオイド受容体に結合し、オピオイドに拮抗することによりOICを改善する。オピオイドの鎮痛作用は主に中枢のμオピオイド受容体を介して発現する。ナルデメジンは血液脳関門の透過性を低下させることなどを目的として側鎖が負荷され、中枢におけるオピオイド鎮痛薬の作用は阻害しにくいようにデザインされた末梢性μオピオイド受容体拮抗薬。長期のオピオイドを使うとがんになりやすい
ルビプロストン(アミティーザ) 腸管内への水分分泌を促進。小腸上皮のClC-2クロライドチャネルを活性化
リナクロチド(リンゼス) 腸管内の水分分泌と腸管輸送能を促進。腸管のGC-C受容体を活性化し、c GMP濃度を増加
エロビキシバット(グーフィス) 第腸内の水分分泌と大腸運動を促進(お腹が痛くなりやすいby間宮先生)半分にできる。
(その他)
下剤の内服方法の説明、食事内容や摂取方法の工夫
水分摂取
排便習慣
腸蠕動促進への援助 温罨法、マッサージ「の」の字、つぼの刺激:便秘点、大腸愈
便秘点 臍より1横指左、そこから3横指下
大腸愈 L4,5棘突起の間の外側2横指
腹圧を高めるような工夫、適度な運動