テント切痕ヘルニア
テント切痕ヘルニアでは,テント上の病変(脳腫瘍・脳梗塞・外傷など)により脳圧亢進が起こり,側頭葉内側の鉤回・海馬回がテント切痕部から突出して中脳を圧迫する.この際,最初に障害を受けるのは,中脳に神経核を持ち,中脳前面から前方へ走行する動眼神経である.
●病初期に的確な診断と適切な治療が行われないと,短時間で急速に症状が悪化する.意識障害が進行し,片麻痺,病的反射の出現,さらに除脳硬直が起こり,脳幹機能が麻痺すると自発呼吸は消失する.高浸透圧利尿薬(マンニトールなど)を投与し,ヘルニア徴候が現れた場合は迅速に原病巣の除去(脳腫瘍・脳内血腫の除去)による内減圧もしくは骨弁除去と硬膜形成による外減圧などを行う.脳ヘルニアの進行を抑えきれないと回復不能な状況が残ったり,死にいたる場合もある. ■テント切痕ヘルニアで影響を受けるもの
③後大脳動脈……後大脳動脈の虚血による視覚中枢および視覚路の障害で,反対側の同名半盲を示す