これで、算数科の『学び合い』は成功する!
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はじめに
算数は、国語等に比べて正解がはっきりしていて、目標(ゴール)設定がしやすく『学び合い』授業のデザインがしやすいと聞きます。反面、できるできないがはっきりしており、「教える」「教えられる」関係が固定化して、『学び合い』ではなく「教え合い」になるという悩みを耳にします。また、計算スキルの習得などの授業は『学び合い』でできるのか、課題は「〜が説明できる」でなければならないのかなどの声を聞きます。これらの諸課題に応えられる本を用意しようと考えました。
さて、本書はわたしたち編著者が「成功する『学び合い』シリーズ」と勝手に名乗っている「目標と学習と評価の一体化をベースにした『学び合い』」に関する第4弾です。今回は、国語、算数、理科、社会と一挙4冊の刊行となりました。みなさんが興味を持っている、研究されている、苦手としている教科の本をぜひ手にとってみてください。もちろん、全てを手にしていただけましたらわたしたちにとって望外の喜びです。
わたしが『学び合い』に出会い、実践し始めたのは2005年です。『学び合い』を実践し始めた当初、描いた図があります。
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『学び合い』を発展させていくにあたってのわたしなりの展望でした。
まず、これからもずっと『学び合い』に初めて出会う人は存在し続けます。ですから『学び合い』を学び始めた人に必要な本が出版され続ける必要があると考えました。図で言えば、「入口」です。
次に、それぞれの立場から考える『学び合い』の本が必要だろうと考えました。多様な角度からの『学び合い』であり、高める『学び合い』です。図で言えば「多様」「向上」です。
本書(を含めた4冊)は、この「多様・向上」を意識しています。教科ごと特有の『学び合い』授業の迫り方があります。その迫り方にしっかりと向かい合った本をつくることを心がけました。授業実践例を読むだけでなく、対談や座談会を読むことで各教科の『学び合い』授業を展開するコツがはっきりしてくることでしょう。
「多様・向上」と書くと難しく感じられるかもしれません。ご安心ください。初めて「目標と学習と評価の一体化」という考え方に触れる方にもわかりやすいようにページを構成してあります。
加えて、新学習指導要領との関連もわかるようにしてあります。日常の授業に積極的に導入できます。
そして、第2弾の本(だから、この『学び合い』は成功する!<表紙が黄緑>)は「入口」を少し先に進んだものです。第1弾の本の内容をもう少しバラエティ豊かに知りたい方にぴったりの本です。 第3弾の本(開かれた『学び合い』はこれで成功する!<表紙が黄色>)は、包括的な本です。「目標と学習と評価の一体化」の考え方を外へ広げていく、繋がっていく考え方や方法を提案しました。心地よく『学び合い』を実践し、広げていくための参考書としてつかえます。 これらの本が皆様の役に立ち、目の前の子供たちと共に、豊かで安心できる未来を創っていく助けになることを応援しています。
目次
序章 目標と学習と評価の一体化は「主体的・対話的で深い学び」
1.「神業」を目指す教育から「人間業」を磨く学習へ 5.AL(アクティブ・ラーニング)デザインシート
6.AL(アクティブ・ラーニング)デザインシートの書き方
第1章 算数科の『学び合い』の特徴って何?(対談)
『学び合い』=問題解決型の授業ではない
子どもの可能性を信じられるかということ
「説明できる」の本質を考えること
多様な『学び合い』の広がりを求めて
全員に向かってまとめる時間は必要なのか
第2章 算数科の『学び合い』授業の実際
1.低学年の『学び合い』授業実践事例
多面的な見方を伝え合うことでみんながわかる授業
自分たちで目標をたてて、かたちをつくろう
「図入りオリジナル問題」の求め方を説明しよう
テープ図を使って考えよう
2.中学年の『学び合い』授業実践事例
わり算を考えよう
計算が簡単になるよさを見つけ、説明しよう!
広さを調べよう
説明の仕方を考えよう
3.高学年の『学び合い』授業実践事例
高さがわかる図形に変えて面積を求めよう
合同な平行四辺形を作図する方法を説明しよう
プロ野球選手の投げる球って本当に速いの?
同じ形はどれ?
第3章 算数科の『学び合い』授業のポイント(座談会)
低学年の算数科の『学び合い』の特徴とは
低学年のうちに会話活動をたくさん経験するのがいい
「対立」は「一人も見捨てない」と矛盾しない
中学年での『学び合い』がつまずきの差を解消するチャンス
わかった、できた、は個別的。だからこそ『学び合い』
『学び合い』は子どもたちに丸投げする授業ではない
事前に目標を確認することで予習をする子が増える
『学び合い』は働き方改革にもつながる可能性がある
結果を区切ることの重要性
高学年の『学び合い』では「教える・教えられる」が固定される?
1.「目標と学習と評価の一体化」が当たり前になっているすごさ
5.選べるって民主的
6.学校の常識を改め、社会的になろう
7.生き物は皆、多様性の中で生きている