全体的なデザイン
【基本】
基本は「守破離」。まずは「型」を習得する。型の習得は徹底的な反復である。まずはその表記の方法を知り、身につけることを目指す。そのために幅広い教科でできれば毎日でも、何度も活用するタイミングを作り、試行錯誤の様子を観察してフィードバックする。そういう指導ができるようなアイディアを示す。
【入門】
概念の紹介。
アイスブレイク的なゲームでQNKSの概念が使えるものがあるので、それを使ってQNKSを体験するのもあり。
【初級】
Qは「何が書かれているのだろう」とし、NKSの練習をする。社会で導入し、国語に展開する。
QNKSで文章を読む活動は、文章中のキーワードを抜き出し、つなぎ合わせ、要約文として整理することを求めるため、文章を理解するという目的でありながら、文章産出のためのプロセスも同時に学べてしまっている。国語科ではさらに明示的に文章の構造的な知識について学習すれば、より良い論じ方も身につけることができる。 #文章の基本的な構造についての指導資料 【中級】
社会や国語で文章化までのプロセスと論理の形を学ぶことで文章産出に挑戦できる。ここでQが出現する。初めは国語や社会、道徳の教科書に載っている問いをQとして、教科書にある情報をN、Kして答えとして整理していく。これはまだ「正解のある文章産出活動」といったところ。
そこから #国語科の幹 によって、文章産出の自由度を上げる。週末課題などにこれを使えば文章産出の経験量を爆発的に増やすことができる。またこれは、単元末テストとしても活用可能であり、底と連動させることで週末の課題の意欲づけにもなる。 #QNKS小論(9月〜 慣れてくればQを産出するためのQNKSというものに挑戦する。NKSを十分に働かせるためのQとそうでないQがあることに気づく。たとえば「鎌倉幕府を作ったのは誰ですか」というQか、「動物園の動物と、野生の動物ではどちらが幸せか」というQかでは、NKSの充実度が違う。大きく分けると正解があるかないか、でわけられるわけだが、正解のないQでもその質には幅がある。「より楽しいQを探そう」という活動から、「問いの深さや広さ」といった概念を獲得させていく。問いづくり的な活動。
【上級】
その過程が終われば問題解決のためのQNKSとつなげることができる。導入は社会がやりやすいであろう。この指導の流れでは社会は未だにNKSの段階で止まっている。そこにQを付け加えるとはどうすればいいのか。単純に自分が作った単元の論理構造図に自分なりのQを付け加えていくという活動である。まずは「Q」をNする、という意識だ。それが終われば、思考課題としての「Q」として錬成していく。これができれば、先程の国語科の幹に統合していける。これを課題として、週末にNKSをしてくるということが可能になる。 まだここまでは「調べ学習」の雰囲気が強い。ここから「探究的な学び」へとつなげるには「けテぶれ」の概念が必要になる。QNKSが担えるのはあくまでも「仮設立案」や、「現象の解釈」といった机上での思考操作領域のみである。現実世界の問題を解決するには、思考結果をもとに「試行」する過程が必要不可欠だ。つまり、仮設に基づき、「計画」をたて「テスト」をしてみて分析し、改善するために「練習」をする。「探究的な学び」にはこの「試行の過程」が必要不可欠である。(もちろん、試行している最中にも思考は働いている。だからけテぶれの各過程においてもQNKSは有効に使うことができる。計画をするためのQNKS…といった具合に)
やりやすいのは「会社活動」などであろう。会社を設立し、クラスの問題点QNKSで見定め、計画実行振り返り改善というけテぶれサイクルを回す。週1回の学級会では、活動の振り返りと次週の計画をQNKSでまとめる。
このような「探究的な学び」を構想するのなら、ここまで述べてきたQNKSをテーマにした学習とともに「けテぶれ」をテーマにした学習も並走させるべきである。QNKSは主に国語と社会における展開を構想してきた。それに対して「けテぶれ」は算数や理科で強調しやすい。こうして4教科にわたって汎用的で教科横断的な概念の獲得と深化を測る。
【番外編】
総合的な学習の時間。ここで「けテぶれ✕QNKS」を存分に発揮して総合的な学びを生むことができる。
国語算数理科社会は基礎。そこで培った力を総合で発揮する。
このシンプルな構造は、今まで教科コンテンツをどう連動させるか、という視点でとどまっていたためにうまくいかなかった。ごん狐の学びと、海洋汚染の学びを無理やりつなげようとしても、不自然さを生むだけである。
本稿で提案しているのは、始めから連動している概念を教科の学びの中で再現し、徐々に身につけていくとくプロセスである。始めからつながっているのだから、それらを身に着けていけば自然と連動し始める。
教師が用意すべきは、活用の機会と徹底的なフィードバック。