文章理解のためのQNKS
QNKSとは「問いを立て、(情報を)抜き出し、組み立て、整理する」という思考のプロセスの頭文字をとった用語である。この概念を最も簡略に図式化すると下図のようになる。(図1)
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Q:この文章には何が書かれているのだろう
読解を開始するにあたって始めのQは単純に「この文章には何が書かれているのだろう」でよい。読解が進むに連れてこのQは「この時の登場人物はどんな気持ちなのだろう」とか「この具体例は何を示しているのか」など、細かく更新されていく。
N:キーワードの抜き出し
問いが見いだされたのなら次は[情報の抜き出し]である。文章に書かれている単語や1文ごとの意味を理解し、キーワードになると思われる要素を抽出していく。(表1)
K:集まったキーワードの構造化
情報が集められたのなら次は[集まった情報群の構造化]が求められる。単に箇条書き的(もしくはネットワーク的)に羅列された情報群を、論理関係に基づいて配列したり、関係性に基づいて分類したり、重要度に基づいて取捨選択したりしながら、情報群を構造化し、文章全体としての意味構造を構築しようとする。(図2)
S:他者に伝わるように整理する
構造化は #整理された状態 を目指して行われる。ここで「整理された状態」とは、“何も知らない他者がみても意味構造を理解できる状態”と定義する。その状態を表現するための形式は要約的な文章であったり、図表であったりする。この状態を目指す理由は、誰にとっても理解しやすい状態とは、自分にとっても理解しやすい状態であるからである。他者を想定して情報を伝達しようとすることは、翻って自分の認識構造を最適化しようとする行為につながると考えている。(図3) S→Q:問いの深化よるスパイラル的進行
この段階まで行くことができれば思考過程が一巡する。次の矢印は #深化 という用語を挟んで再び「問いを立てる」につながっている。読解過程は一巡して完結するものではなく、一巡目に構築した理解構造からさらなる問いを生み、二巡目三巡目とスパイラル状に連続していくものであると考えられる。よってQNKSモデルでもそのことを表現した。 各過程をノートに外化しながら行う
実際のノート例でも示したとおり、これらの過程を子どもたちはノートに外化しながら読解を進めていく。外化することで自身の理解構造をメタ的に理解しやすくすることと、各過程で書くべき図の「型」の獲得を狙っている。QNKSなど新たな概念や方法の習得を目指す初期の過程では、「正しい方法」を確実に身につけようとする反復練習が重要である。その反復練習を生むためには、「型」が必要であり、それを明確に提示することで反復練習が可能となる。そのためにQNKSのNでは、箇条書きやマインドマップのような表現を、Kではボーン図のような表現を使用するように指示している。ここを確実に抑えた上でSでは、「わかりやすい表現の選択」を求める。「正しい方法」の上に、「自分の判断」を乗せるといったイメージである。
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