自然主義入門
著者: 植原 亮
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目次
はしがき
第1章 自然主義の輪郭
1 ノイラートの船
2 異星人の科学者
3 心をめぐるふたつの比喩
4 合理論的生得説と自然主義の課題
本章のまとめ
第2章 道徳と言語のネイティヴィズム
1 道徳判断と道徳的価値観
2 道徳生得説の課題・動機・方向
3 言語生得説
4 道徳文法学派
本章のまとめ
第3章 味わう道徳、学ぶ道徳
1 感情の不可欠性
2 ハイトの道徳基盤理論──感情主義的な道徳生得説
3 道徳の経験主義へ
4 道徳から心へ
本章のまとめ
第4章 生得的な心は科学する
1 心の発達と生得説
2 カントと生得説と科学の起源
3 帰納・生得説・本質主義
4 モジュール集合体仮説と進化心理学
本章のまとめ
第5章 経験主義の逆襲
1 生得説批判─進化とモジュール
2 生得説批判─発達心理学の知見を飼い馴らす
3 抽象概念を学ぶ──数と論理
4 言語生得説に挑む
本章のまとめ
第6章 ふたつの心とサイボーグ
1 二重プロセス理論
2 調和の試み
3 理性の由来
4 生まれながらのサイボーグ
本章のまとめ
第7章 善き生・工学・道徳的進歩
1 生物‐文化的人工物としての道徳
2 自律性と道徳の制御
3 規範の探究
4 人間は道徳的に進歩するか
本章のまとめ
第8章 疑いとア・プリオリ
1 懐疑論からの挑戦
2 懐疑論に部分的に応答する
3 懐疑論の土俵にあがることを拒否する試み
4 若干の補足と今後の課題
本章のまとめ
第9章 自然化する哲学──存在と方法
1 存在論的自然主義
2 方法論的自然主義
3 あるメタ哲学的な展望
本章のまとめ
文献案内
あとがき
事項索引
人名索引
コラム
①遺伝子と生得性
②素朴心理学
③消去主義
第1章
第2章
生得説
道徳文法
第3章
第4章
それ以来、スペクトラムの間での綱引き・線引きが論争になってる 嬰兒・幼児の生得説
「刺激の貧困」論法
要は経験しようがなかった
生得大学のアナロジー
科学諸科目の起源
疑問、(素朴)数学も生得的?wint.icon
5章で扱う
科学は帰納か?
もとからある本質。それによるグループ。
科学を自然種の探索として再定義する。
帰納が使える
科学の基
しかし障碍にもなる
e.g. 移行: 素朴生物学 → 科学的生物学
仮説: 認知機能は生得的なモジュールからなる
適応的な利点があっただろう
比喩: スイスアーミーナイフ、十徳ナイフ
現代生得説の自己理解の姿勢
強力
経験論は不利か?
第5章 経験主義のターン
適応の前提に疑義を差し挟む
環境は安定していたか?
e.g. 気候変動
e.g. 集団の大規模化
領域一般的な学習機構を進化させただろう
抽象概念
数学
論理
e.g. 真理、否定、同一性
vs 推論のスキルという見方
→少なくとも、経験主義の弱点とは言い切れない
汎用学習メカニズムの根拠
e.g. 深層学習
vs 言語生得説
「刺激の貧困」論法
↔ 4年は長すぎる
↔ 臨界期は言語に限られないのでは?
短期記憶の拡大にともなって、かえってルールの学習を阻害するため 言語人工物説
論者
マイケル・トマセロ
注意の操作、意図の共有
反論
第6章
調和の試み
圧勝はないので、中庸で行く
上の候補
比喩: オートモード、マニュアルモード(カメラ)
対応
モジュールなど
ただし経験もある
意識的注意
ワーキングメモリーの必要性
合理論的生得説の根拠によく合う
道具としての言語
会話ツール
思考ツール
思考ツールの進歩、発達
発語で自分に指令する
由来
言語的思考←公共言語
特徴2つ
明示化可能
言語による説明
普遍性
公共言語の公共性
正しい発達順序
公共言語→システム2→理性
例
マインドウェア
外付けデバイスも
協調して機能する
ステレルニーの異論「外部の足場で十分」
人間の独自性
e.g. 理論の専門家も外的足場を使う
科学的探求
システム2の負荷をオフロードできる
メタ思考のためのツールもある
サイボーグへの進化の一歩で十分だった
集団としては?
自己改造の共同事業
しかし集団的で大規模だ
→技術的共生体
第7章
ここまではヒトの記述的な話題
事実について
再確認
道徳
個人の発達
個人から社会、国家へ
e.g. 裁判、司法制度
思考ツール3種
日常表現
抽象概念
規則と原理
道徳は生物−文化的人工物
自然化された
規範について
いかに高めるか
脱バイアス
モード切り替え
心の理解
つまりシステム2の強化
コスト・ベネフィットは釣り合わない?
候補
批判
スポイルしてるのでは?
規範
問い
道徳の制御と改良
工学的問題の解とみなせる
規範性の自然化
工学
記述→規範
可能は規範の必要条件
アプリオリズムの否定の根拠
ここで再確認
道徳はア・プリオリなのか?
形而上学、あるいは神を根拠にするつもりか?wint.icon
事実にもとづく必要性は否定できない
この意味で自然主義
道徳的進歩
歴史的に進歩したのは事実?
論者
制度的な進歩を語る
外的足場の改良
集団的 or 個人的
構造物という観点
進歩の根拠は?基準はあるのか?
自己言及の問題があるwint.icon
余地
道徳にも外部はある
観点の例
整合性
正確性
一般性
効用
疑義2つ
感情?
外部でなく内部?
スティッチによる
そもそも道徳とは?
第8章
循環論法に注意
メタな問い
科学を含めた知識への疑義
2種類
ローカル
帰納への疑義、帰納懐疑論
グローバル
あらゆる知識への疑義。ヒトはなにも知り得ない
間違いからの議論
古典的な議論
→懐疑論がアプリオリズムを要請している
当然アンチ自然主義
応答
クワインの議論
そもそも外部になど出られない。疑問も生じない。(日常)科学の内部から来た疑問にほかならない。ひとえに成功による。
ノイラートの船から降りられない
自然化された認識論
ノイラートの船のコア
科学と哲学は連続したスペクトラムだ
歴史的継承性
自然化された認識論
認識論を科学的にやる
経験論が不可避なため
「なぜヒトは…」
帰納的推論が信頼できる条件を探っていく
課題
価値のズレ: 生物学的、科学的
グローバル懐疑論者からの再批判
前提: 水槽の脳では?
帰結: これに付き合う必要はあるのか?
ア・プリオリの再確認
定義の難しさ。概念の不明瞭さ。
論理の正しさとは?これに還元される。
cf. 分析哲学と同じニオイを感じる…wint.icon 経験的な根拠は?
そもそもないのでは?↓
徹底した経験主義
ア・プリオリな知識を否定する
主張: 知識の正しさはネットワーク全体としてチェックされる
例
量子力学
相対論
時間的な前後関係、同時性が改められた
つまりア・プリオリに正しくは ない
やはりノイラートの船
水槽の脳への批判
グローバルな懐疑論の前提
様相的直観に依拠してる
その根拠は?
単なる物理や科学への無理解の可能性
e.g. 錬金術
e.g. 永久機関、スワンプマン、不可能現象(1気圧で沸騰する冷水)wint.icon
個人の感覚に依存
直観の多様性と擾乱
補記
知性改善
懐疑論の裏返し
工学的にアプローチできる
知識の価値とは?
第9章
自然主義それ自体について
疑問2点
哲学と科学の連続性?
哲学の意義?
世界は自然的世界である
万物は自然現象である
自然とはなにか
物理的自然
アナロジー: 第一原因しか要らない。介在不要。wint.icon 因果的閉包性、因果的閉鎖性
根拠: 科学的知識との整合性
哲学の役割
科学の世界観を明示し、全体像を描く
科学には哲学は不可避な前提
つまり無用にならない
cf. クワインの哲学観
def. 科学の極端に理論的で抽象的な一分野。
単なる分野名
実践について
科学と哲学は、目的と方法を共有している
やはりスペクトラムwint.icon
哲学とは具体的には?
網目に位置づけられたら存在する
具体例様々
哲学は基礎づくりと方針の概略をしてる
主張: 定義とは理論構築の成果
cf. コーンブリス「知識の定義も理論構築すべき」
古典
e.g. 信念、欲求、素朴心理学
最近
自然種と言えないこと
グリフィス→生得性
マシェリ→概念
cf. 自由意志も消去したいwint.icon
理論構築
サブタスク
思考ツールの作成
論理地図の作成
概念の創造と改訂
理論評価
哲学の評価は経験から遠い基準になりがち
これらは科学もやる
やはり溝も分断もない
正当化
なぜ共有する?
目的→同じ物理世界の知識が目的だから
ア・ポステリオリな主張
反論
哲学をすべては自然化できない。
→この主張自体を自然化して研究する。
未来予想
例
グリーンによる
cf. システム1 vs システム2
二分法、二元論
哲学(する人間)とは何か
人間理解にも自然主義が最適だろう
文献案内
『理性の起源』
『…: ホモ・コンビナンスの心』
本編では触れられてない
『ファスト&スロー』
『モラル・トライブズ』
『啓蒙主義2.0』
Minds: Extended or Scaffolded?
『倫理学は科学になれるのか』
戸田山和久『知識の哲学』
プラグマティックな自然主義
セラーズの定義
あとがき
起源はアリストテレスにさかのぼる
原案は積み上げ式
道徳心理学を序盤に