一般知識から専門知識へ
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これまで専門知識をもつ人間について論じられたことはなかった。これまで論じられてきたのは、教養ある人間、教養人だけだった。教養ある人間とはゼネラリストだった。いろいろなことについて話し書くために必要なことを知っていた。いろいろなことを理解するために必要なことも知っていた。しかし彼らは、何かを行うために必要なことは知らなかった。 マーク・トウェイン(一八三五〜一九一〇年)が一八八九年に書いた小説の主人公、コネティカット出身のヤンキーは、教養ある人間ではなかった。ラテン語もギリシャ語も知らず、シェイクスピアを読んだこともなく、『聖書』もほとんど読まなかった。しかし彼は、機械のことなら、電気を起こすことから電話器をつくることまですべて知っていた。