カルシア改質土における骨材効果の評価を目的とした基礎的研究
抄録
浚渫土砂の有効利用技術であるカルシア改質土は,その土質特性として粘性土地盤(粘着力cのみで設計する材料)として整理されている.一方,カルシア改質土は固化した浚渫土砂に骨材が混合された構成となっており,骨材の混合がせん断挙動に及ぼす影響は未解明であることから,今回,一軸圧縮強さと三軸圧縮試験にて検討を行った.その結果,固化処理土に骨材を混合した形態の材料であるカルシア改質土は,骨材の混合効果により固化処理土と比較して内部摩擦角φが発揮されることが確認された.しかし,強度発現レベルの条件は明確で無く,固化処理対象土の性状や骨材混合率,骨材性状,強度発現レベル,拘束条件等様々が影響し,条件によっては強度低下する現象も確認されたことから,骨材混合効果のメカニズム解明は今後の課題である. s/一軸圧縮強さと三軸圧縮試験にて検討を行った/一軸圧縮試験と三軸圧縮試験にて検討を行ったじゃない?takker.icon
見出し
1. はじめに
2. 実験概要
(1) 試験材料
(2) 一軸圧縮強さへの影響評価
(3) 三軸圧縮試験(CUB 試験)
どうして間隙水圧を測定するか否かで記号を分けたんだろうtakker.icon しかもよりにもよってテキストデータで表現しにくい記号を使って
謎だ
「一軸圧縮強さ」という強度のパラメタと「三軸圧縮試験」という試験の名称が並列されているのが違和感あるtakker.icon
3. 試験結果と考察
(1) 一軸圧縮強さ
(2) 三軸圧縮試験(CUB 試験)
(3) 骨材混合の影響に関する考察
4. おわりに
参考文献
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理解度確認クイズ
カルシア改質土は、主にどのような材料を混合して作られていますか?また、その主な用途を一つ挙げてください。
従来のカルシア改質土の設計では、せん断強度におけるどの要素が主に考慮され、どの要素があまり考慮されていませんでしたか?その理由も簡潔に説明してください。
本研究で、カルシア改質土に骨材を混合することの主な目的は何ですか?
実験で使用された模擬浚渫土砂は、どのような材料をどのような割合で混合して作製されましたか?
本研究で使用されたカルシア改質材(骨材)の特徴として、特に留意された点は何ですか?その理由も説明してください。
一軸圧縮試験において、骨材混合率が強度に与える影響は、強度水準によってどのような違いが見られましたか?
三軸圧縮試験(CUB試験)の結果から、骨材の混合はカルシア改質土のせん断挙動にどのような影響を与えていると考えられますか?特に内部摩擦角に着目して説明してください。
拘束圧の大きさが、骨材混合の有無によるカルシア改質土の強度発現に与える影響について、本研究の結果からどのようなことが示唆されましたか?
ピーク強度後の挙動において、骨材を混合したカルシア改質土と骨材を含まない固化処理土でどのような違いが見られましたか?
本研究の結論として、今後の課題として挙げられている点は何ですか?
クイズ解答
カルシア改質土は、浚渫土砂にカルシア改質材(転炉系製鋼スラグ)を混合して作られています。主な用途としては、港湾工事の埋め立て材や環境改善工事の浅場造成基盤材などが挙げられます。
従来の設計では、主に粘着力 $c$ のみが考慮され、内部摩擦角 $\phi$ は設計として見込まれていませんでした。これは、混合されるカルシア改質材(骨材)の混合率が低く、骨材同士のかみ合わせがないと判断されていたためです。
本研究の主な目的は、カルシア改質土のせん断強度に及ぼすカルシア改質材(骨材)の混合影響、つまり固化処理土における骨材の混合影響について基礎的な検討を行うことです。
実験で使用された模擬浚渫土砂は、ベントナイト(米国産25%と出雲産60%の混合)と豊浦砂を重量比85%:15%で混合して作製されました。
本研究で使用された骨材は、固化反応に寄与しないように選定されました。これは、骨材そのものの物理的な影響を評価するために、カルシウム溶出による強度発現の変化を排除するためです。
一軸圧縮試験において、低強度(目標100 kN/m²)程度では骨材混合率による顕著な変化は見られませんでしたが、高強度(目標400 kN/m², 600 kN/m²)程度では、骨材混合率の上昇に伴い強度が低下する傾向が見られました。
三軸圧縮試験の結果から、骨材の混合はカルシア改質土において内部摩擦角 $\phi$ を発揮させる効果があると考えられます。特に低強度の場合にその傾向が顕著であり、骨材がせん断抵抗に寄与している可能性が示唆されました。
低拘束圧条件下では、骨材と固化処理土の界面の付着切れが生じやすく、骨材有の方が骨材無と比較して低強度となるケースが見られました。一方、高拘束圧条件下では微細ひび割れが生じにくく、骨材効果による内部摩擦角が発揮され、骨材有でも骨材無と同程度の強度となるケースが見られました。
ピーク強度後、骨材を含まない固化処理土ではひずみ軟化による強度低下の傾向が見られましたが、骨材を混合したカルシア改質土では顕著なひずみ軟化や残留強度の低下は見られず、粘り強い挙動を示す傾向が見られました。
今後の課題として、内部摩擦角の発揮条件の明確化(骨材形状や拘束圧条件など)、骨材混合効果のメカニズム解明、FEMやDEM等の解析的アプローチやX線CT画像による検討などが挙げられています。
論述問題
カルシア改質土における骨材混合の効果が、一軸圧縮強度と三軸圧縮強度で異なる傾向を示す理由について、本研究の結果を踏まえて考察してください。
カルシア改質土を粘性土地盤材料として扱う従来の設計手法の妥当性と限界について、本研究で示された内部摩擦角の発現という観点から議論してください。
骨材の種類や粒径が、カルシア改質土の強度発現に与える影響について、本研究の結果とコンクリート材料に関する既存の研究(参考文献6, 7)との関連性を考察してください。
浚渫土砂の有効利用という観点から、カルシア改質土における骨材混合技術の意義と、適用範囲拡大に向けた今後の研究課題について論述してください。
本研究で示された骨材混合によるカルシア改質土の粘り強さ(ピーク強度後の挙動)が、実際の港湾構造物や地盤改良工事においてどのような利点をもたらす可能性があるか考察してください。
用語集
カルシア改質土 (Calcium-amended soil): 浚渫土砂にカルシア改質材(主に転炉系製鋼スラグ)を混合し、水和反応によって固化させた改良土。
浚渫土砂 (Dredged soil): 航路や泊地などを掘削する際に発生する土砂。一般的に軟弱な粘性土であることが多い。
カルシア改質材 (Calcium-amendment material): 主に製鋼過程で発生する転炉スラグを原料とした粒状材料で、カルシウム成分を含み、土と混合することで水和反応を起こし固化させる。
骨材 (Aggregate): カルシア改質土において、固化する浚渫土砂に混合される粒状の材料。本研究では、固化反応に直接寄与しない材料が用いられた。
一軸圧縮強さ (Uniaxial compressive strength): 拘束圧を与えずに軸方向に圧縮した際の、供試体が破壊するときの最大応力。地盤材料の強度を表す指標の一つ。
三軸圧縮試験 (Triaxial compression test): 供試体に等方的な拘束圧を与えた状態で、軸方向に圧縮してせん断強度を評価する試験。土のせん断強度特性(粘着力と内部摩擦角)を求めることができる。
圧密非排水せん断試験(CUB試験) (Consolidated undrained triaxial compression test): 三軸圧縮試験の一種で、供試体を一定の拘束圧下で圧密させた後、排水を行わずに軸方向に圧縮してせん断する試験。全応力および有効応力に基づく強度定数を評価できる。
粘着力 $c$ (Cohesion): 土のせん断強度成分の一つで、粒子間の結合力に起因する。
内部摩擦角 $\phi$ (Internal friction angle): 土のせん断強度成分の一つで、粒子間の摩擦抵抗に起因する。有効応力で評価される。
ポゾラン反応 (Pozzolanic reaction): カルシア改質材に含まれるカルシウム成分と、土中のシリカやアルミナなどが水和反応を起こし、不溶性の化合物を生成して土を固化させる反応。
ひずみ軟化 (Strain softening): 材料がピーク強度に達した後、ひずみの増加とともに強度が低下する現象。
ひずみ硬化 (Strain hardening): 材料が降伏点を超えた後、ひずみの増加とともに強度が増加する現象。
残留強度 (Residual strength): 材料が大きなひずみを受けた後の、安定したせん断抵抗力。
code:bib
@article{赤司and山越and勝見2022,
title={カルシア改質土における骨材効果の評価を目的とした基礎的研究},
author={{赤司 有三} and {山越 陽介} and {勝見 武}},
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journal={土木学会論文集B3(海洋開発)},
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volume={78},
number={2},
pages={I_529-I_534},
year={2022},
doi={10.2208/jscejoe.78.2_I_529}
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