製鋼スラグ混合土の配合・混合条件がその力学特性に与える影響について
要旨
これまでの研究により、製鋼スラグ混合土を海域で使用した場合の環境安全性や底質の浄化作用が確認されている。
また、製鋼スラグ混合土の力学特性についても研究が進められているが、実施工後に現地で採取した試料の強度が強度管理用に別途作製した試料の強度を下回った例も報告されるなど、製鋼スラグ混合土の強度に影響を与える要因等については未解明な点が多く残されている。
本研究では、製鋼スラグ混合土の配合・混合条件と強度の変化、またその変化の要因について検討した。
はじめに、固化の進展状況と固化に影響を与える要因について調査した結果、浚渫土が製鋼スラグとの接触面から1cm程度の範囲で固化すること、固化には浚渫土中のシリカ・製鋼スラグ中の遊離石灰の溶出に関わる化学平衡が大きく影響することがわかった。 このことから、高い強度を得るためには、最適な製鋼スラグの添加量が存在することが予想された。
その後、配合条件を様々に変化させた製鋼スラグ混合土の一軸圧縮試験を実施し、その結果を浚渫土と製鋼スラグの乾燥質量比で整理することで、高い強度を得るための最適な乾燥質量比が存在することを確認した。 また、製鋼スラグ混合土の強度には、初期含水比(製鋼スラグを添加した直後の含水比)が大きく影響することがわかった。 さらに、X線CT装置を用いて製鋼スラグ混合土の供試体を観察し、製鋼スラグ混合土の混合状態と強度、破壊パターンの関係を整理し、とりまとめた。 1. はじめに
2. 既往の研究
3. 実験材料
3.1 浚渫土
3.2 製鋼スラグ
4. 製鋼スラグ混合土の固化の進行状況
4.1 模型実験
4.2 模型地盤から採取した試料の調査
4.3 固化要因検討のための針貫入試験
4.4 まとめ
5. 製鋼スラグ混合土の配合・混合条件が強度に与える影響
5.1 実験方法
5.2 実験結果
5.3 まとめ
6. 製鋼スラグ混合土の破壊の進行状況
6.1 十分に撹拌した供試体の破壊状況
6.2 不均質な供試体の破壊状況
6.3 製鋼スラグ混合土の破壊状況のまとめ
7. 現地で製造した製鋼スラグ混合土の内部状況の観察
8. 本研究のまとめ
9. おわり
謝辞
参考文献
60,Vol.2,pp.38-41,2012.
27) 堤直人・田中誠・田崎智晶・天田克己・久末治・山本充・山田祐輝・遠藤公一:製鋼スラグの迅速炭酸化処理技術の開発,新日鉄技報第388号,pp.99-109,- 105 2008.