転炉系製鋼スラグ混合土のせん断強度発現に及ぼす物理・化学的要因
抄録
カルシア改質土や製鋼スラグ混合粘性土は,強度発現が一様ではなく,強度発現の要因が不明な点が多い.そこで,本研究では,転炉系製鋼スラグを混合した粘性土のせん断強度発現について,混合土の固化によるせん断強度発現に影響を与える粘性土や製鋼スラグの物理・化学的要因について検討した.その結果,製鋼スラグ混合粘性土の固化によるせん断強度の発現は,製鋼スラグの最大粒径4.75mm,細粒分含有率0~30%,製鋼スラグ中の遊離石灰量が3.5mass%以上のものを用いる場合,製鋼スラグの粒度分布や遊離石灰量の影響よりも,粘性土の種類の影響が大きいことが分かった.特に,粘性土中の非晶質シリカ含有率と非晶質シリカの構成比率が異なるとせん断強度やせん断強度の発現傾向が大きく異なることが分かった. 結構いろいろやってる論文、抄録だけで内容把握するのはむずそう
参考文献
3)Cikmit, A., A., Tsuhida, T., Kang, G., Hashimoto, R. and Honda, H. : Particle-size effect of basic oxygen furnace steel slag in stabilization of dredged marine clay, Soils and Foundations, Vol.59, pp.1385-1398, 2019.
7)金子崇,渡部要一,水谷崇亮,鳥越崇:腐植物質が製鋼スラグ混合土の強度特性に及ぼす影響,第 51 回地盤工学研究発表会,pp.645-646,2016.8)Kakihara, Y., Kikuchi, Y., Hyodo, T., Yoshikawa, T.,Kaneda, T. and Iwai, D. : Mechanical characteristics of clayey soil mixed with steelmaking slag under different types of pore water, Proceedings of the 7th China-Japan Geotechnical Symposium, pp.117-121, 2018. 13) 柿原結香, 菊池喜昭, 野田翔兵, 吉川友孝, 新倉功也,植松優斗, 立花祐二, 家島修 : 転炉系製鋼スラグを混合した粘性土の一軸圧縮特性に及ぼす製鋼スラグ細粒分含有率の影響, 第 13 回環境地盤工学シンポジウム発表論文集, pp.87-92, 2019. 14) Kakihara, Y., Kikuchi, K., Noda, S., Yamaguchi, T., To-mimatsu, R., Nakayama, K. and Yoshikawa, T. : Effect of amorphous silica content in clay on mechanical properties of the mixture of clay and converter steelmaking slag,Japanese Geotechnical Society Special Publication, Vol.8,pp.1-6, 2020. code:bib
@article{柿原 結香2021,
title={転炉系製鋼スラグ混合粘性土のせん断強度発現に及ぼす物理・化学的要因},
author={{柿原 結香} and {菊池 喜昭} and {野田 翔兵} and {高田 明旺} and {山口 天宗} and {降旗 咲乃} and {吉川 友孝}},
code:bib
journal={土木学会論文集B3(海洋開発)},
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volume={77},
number={2},
pages={I_463-I_468},
year={2021},
doi={10.2208/jscejoe.77.2_I_463}
}
takker.icon非晶質シリカがあることがカルシア改質土が固まる必須条件か?
NotebookLM.icon
カルシア改質土の固化メカニズムにおいて、粘性土中のシリカは重要な役割を担っており、特に非晶質シリカはそのせん断強度発現に大きく影響するとされています。
具体的には以下の点が挙げられます。
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固化メカニズム: カルシア改質土の固化は、粘性土中のシリカと製鋼スラグ中のカルシウムが間隙水中に溶出し、カルシウムシリケート系水和物(CSH)を生成することによるものとされています。このメカニズムから、CSH生成に必要なシリカが粘性土から供給されることが固化の前提となります。
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非晶質シリカの重要性:
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本研究では、製鋼スラグ混合粘性土の固化によるせん断強度発現において、粘性土中の非晶質シリカ含有率と非晶質シリカの構成比率がせん断強度やせん断強度の発現傾向に大きく異なる影響を与えることが分かりました。
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非晶質物質は結晶質に比べて間隙水中に溶出しやすい性質を持っています。そのため、非晶質シリカ含有率が高い粘性土は、間隙水中にシリカが溶出しやすく、溶出したシリカが溶存カルシウムと反応してCSHを形成するため、養生初期に急激に一軸圧縮強さが増加すると推察されています。
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実際に、非晶質シリカ含有率が高いほど、養生初期にせん断強度が増加する傾向が見られました。また、浚渫土のような生物由来非晶質シリカの比率が高い粘性土では、養生初期にせん断強度が急増し、その後の強度増加は緩やかになる傾向が示されています。
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先行研究でも、浚渫土中の非晶質シリカ含有率が高いほど、一軸圧縮強さが大きくなることが示されています。
以上のことから、カルシア改質土の固化メカニズムは粘性土からのシリカの供給に依存しており、特に非晶質シリカは溶出しやすくCSH形成を促進するため、せん断強度を効果的に発現させる上で非常に重要な要因であると言えます。ソースでは「非晶質シリカがなければ全く固まらない」と直接的に述べているわけではありませんが、その存在と特性が固化による強度発現の大きさや傾向を大きく左右することから、効果的な固化と強度発現のためには、非晶質シリカの存在が実質的に必須に近い条件であると考えられます。