まるでエレベーター・ミュージックのようじゃないか
エクセル作業のための無為な音楽
それが『The New Yorker』誌に2019年4月に書かれた以下の記事「アゲインスト・チル – エクセル作業のための無為な音楽 – 」だ。
「作業用BGMを聴くことの有用性は認識しているけれど、それにしたってアートが生産性のツールとして何度も何度もリピートされ、作業が完了すると再生を止めるような様を本当によく目にする。アクティブ・リスニング(創造的な行為であると同時に、非常に楽しいものである)の実践が侮辱され、却下され、無視されるのを見ることに、困惑の想いを持たずにはいられない。」 「バックグラウンド・ミュージックは決して新しい発明ではないが、以前はこの種の体験はほとんどエレベーターと待合室にしか存在しなかった。それが今ではこうした無為な音楽の消費行為で溢れるようになっている。」 Although I recognize the utility of listening to non-distracting study music, I nonetheless find it disheartening to see art being reconfigured, over and over again, as a tool for productivity—and then, when the work is finally done, as a tool for coming down from the work. It’s especially disconcerting to see the practice of active listening (which can be a creative act as well as a wildly pleasurable one) denigrated, dismissed, or ignored.
しかし、芸術が生産性のための道具として何度も何度も作り直され、やっとのことで仕事が終わったと思ったら、今度は仕事から離れるための道具にされるのを見ると、がっかりしてしまうのです。特に、アクティブリスニング(これは創造的な行為であると同時に、非常に楽しい行為でもある)が否定され、否定され、無視されるのを見るのは不愉快である。
Background music is hardly a new development, but, previously, these sorts of experiences were mostly relegated to elevators and waiting rooms; now the groundless consumption of music has become omnipresent. In a 2015 press release, Spotify declared itself “obsessed with figuring out how to bring music into every part of your life, wherever you are, whatever you’re doing, whatever your mood.
バックグラウンド・ミュージック は今に始まったことではないが、以前はこの種の体験はエレベーターや待合室に追いやられていたが、今や音楽の無根拠な消費は至る所に見られるようになった。Spotifyは2015年のプレスリリースで、「どこにいても、何をしていても、どんな気分でも、生活のあらゆる部分に音楽を取り込む方法を見つけ出すことに夢中になっている」と宣言している。 エレベーター・ミュージック、よくわからないけど、普通に考えると悪い意味だと思う。よくデパートで流れているようなイージーな音楽の話だろう。 ギャレス・マローンが「クラシック音楽の力」(Music for the people : the pleasures and pitfalls of classical music) で、私たちは日常生活で信じられないくら膨大な量の音楽、音に晒されていて、ひどい扱いを受けていると言っていた。
そんななか、クラシカル・ミュージックもまたひどい扱いを受けている、と言っていた。。つまり劣悪な環境でドボドボと垂れ流されその価値を貶められていると。
同じ本の中で「音楽それ自体は、理解するための二つの耳と脳さえあればよい」とギャレス・マローンは言っていた。はたして自分には二つの耳と脳があるのだろうか、と思う。
2022/10/6
パン屋で働いていたメグ・レセムは、朝のサウンドトラックを選ぼうとスポティファイを開いた。プレイリストを延々とスクロールしたが、そのときの気分にぴったりくるものが見つからなかった。それで彼女は、自分がいかに生活のなかで音楽を「使って」いるかということに気がついた
音楽そのものを体験しているのではなく、音楽がツールになっている
無限の選択肢があるにもかかわらず自分が実際には「何も聴いていなかった」ということに気がつき、ストリーミングから離れていく音楽愛好家
There’s endless choice, but you’re not listening
携帯電話に音楽をダウンロードしたり、CDやテープをかけたりすることで、自分が積極的に音楽に関わっているように感じられます。だから、熱心にその音楽を聴くことができるのです
関係あるかもないかも
そしてそれはサブスクリプションの問題じゃなくって、勝手に空から降ってくるレコメンドの問題なんじゃないか サブスクリプションの音楽の問題は /cd/2000万曲の音楽という自由 でオレが感じた「音楽原野に一人ぼっち」という感覚の方で、普通の人間は徒手空拳で無尽蔵の音楽に立ち向かうことができない