フィルターバブルとエコーチェンバー
フィルターバブルとエコーチェンバー
こうした副作用に関する不安は、いまに始まったものではない。現在はアップワージー(Upworthy)の最高経営責任者(CEO)を務めるイーライ・パリザーは2011年に、TEDのステージ上でフィルターバブルについて警告した。それよりもさらに前、ハーバード大学の法学者であるキャス・サンスティーン教授は、自著『インターネットは民主主義の敵か(原題:Republic.com)』で「集団極性化」の効果を正確に予測した。集団になることで思考が極端に偏ってしまう「集団極性化現象」が、インターネットの隆盛によって促され、最終的には健全な民主主義の困難な課題になるだろうというものだ。フェイスブックが誕生する3年前のことである。 ディープマインドの研究チームは新たな論文で、異なる推薦アルゴリズムがいかにして、(彼らがそれぞれ定義したところの)フィルターバブルとエコーチェンバーの両方の現象を、加速または減速させるかについて分析した。この論文におけるエコーチェンバーとは、ユーザーが 類似コンテンツに繰り返しさらされることで、関心が強化される現象を指す。一方、フィルターバブルは、ユーザーがさらされるコンテンツの領域が狭まる現象である。研究チームは両者を区別したものの、フィルターバブルとエコーチェンバーは同類であると認めている。研究チームはこれを学術用語で「縮退フィードバックループ」と呼んでいる。縮退の高度なレベルとはこの場合、より強力なフィルターバブルあるいはエコーチェンバーの効果を意味する。
エコーチェンバーとは、ユーザーが 類似コンテンツに繰り返しさらされることで、関心が強化される現象
フィルターバブルとは、ユーザーがさらされるコンテンツの領域が狭まる現象
人間は複雑です。多様性に価値を置く一方で、人々が不信感を抱くほどに推薦の範囲を拡大しすぎると、ユーザーの信頼を完全に失ってしまうかもしれません」とコンスタン教授は話している。