2023-04-12のセッションより
私は其の綠の金屬で緣取られたレンズを綠のローブの内ポケットに藏った。
レンズの溫かみが感ぜられた。
===此處迄前回===
何處かに進まなくては成らない氣はするが、何處へ進んだら良いのか解らない。
失踪した研究所の人々を追ふべきか。
喧しい檢事を探すべきか。
旅の最初の目的であった、赤い圓筒形があるべき場所を探訪すべきか。
何處へ行くにせよ、青いランタンを持って行かなくては成らない。
青いランタンをどちらの手で持つべきか惱む。
左手で持つと、ランタンに支配されて了ふかも知れない。
私は、ランタンに支配されて了はない樣に、ランタンを右手で持たうと思った。
ランタンが嫌がるかも知れないので、ランタンの了承を得る事にした。
私はランタンに向って「あなたを右手で持っても良いですか。」と音聲を發した。
ランタンは「あなたは私に行く先を示す樣賴んだのだから、左手で持つべきではないか。私があなたを導くのだから。」と云ふ意味の事を非音聲的に發した。
其れを聞いて私は(確かに、私は今の所自分が何處へ進むべきかも解ってはゐない。私から、ランタンに自分の行く先を照らす樣賴んだのだから、ランタンの事を信賴して上げねば成らないな)と思った。
「では、然うします。」と言って、私はランタンの取っ手を左手で持ち、持ち上げた。
ランタンの重みは感じたが、前回の樣な異常な引力や熱は感じなかった。
私は、右手で目の前の机を橫に退け、赤い圓筒形に近付いた。
「參りませう。」と言った。
赤い圓筒形は、音も無く椅子から立ち上がり、滑る樣に動いて私の右斜め後ろに立った。
私は、左手にランタンを持ち、右後ろに赤い圓筒形を從へて、部屋の後ろの元入って來たドアまで步き、右手で扉を引き開けた。
扉を右手で押さへて部屋を出た。
青いランタンに訊ねた。「何處へ行ったら良いでせう。」
青いランタンは「トンネルを行かう。」と非音聲的に發し、前方左手の階段を照らし出した。
私は階段の所まで行った。
赤い圓筒形は階段や段差を上り下りする事が出來ない。
私は右腕と右肩で赤い圓筒形を抱へ擔ぐ樣にして、左手にはランタンを持って、一步づつ階段を降りた。
踊り場で左180度轉回し、更に降りると、下の階の廊下に出た。
廊下を右に進み、突き当たった所の左側に振り返る向きに更に下る長い階段がある。
再び赤い圓筒形を擔ぎ、一步づつ階段を降りた。
長い階段を降りきると、地下鐵驛の樣な所に戻って來た。
研究所が荒れて古びてゐたのに比べ、此の地下鐵驛には燈りも付いてゐるし床壁の白いタイルも綺麗で、誰かがメンテナンスを續けてゐる樣に思はれたが、誰がそんな事をしてゐるのかは判らなかった。
電車が來る樣にも思はれなかった。
階段降りて右側のプラットフォームに向かひ立ち、青いランタンに訊ねた。
「どっちへ行きませう。」
ランタンは「先に進まう」と云ふ意圖でもって、右側の地下鐵トンネルを照らし示した。
私は赤い圓筒形を擔いで線路に降ろし、自分も線路に降りた。
右に向って進み始めた。
【考察】
ランタンから私への態度の變容がある?
私が不完全を認め詫びると、身體と水が紫である事が判る樣に成った。
そして今回。:自分に導かれたいなら、自分を左手で持つべきだと言った。
02-12では無理に引っ張って行かうとしてゐた? 04-01では私に促して共に行く樣にした?
無理にでも引っ張って行かなきゃ行けない存在だと思はれてゐたのが、促せば共に進んで行ける存在だと思はれる樣に成った?
變容は03-13に起きてゐる氣がする。「私」に新たな能力、身體と水の紫を感受する能力が出現した。