2023-03-13のセッションより
18枚目のスライドに現れたのは、12枚目のスライドと似た樣な圖だったが、説明が異なってゐた。
12枚目のスライドで示されてゐたのは、非物質の存在として結晶した橘榛名を新たな憑代に降ろし完全存在として復活させると云ふ内容であったが、今囘の18枚目スライドでは、貓性を帶びた新たな憑代を作るのではなく、元の鑄型である不完全の身體に降ろし、しかし其の影響を不完全の身體から外界に及ぼせる樣にする事で、バーチャルな存在としての橘榛名を實現すると云ふ計劃が示されてゐた。
===此處迄前回===
19枚目のスライド。
https://gyazo.com/bf49ba205ecd04a1a29562be618c94d2
中央には、不完全の身體が憑代として置かれてゐる。
左の白い圓は橘榛名の結晶。右の八角形は外界を表してゐる。
橘榛名の結晶から發出される意圖を不完全の身體を通じて實現する働きが綠の矢印で示されてゐる。
しかし、此れは同時に、外界の影響が不完全の身體を通じて元來純粹であった橘榛名の結晶に及び、此れをコンタミネートする事にも繫
がった。
此の實驗以前は、純粹な非物質の結晶であった橘榛名を雛型として色々の出力や降臨を實驗する事が出來たが、此の實驗の結果、獸性の世界より發する力が身體を逆向きに透過して結晶を汚染して了ひ、身體が不完全である樣に、橘榛名の結晶もまた不完全な物に成って了った。
此の事に就て、他の人等がどう思ってゐるのか訊きたく成ったので、赤い圓筒形と青いランタンの方を向いて
「どう思はれますか」
と音聲に發した。閒髮を入れず、兩者が此方に向って
『どう思はれますか、ぢゃない。あなた=不完全の身體の所爲で我々の__であった橘榛名の結晶は汚染されて了った。』
と批難する意圖が非音聲的に發せられた。
一方で、綠の映寫機は『實驗を執行したのは研究所であって、此の人は其の材料であったに過ぎない。』
と擁護する意圖を非音聲的に發した。
私はしかし、橘榛名の結晶の汚染には不完全の身體の不完全さもまた有責であらうと思はれた。
綠の映寫機に向いて「庇って吳れて有り難う、しかし此の汚染には私も責を負うてゐます。」と言ひ、
赤い圓筒形と青いランタンに向いて「私の不完全により、結晶を穢して了ひ、申し訣無く思ひます。」と言った。
其の時、私は自分の兩手が紫色にくすんでゐるのに氣付いた。
紫色は獸の心の色であり、泥濘界の色であり、穢れである樣に感ぜられた。
すると、左手に付著してゐた「水」が姿を現し、
『外界からの影響が不完全の身體を通過して結晶に及ぶ樣に成ったのには、私の働きもあったのだ。』
と云ふ意圖を非音聲的に發した。
水もまた、紫色にくすんでゐた。
私は水に「此の穢れを如何しませう。」と問うた。
水は『此の紫色は穢れではない。赤い圓筒形が赤い樣に、青いランタンが青い樣に、物質と身體を司る者は紫色をしてをり、今迄其れが見えてゐなかったのが見える樣に成った丈の事だ。』と云ふ意圖を非音聲的に發した。
私は「なるほど」と應へた。
すると、20枚目のスライドが現れた。
https://gyazo.com/82b18718e9fe34ad6fd2234607aaa1ec
不完全の身體に、五色の精神が宿ってをり、外界と相互作用してゐる。
橘榛名の結晶は精神と相互作用する事で、外界に影響を及ぼす事が出來、バーチャルな存在としての橘榛名が外界に現出する。
此れは綠の矢印で示されてゐる。
外界からの影響は、不完全の身體と五色の精神を通じて橘榛名の結晶に齎されるが、此れは黑い影と成って橘榛名の結晶を缺き、結晶は三日月型を成してゐる。結晶と精神の相互作用の内容によって、此の影の大きさが大きく成ったり小さく成ったりする。
影が結晶した橘榛名を覆い盡す時、世界は破滅する。
影を成るべく少なく留める樣に、相互作用せねば成らない。
此の實驗は、現在も繼續してゐる。しかし、實驗は長らく放置されてゐた爲、此の影は今や今にも結晶を覆ひ盡さうとしてゐる。
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