何回でも聞け
一度聞いてわからなかったことを、聞き返すことには勇気がいるかもしれない。構わず聞け。
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JN1GGZ : 聞き返さなかった「もう一度聞いたところで、どうせわからないだろう・・・」 Tomoyuki-Shishido : 「ナルさんがごめんなさい。もう一度、もう一度説明してもらえませんか。今度聞いたらわかるかれしれない」と、4,5回も聞き返し自分のものとした。 これが凡人と天才の違いだった・・・
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【もしかしたら職業柄の特徴もあるかもです】de JI1BXM (おそらく多くの)特許明細書の起稿者は、
まずは発明者が発明だと認識しているものから出発して、客観的な発明の全体像を抽出・把握します。
一般に発明者が発明だと認識しているものは具体的に過ぎて、思想として分離・統合されていないことがほとんどです。
発明は、特定の技術的課題を解決する「構成」として把握するものです。
しかし、発明者が認識している発明は、複数の技術的課題を一気に解決しようとしていることがほとんどで、それは設計者にとっては当然なことです。
よって、発明という特殊な視点からは、思想として分離・統合されていないことになってしまいます。
また、そのようなひとつひとつの技術的課題は、設計者の「潜在意識」や「超潜在意識」のなかにあることが多く、明示的に言葉となって出てこないことも多くあります。
つまりこの時点で起稿者は、客観的に特定の技術的課題を解決する手段を抽出しなおすという視座にある以上、
流れの把握を重視するあまり、当初は細部の説明は聞き流す傾向が強いと思います。
「さっき言ったでしょ!?」とクライアントから叱られることしきりです。^O^)""
次に、上で抽出した内容を嚙み砕いて、自分が他社の立場に立って、この技術をパクるならどうするかを考えます。
そのため、縦横無尽に設計変更を提示して、「これが世の中に出てきたら、黙っていられますか?」と尋ねます。
これを繰り返すことで、発明者の認識していた概念を更に洗練させて昇華・把握していきます。
この作業のなかでは結局、多くの違った仮想侵害者の立場でアプローチしますから、同じことを何回でも聞き返すことになります。
言い換えれば、これが発明者と起稿者との抽象的概念の擦り合わせ(翻訳作業?)ということになります。
以上で大枠の上位概念が把握できるので、改めて、昇華した概念の視点から設計事項を把握していきます。
この作業を通じて、自分の中の概念を具体化する途として固めていくことができます。
よって、回数を重ねて聞く度に、洗練されてきます。
これで、やっと明細書構成の方針ができあがります。
ってなわけで、
おそらく起稿者の頭の中は、「聞き返す」たびに把握す内容が違っていて、
非業界人が想像する以上に毎回異なるレベルの思考をしているのかもしれません。
もちろん、起稿者によってはこれと違った思考ルートを採ることもあると思います。
ただ、少なくとも自分も含め、起稿者は通常このようにしているようだ、という話でした。^^;
で、言いたいことは・・・。
聞き返すことは自分の思考の整理であって、
これを躊躇するのは、
単に自分を「頭が悪いひとに見られたくない!」という別の感情があるからであって、
それが満たされたからといって、聞き手の得にも、話し手の得にも、いや、「誰」の得にもならないし、
それは学生時代に植え付けられた成績至上主義の呪縛なのかもしれない!?
っていうことでした。 お粗末でしたっ。 ^O^)""
ひとつ追加しておきます。
繰り返し聞くと、「さっき言っただろう!」と怒るひとがいます。
でも、そういうひとは説得される力が足りないひとです。
「さっき言っただろう!」というひとは、「なぜ、このひとは同じことを何回も聞くのだろう?」と考えないひとです。
この点に疑問を持たないということは、他人の状況を受け入れる力が足りない、説得しようとするだけの一方通行なひとということです。
これでは、両者で次のステップに進むこと(正反合のうちの合を作る行為「Aufheben」)ができませんよね。 弁証法視点では、説得する力とともに、説得される力を合わせ持たなければ将来への発展がありえません。 ですから、そういうひとは、「あらら、かわいそうなひとなんだな。」と思っておけばいいだけでしょうね。:-p
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