復元型
この記事では、ペンシルパズルにおけるヒント/表出の分類の一つとして、復元型と情報型という分類を考える。 ペンシルパズルにおけるヒントを、
復元型:正解の一部であるもの、全体を復元するための一部であるもの。解答者が埋めていくもの(書込)と同じもの。 情報型:正解盤面がどうなっているかの情報を示すもの。正解が満たすべき制約を示すもの。
とする。
復元型のヒントの例
リフレクトリンクは、三角に書かれた数字は情報型である。また、十字ヒント以外では交差できない、という制約もある。
カッテリアは「辺」と「数字」を書き込む。このうち辺は復元型であり、「太線を消すことはできないが、必要に応じて太線を書き加えて部屋を増やせる」というルールがある。
盤面内の黒マルが復元型である(白マルが復元型であるかどうかは後述)。このヒントをもとに、盤面外に示されたポリオミノ(このヒントは情報型)を配置する。 漢字みえかくれ(各マスに漢字の一部の画が置かれており、これを元に漢字クロスワードを復元する)
フィルオミノは、数字を埋めるパズルと考えれば、復元型である。領域分割と考えれば、表出数字は情報型である。 復元型のヒントは解収束型である。ただし、リフレクトリンクの十字については、「他のマスでは交差できない」というルールのために、通常のマス(交差出来ないマス)を十字マスに変えると必ずしも解収束しない。 ツールを使って解く場合、解いているうちに「元々表出していたヒント」と「解き手がいま自分で入力しているもの」の区別がつかなくなる場合があり、どこかで埋めミスをすると修正に困るときがある。問題作成時にも起こる。これを防ぐため、ぱずぷれのしろまるくろまるのエディタには「問題の背景色をグレーにする」というボタンがある。 分類が難しい例
復元型か情報型か分類しがたい例、目的によって分類の仕方を変えた方が好ましい可能性のある例を書く。
Statue Parkの白マルは、解答者が本来埋めるべきは黒マスの方なので、復元型といえないかもしれない。このように、「そのパズルで埋めていくもの」が入らない場所(白マス、バツなど)は、復元型とも情報型とも考えられる。
バトルシップの波(艦が入らないマス)、ハニーアイランドの蜂なども同様。ただし、蜂は「各領域に1つ」という情報型ヒントとしての性質も持つ。 シンプルループの黒マスなど、盤面の形を規定するものは、それを解答者が新しく記入することができないので情報型と考えられるが、「そのパズルで埋めていくもの」が入らない場所なので、復元型と考えた方がよい場合もある。 ペンシルパズル以外の例
ゴールは5は、詰連珠をもとにしたペンシルパズルである。 元の表出(石)は復元型ヒントだろうか?確かに埋めていくものも石ではある。しかし、石を置く順番も考える必要があるため、元の表出とは違う、とも考えられる。
詰将棋や詰碁も同様で、こちらは盤面から消える・動く(駒取りなど)場合があるため、情報型であると考えて良いだろう。与えられた情報から、詰手順を答える。与えられた情報と詰手順は異なる。
ジグソーパズルは、ばらばらになった絵を復元するパズルである。
一般には、どのピースどうしが組み合わさるか、どのピースがおおよそどのあたりにはまるか、という情報型ヒントを元に解き進める場合が多いだろう。
知恵の輪も同様。
復元型と情報型のバランス
波及効果の問題の中には、数字が一部表出している問題も見られる。 波及効果は、領域(の分割のされ方)が情報型、数字が復元型である。数字が一切ない(情報型のヒントだけで作られた)問題も見られる。
情報型のヒントと復元型のヒントをどれくらい使うかは、パズル種・環境・作者などによってさまざまで、以下のような場合がある。
いいかんじにバランスよく組み合わせる。
情報型のヒントをメインに作る。復元型のヒントなしで作り始め、微調整のために復元型のヒントを加える。
情報型のヒントに関する記述しか元のルール文にはないが、バリアントのような形で、復元型のヒントを入れる。 Tapaで一部の黒マスを表出する。(この例は唯一解にするためという意味合いが強い。) Easy as ABCで一部のアルファベットを盤面内に表出する。(上記ほどは唯一解にするためという意味合いは薄い場合も多い。) 逆に、復元型のヒントがメインのパズル種に、情報型のヒントを加え、バリアントとする。
数独のバリアントが代表例である。バリアントの種類によって、復元型のヒント(数字)の個数が変わる。
通常の数独と比べて、
Diagonal Sudoku (対角線ナンプレ) は数字の個数は同じくらいか、やや少ない。数字の表出を皆無にすると唯一解にはできない。
Greater Than Sudoku (不等号ナンプレ) は数字が全くない場合がある。
Thermo や Arrow においては数字が全くない・ごくわずかな場合もあり、数字が多く表出する場合もある。どちらが多数派かは出題傾向にもよる。