パラレルキャリア
6章 自らをマネジメントする 5項 第二の人生
人間の方が組織よりも長命になった
仕事に飽きる
そこで第二の人生が必要。
3つの方法がある
組織を変わる、仕事を変える
パラレルキャリア
うまく行っている仕事はそのまま続け、もう一つの世界を持つ
ソーシャルアントレプレナー
仕事に割く時間を減らし、新しい仕事を始める
nishio.iconパラレルキャリアとソーシャルアントレプレナーの境界は明確ではない。ドラッカーは前者を「多くの場合、非営利組織で働く」後者を「新しい仕事、とくに非営利の仕事を始める」と表現していて、既存の仕事にジョインするか新しく作るかの違いで分けているものと思われる。「アントレプレナー」という名前の選び方もそれを示唆している。
時間の比率ではない。パラレルキャリアに関して本業を週40時間続けることだけでなく、パートタイムやコンサルタント的な契約社員という選択肢がある旨の言及がある。
非営利組織であることは必要条件ではないと思われる。彼がこの本を書いた時代に、複数の給料支払い主体が存在する働き方が事例として多くなかったのではないか。
条件
本格的に踏み切る前から助走していなければならない
成功の機会
一人一人の人間にとっては「何かに貢献すること」が重要な意味を持つ 本業一つだけでは、不確定要素によってそれが失われることがある
複数の人生を持つことによって、一つがうまく行かなくても、貢献の機会を持てる
nishio.iconこれをドラッカーは「成功の機会」と表現しているが、この言葉は「一発当てたろう」みたいな誤解を招きうる表現だと思う。大きな経済的成功ではなく、貢献している実感を持てることが彼の言う「成功」だ。
日本について
これまでの社会が暗黙に仮定していた前提:
組織は働くものより長命である
働くものは組織に固定されている
日本は終身雇用制によって「働くものが他の組織に動かない」ようにすることで成功してきた
終身雇用による社会的な安定を維持しつつ、知識労働者の移動の自由を実現できるかどうかが今後のチャレンジ 社会が機能するためには絆が不可欠だから、日本のチャレンジは他の国のモデルとなるだろう
nishio.iconたとえばサイボウズの育自分休暇制度は、会社を辞めて別のことに挑戦した後での再雇用を保証することで「終身雇用による絆の維持」と「働くものの、第二の人生への挑戦」を両立する制度と言えるだろう。
その後、複数の「複」の字を使う「複業」が使われるようになったのは「本格的に踏み切る前から助走しなければならない」というドラッカーの考えとも沿っている。