中井久夫「治療文化論: 精神醫學的再構築の試み」1983/12/1

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普遍症候群・文化依存症候群・個人症候群

普遍症候群

例

西歐

同性愛 panic

妖精の病 (faerie illness)

職業病

性別病

個人症候群

熟知性に依る治療

治療文化

創造の病

世直し (革命、平野)←→立て直し (改革、山際)

世直し

立て直し

至誠・勤勞・分度・推讓

神話產生機能 (mythopoetic function)

固着・固執・執着

「治療者は、舟を浮かべる水、鳥を支へる空、いろいろなものを支へる大地、要するに「四大」(Vier Elemente) になれ」

四大

Gaston Bachelard

精神科醫

歷史家

史料批判←→症例に關與しつつ觀察する

史料批判の禁欲

裁判官

科學であるか否かを疑はしい目で見られる

時代區分 = 疫病分類

傭兵

金でやとはれる

しばしば「人閒以下」といふ罵りを甘受しなければならない

「苦しい時だけの傭兵だのみ」

結局、傭兵が狀況をこえることができないのは、精神科醫と同じである。時に突然解雇される。決して、秩序恢復の日に招待され表彰されることはない。

卽興能力 (ability of improvization)。眼前の狀況をとっさに把握し、手持ちの材料だけを用ゐて、狀況から最大の merit を搾り出す能力 (ability of exploitation)

やま場において、雇ひ主はもちろん、狀況の中にゐる人たちの誰をも賴りにしてはいけないし、できないのである。

賣春婦

患者にとって精神科醫はただひとりのひと (少なくとも一時點においては) unique one である。

精神科醫にとって實はさうではない。次のひとを呼び込んだ瞬閒に、精神科醫は、またそのひとに「ただひとりのひと」として對する。そして、それなりに professional としてのつとめを果たさうとする。

職業的な自己奬勵によってつとめを果たしつつも、彼あるいは彼女たち自身は、快樂に身をゆだねてはならない。この禁欲なくば、ただの promiscuous なひとにすぎない。(amateur の counselor に、時に、その對應物をみることがある。)

治療共同體 (治療集團)

←→「非治療的」「破壞的」文化複合

このやうな集團は慢性の欲求不滿狀態のままいつまでも存續し、解消せず、そのうちに成員が視野狭窄を起こして、次第に閉鎖的となり、集團內の問題が宇宙的大問題と見えてしまふ一方、外部にとっては集團の意義はあるかなきかになり果てる。このやうな集團の治療には解體か member の總入れ替へしかないのであるが、殘骸の持って行き場に困るので、一般には放置され、結果として孤立はさらに深まる。

この內部においては、もし病人が發生すれば、場の dynamism はむしろ好轉の方向に向かひうるのであるが、不思議に病人は發生しない。一般に家族硏究、とくに日本大學 group の長期にわたる家族硏究から私なりに憶測したところによれば、病人が好發する集團の病理性は中程度である。

「病理集團」の發病抑止力

非病者の中には、病氣にならなくてよい人もあるが、病氣になる能力に缺ける人もあり、病氣になれないために苦澁な生活を送り、ついに解決としての、集團の rule 違反あるいは犯罪を選ぶ人がある。

指壓

足を洗ふこと

ひとびとの試みにあひつつ土に字を書く

手をふれる

愉氣