🎧なはれFM#2 「金銭的利益を追求しながら社会課題を解決する時代へ。KlimaDAO JAPANのF太郎さんに、金融システムで地球環境を再生する「ReFi」について聞いてみた」

ロフトワークのプロジェクトスタジオ「なはれ」から、毎月ゲストをお招きし、あるテーマについて濃いディスカッションを行うラジオ番組「なはれFM」がスタート。今回のゲストは、KlimaDAO JAPAN 株式会社代表のF太郎さん。F太郎さんは、金融システムを活用して環境問題の解決を目指す「ReFi（リファイ）」という活動に取り組んでいます。金融と環境問題がどのように結びついているのか、ReFiとはいったい何なのか、現在の活動内容やその背景についてお話を伺いました。

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・収録日：2024.6.21（金）＠ZEBRAHOOD 2024 in 下北沢

・ゲスト：KlimaDAO JAPAN 株式会社代表　F太郎さん（写真左）

・聞き手：

株式会社ロフトワーク　加藤あんさん（写真右）

株式会社ロフトワーク(インターン生)　大内裕未さん（写真中央）

＊F太郎さんのプロフィール

◉暗号資産を投資だけに活用する時代の終焉

投資や投機を目的に、2017年ごろから「クリプト」の世界で活動を始めたF太郎さん。クリプト（Crypto）とは、英語で「暗号」の意を持ち、Web3.0の世界では「暗号資産（仮想通貨）」のことを指して使われている言葉です。当時、投資家や業界関係者のあいだで一大ブームを巻き起こしたクリプトでしたが、2018年に暗号資産の価値が大きく下落し、「クリプトウィンター（暗号資産冬の時代）」と呼ばれる時期に突入。多くの投資家たちはクリプトへの活動意欲を失い、F太郎さんもその一人だったといいます。

2018年のクリプトウィンターを経て「これからの時代は投資・投機以外の目的にもクリプトを活用することが必要だ」という共通認識が業界の間で生まれます。そんな背景から生まれた新たなクリプトの活用方法の一つが、F太郎さんが現在取り組んでいる「ReFi」。「ReFi」とは、英語の「Regenerative Finance」の略称であり、日本語で「再生金融」と訳されます。一言で表すと「ブロックチェーン技術を基盤とした金融システムによって、地球環境の再生を目指す取り組み」のこと。ある記事をきっかけにReFiと出会ったF太郎さんは「これこそクリプトの素晴らしい活用方法だ！」と感じ、2022年ごろからReFiの世界へ飛び込みました。

<関連>

・ReFiの派生元である「DeFi（分散型金融）」について

・F太郎さんがReFiを知るきっかけになった記事：Fracton Ventures（2022）「ReFiとは？パート1 ー気候変動に関するクリプトの未知の世界を巡る旅」

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◉CO2を削減すればするほど金銭的利益を得られる社会へ

ReFiの世界には、環境問題の解決に向けた活動を展開する組織やプロジェクトが多数あります。なかでもF太郎さんが取り組むのは「KlimaDAO（クリマダオ）」というプロジェクト。KlimaDAOでは、温室効果ガスの削減効果を権利（クレジット）として売買できる仕組みである「カーボンクレジット」に、ブロックチェーン技術を掛け合わせた活動を展開しています。

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「金銭的利益を追求しながら社会貢献ができることも、ReFiやKlimaDAOの魅力のひとつ」と、大内さんが続けます。従来の社会では「社会貢献は儲からない」というイメージや実態が少なからずありました。一方、ブロックチェーン上でカーボンクレジットの流通を可能にしたKlimaDAOは、温室効果ガスを削減すればするほど暗号資産（$KLIMA）を得られるという仕組みを実現しています。

KlimaDAOによって社会はどのように変わる可能性があるのか、

「山の所有者の稼ぎ方」を例に、F太郎さんが説明してくれました。

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★例：「山の所有者の稼ぎ方」はどのように変わるか？

・従来の世界：

木を伐採して山を切りひらき、ディベロッパーに土地を売ることで利益を得る

・KlimaDAOがある世界：

山に植林することで温室効果ガス（CO2）を削減し、カーボンクレジットを発行し売却することで利益（$KLIMA）を得る

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あくまでも一例ではありますが、社会貢献と経済活動を両立するReFiやKlimaDAOの取り組みには「地球環境の再生に取り組んだ方が金銭的利益を得られる」という、社会の新しい“当たり前”を作れる可能性があるということ。そんな未来が間近に迫っていることを想像するとワクワクします。

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◉KlimaDAOのソリューションを日本で展開するKlimaDAO JAPAN株式会社

ここまでReFiやKlimaDAOについて学んできましたが、F太郎さんが代表を務めるのは「KlimaDAO JAPAN 株式会社（以下、KlimaDAO JAPAN）」。KlimaDAOとの大きな違いは、法人格の有無。KlimaDAOは任意団体であり、法人格がありません。そのため、企業や自治体との契約のほか、サーバーやSaaSツール、銀行口座など、あらゆる契約においてDAOとしてではなく代表者個人として契約することしかできないという活動障壁がありました。そこで、KlimaDAOがもつノウハウをよりグローバルに展開するために、KlimaDAOのコアメンバーが株式会社KCGという法人を設立。さらに、日本に特化して活動するために生まれた法人が、F太郎さんが代表を務めるKlimaDAO JAPANです。法人格の有無以外にもいくつかの違いはあるものの、KlimaDAOとKlimaDAO JAPANは世界に気候変動のソリューションを広めていく協力関係にあります。

<関連>

KlimaDAOとKlimaDAO JAPANの違いと関係性

これまでに2500万t以上のカーボンクレジットをブロックチェーン上で流通させることに成功したKlimaDAOですが、これは世界中で流通するカーボンクレジットの約1〜2%ほど。「まだまだこれからです」と、F太郎さん。

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KlimaDAOはオフチェーンで発行されたカーボンクレジットのトークン化と流通を担いますが、カーボンクレジットの創出からオンチェーンでできた方が信頼性が担保されるため、ReFiの中にはオラクルを利用してカーボンクレジットの創出から流通までを担うプロジェクト（例：Coorest）も生まれてきており、今後少しずつ影響力を増していきそうな予感です。

なはれでは「ローとハイな技術・文化を組み合わせる」を2023年度のテーマに掲げましたが、現実世界で取引されていたカーボンクレジットをブロックチェーンという仮想空間に移して流通させる方法や、そこにある課題と展望は気になるところです。従来のやり方では、まずオフチェーン（ブロックチェーンを介さないデータ処理のこと）で発行されたカーボンクレジットをリタイア（権利を使うこと）し、トークンにメタデータとして紐付けて発行されたデジタルカーボンクレジットをオンチェーン（ブロックチェーンを介したデータ処理のこと）で売買するという方法をとっています。

しかし、オフチェーンでリタイアされたカーボンクレジットがオンチェーンでは生きており、さらにオンチェーンでリタイアすることもできるので、オフチェーン上の帳簿と合わなくなるという課題が生じます。

上記の課題を踏まえてKlimaDAO JAPANが新たに取り組もうとしているのが、オフチェーン上のカーボンクレジットをKlimaDAO JAPANのJクレジット口座で一度受け取り、その情報をもとにKlimaDAO JAPANがオンチェーン上でトークンを発行・流通させるという方法。オンチェーン化する際に、オフチェーンで発行されたクレジットをリタイアさせる必要がなくなるので、従来の課題であった帳簿が合わない点を解決できます。一方で、KlimaDAO JAPANがトラストポイント（信頼される必要がある第三者機関）になるため、データの信頼性・透明性が一部損なわれてしまうという新たな課題も生じます。業界全体として、利点と課題のバランスを探っている段階です。

<関連>

・RWA（Real World Asset）, オラクル問題

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ブロックチェーン技術と掛け算することで広がる、地球環境の再生。

今までになかった新しい社会の変え方が、もう目の前まで迫っています。

【要約（ChatGPT 3.5を使用）】

F太郎さんは2017年ごろからクリプト（暗号資産）の世界で投資を始め、一大ブームを経験したものの、2018年には暗号資産市場が大きく下落しました（クリプトウィンター）。その後、投機だけでなく社会貢献も目指すべきという考えが広まり、F太郎さんは「ReFi」に参加。これはブロックチェーン技術を用いた再生金融システムで、地球環境の改善を目指しています。F太郎さんは特に「KlimaDAO」で活動し、温室効果ガスの削減をカーボンクレジットとして取引可能にし、金銭的利益と社会貢献の両立を実現しています。

【関連リンク】

・Web3.0

・ReFi

・DeFi

・KlimaDAO

・$KLIMA

・株式会社KCG

・カーボンクレジット

・Coorest