自己開示
特に見返りを期待することもなく、自分のことをありのままに相手に打ち明けようとする行為
特定の印象を持たせるために本来の自分とは違う姿を伝えること
区別が難しい場合もある(自己開示の社会的コントロールの機能)
自分が考えていること、感じていることを他者に話すことは、それ自体がカタルシスをもたらす また、感情表出は、口頭ではなく筆記による自己開示も有効
自己開示をすることは、自らの考えや感情が明確化し、自分に対する理解が深まるといった効果があることも知られている
自己開示には開示する相手が存在するため、他者を意識することによって、自覚状態を経験する
そのため曖昧な自己を嫌い、自己の態度が明確化される 他者に対面で自己開示を行うとき、多くの場合、相手から開示内容に対して何らかのフィードバックを受ける
それにより、自らの考えや感情の妥当性を評価することができる
関係性の発展
ここまでに示した機能は自己開示をする側の効用だったが、自己開示は開示の対象に選ばれた相手にも効用をもたらす
開示相手に選ばれた者は、自分が開示者にとって特別な存在であること、好意や信頼の対象であることが暗に示されるから
自己開示を受けた者には、自分も自己開示をすることで、それに応えるといった返報性が見られる(後述) 社会的コントロール
自己開示は、他者が自分に対して抱く印象や、他者との関係性をコントロールするために戦略的に用いられることもある
相手に開示する内容を調節したり、開示する相手を調節するといったことが行われる
ただし、このようなタイプの自己開示は、あとから説明する自己呈示との区別が難しい 自己開示は開示を受けた相手にとっても利益となるため
2-2. 自己開示の返報性
他者から何らかの恩義、恩恵を受けたら、そのお返しをしなければならないという、暗黙の社会規範(→5. 態度と説得) 社会的動物である人間が他者との関係を持続させるには、互いの損益にバランスが取れている必要がある そうでなければ、次第に不公平感が募り、関係が解消されてしまう(→8. 対人関係) 既述のように、自己開示は開示を受けた相手にとっても利益となるため、自己開示には返報性が見られる
自己開示が繰り返されると、相手に理解されているという感覚とともに、相手についてもよく理解しているという感覚が得られるため、両者の関係は親密化していく
このような関係性の進展は、さらなる自己開示を促す
自己開示の返報性は、単に自己開示には自己開示で応えるというだけでなく、自己開示の広さ(範囲)や深さ(程度)にも釣り合いがとられる
関係性の伸展に伴って、徐々に広く、深くなっていく
したがって関係初期に行われる自己開示は、その内容、程度ともに他愛もないものとなるのが一般的
こうした暗黙の規範に反して、会って間もない他者に、いきなりごく個人的な悩み話を打ち明けると、打ち明けられた側は、返報性によって同程度に個人的な話をすることを求められているように感じられるため、それを嫌って、むしろ関係性が断ち切られることもある