トランスポゾン
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転移機序
沿革
ゲノムプロジェクトの進行により、ヒトやマウスのゲノムにおいてタンパク質をコードする領域は 1% 以下であり、残りの 40% 以上はトランスポゾンが占めていることがわかってきた。LINE と呼ばれるレトロポゾンはヒトゲノムの20%を占めていることも報告されている。脊椎動物の遺伝子は互いに相同性を共有するものが多いため、遺伝子以外の領域で多様性を生み出しているこれらのトランスポゾンが種分化において重要な役割を担っていることが示唆されてきている。 具体例
ショウジョウバエにおけるトランスポゾンはP因子が有名。P因子はわずか50年程前に水平移動により自然界のショウジョウバエに持ち込まれたと考えられている。それまでに野外から採集されていた多くの系統はP因子を持たない。以前から研究室で維持されていた系統と、野外から採集してきた系統とを交配させると、高頻度で不妊を引き起こす雑種発育不全 (Hybrid dysgenesis) と呼ばれる現象が生じ、この原因として発見された。このように新たにゲノムに導入されたトランスポゾンは高頻度の転移を起こし、ゲノムを改変してしまうことが知られている。現在P因子は人為的に改変され、遺伝子導入のベクターとして用いられている。また、逆向き反復配列もである。