第二同型定理
第二同型定理
$ H,Nを群$ Gの部分群で、$ N\triangleleft Gとする
このとき以下の3つが成り立つ
(1)$ HN:=\{hn|h\in H,n\in N\}は、$ Gの部分群 また、$ HN=NHである
(2)$ N\triangleleft HN, H\cap N\triangleleft H
(3)$ H/{H\cap N}\cong {HN}/N
括りがわかりにくいのでtex表記参照mrsekut.icon
ここの同型が重要
補足
「$ N\triangleleft G」は正規部分群 (3)のために、(1)(2)で準備している、という風に読める
(3)の$ HNってどんな群?→(1)で定義
$ \diamondsuit/\clubsuitの形をしている時、$ \clubsuit\triangleleft\diamondsuitであるということを言っておきたい→(2)で示す
ざっくりイメージ
https://gyazo.com/8a48e85ebc1e30a50367f4824d45a380
ちなみに、図を見ても分かる通り一般に$ H\cup N\sub HNとなる
$ H1_Nと$ 1_HNだけで、$ H\cup Nになり、それ以外の元もあるので
証明
(1)
目的
部分群であることを示すために以下の3つを示せばいい
単位元について$ 1_{HN}\in G
逆元について$ {nh}^{-1}\in G
積が閉じている$ n_1h_1n_2h_2\in NH
単位元について
$ 1_G\in N,Hなので、$ 1_G=1_G1_G\in NH
逆元について
$ {hn}^{-1}=n^{-1}h^{-1}\in Nh^{-1}=h^{-1}N\sub HN
補足
左から右に一つずつ読んでいけばいいmrsekut.icon
2つ目の=: $ Nが正規部分群より
積について
$ (h_1n_1)(h_2n_2)\in h_1Nh_2N=h_1h_2NN\sub HN
補足
左から右に一つずつ読んでいけばいいmrsekut.icon
∈: $ h_1n_1\in h_1Nなどからわかる
=: $ Nが正規部分群なので$ Nh_2=h_2Nが成り立つ
⊂: $ h_1h_2\in Hなどからわかる
また、$ h\in Hなら、$ hN=Nhなので、$ NH=HN
(2)
目的
$ \forall x\in HN, \forall n\in Nについて、$ x^{-1}nx\in HNを示せばいい
$ \forall x\in H\cap N, \forall h\in Hについて、$ h^{-1}nh\in H\cap Nを示せばいい
つまり$ h^{-1}nh\in Hかつ、$ h^{-1}nh\in Nを示せばいい
$ \forall x\in HN, \forall n\in Nについて、$ x^{-1}nxを考える
(1)より、$ HN\le Gなので$ x\in G
よって、$ N\triangleleft Gより$ x^{-1}nx\in N
故に$ N\triangleleft HN
$ \forall x\in H\cap N, \forall h\in Hについて、$ h^{-1}nhを考える
$ \forall x\in H\cap N, \forall h\in Hの条件から$ h^{-1}nh\in Hは自明
また、$ x\in Nなので、$ h^{-1}nh\in N
$ \because N\triangleleft G
ゆえに$ H\cap N\triangleleft H
(3)
目的
写像$ \varphi: H\to {HN}/Nが全射準同型であることを示す
準同型であること
全射であること
$ \mathrm{Ker}(\varphi)=H\cap Nであることを示す
ここまでくれば準同型定理を使って$ H/{H\cap N}\cong {HN}/Nが言える
まず2つの準同型写像を考える
$ f: H\ni h \mapsto h1_N\in HN
$ g: HN\ni h\mapsto hnN=hN\in HN/N
これは自然な準同型写像
この2つの準同型の合成した準同型写像を得る
$ \varphi: g\circ f: H\ni h\mapsto hN\in HN/N
次にこの$ \varphiが全射であることを確認する
$ HN/Nの任意の元は$ hnNという形をしている
$ hnN=hN=\varphi(h)
よって全射
故に$ \mathrm{Im}(\varphi)=HN/N
次に$ \mathrm{Ker}(\varphi)を考える
$ \mathrm{Ker}(\varphi)=\{h\in H| \varphi(h)=hN=N\}
$ Nは$ HN/Nの単位元mrsekut.icon
$ = \{h\in H|hN=N\}
∵$ \varphiの定義
$ = \{h\in H|h\in N\}
$ =H\cap N
よって$ \mathrm{Ker}(\varphi)=H\cap N
以上より、$ \varphiについて準同型定理を用いれば$ H/{H\cap N}\cong {HN}/Nが言える https://gyazo.com/e1c35401ff9bf2a19a55158d4aed8817
参考
証明が簡素すぎる