原始多項式
primitive polynomial
素体$ \mathbb{F}_p 上既約な$ h 次多項式$ f(x)\in\mathbb{F}_p[x] は、 $ f(x)=0の解の一つである$ \alphaが$ \mathbb{F}_{p^h}の原始元のとき、 $ f(x)を$ \mathbb{F_p}上の原始多項式という
わかりにくい....mrsekut.icon*2
乗法位数$ |\alpha|=p^h-1がなりたつ
例. $ f(x)=x^2+2x+2が$ \mathbb{F_3}上の原始多項式であることを示す
つまり、$ f(x)=0の解の一つである$ \alphaが、$ \mathbb{F}_{3^2}の原始元なら題意を満たす だから$ \alphaが$ \mathbb{F_9}の原始元であることを示せばいい
ということは、$ \alpha^{9-1}の時に初めて1になればいい
$ f(x)は既約
定義的に一応確認しておく必要があるmrsekut.icon
$ f(\alpha)=0 とする
$ \Rightarrow \alpha^2=\alpha+1
これから、$ \alpha^3, \alpha^4,..と調べていくと$ \alpha^8のとき、初めて1になる
故に$ |\alpha|=3^2-1
よって$ f(x)は原始多項式
定理
$ f(\alpha)=0 \Leftrightarrow f^{*}\left(\alpha^{-1}\right)=0が成り立つ
補足
定理23.2
$ f(x)\in\mathbb{F}_p[x] に対して、$ f(\alpha)=0\Rightarrow f(\alpha^p)=f(\alpha)^p=0
例
$ p= 2,h= 3のとき、
$ \prod_{a\in\mathbb{F}_8}(x-a) =x^8-x=x(x+ 1)(x^3+x+ 1)(x^3+x^2+ 1)
$ f_1(x) =x^3+x+ 1で、$ f_1(\alpha)=0
$ f_2(x) =x^3+x^2+ 1
とすると、$ \alpha^3+\alpha+ 1 = 0と$ 1 + 1 = 0より
$ \alpha^3=\alpha+ 1
$ \alpha^4=\alpha^2+\alpha
$ \alpha^5=\alpha^3+\alpha^2=\alpha^2+\alpha+ 1
$ \alpha^6=\alpha^3+\alpha^2+\alpha=\alpha^2+ 1
$ \alpha^7=\alpha^3+\alpha= 1
$ \therefore |\alpha|=7=p^h-1より$ f_1は原始多項式
$ f^\ast_1=f_2より、$ f_2も原始多項式
$ \alpha^p=\alpha^2, (\alpha^2)^p=\alpha^4と定理23.2より、
$ f_1(\alpha) = 0\Rightarrow f_1(\alpha^2) =f_1(\alpha^4) = 0
$ \therefore f_1(x) = (x-\alpha)(x-\alpha^2)(x-\alpha^4)
$ f_2=f^\ast_1より、$ f_2(\alpha^{-1}) = 0が分かる
ここで$ \alpha^{-1}=\alpha^{-1}\alpha^7=\alpha^6
$ (\alpha^6)^2=\alpha^5
$ (\alpha^5)^2=\alpha^3
なので$ f_2(x) = (x-\alpha^6)(x-\alpha^5)(x-\alpha^3)
以上により、
$ f_1は$ \alpha, \alpha^2, \alpha^4の$ \mathbb{F}_2上の最小多項式($ \alpha^2と$ \alpha^4はの共役根) $ f_2は$ \alpha^3, \alpha^5, \alpha^6の$ \mathbb{F}_2上の最小多項式である。
$ \mathbb{F}_q上の$ h次多項式$ fについて考える時に
既約多項式を考えるときは、$ xの取りうる選択肢は$ 0,1,\cdots,q-1だけだったのに、 原始多項式を考える時は$ xの取りうる選択肢は$ 0,1,\cdots,p^h-1になるの? 考え方としてそうなだけで別に$ xには何を入れても良いのかmrsekut.icon
関連
もう一つの「原始多項式」
「原始多項式」が指すものは2つある
このノートに書かれているのは体論の原始多項式
もう一つは、環論の原始多項式
係数の最大公約数が1になる多項式
高校数学にも出てくる