ラッセルのパラドックス
1991年
素朴集合論におけるパラドックス
Bertrand Russellがフレーゲの第5法則に対し、この法則が採用すると、フレーゲの論理体系に矛盾が生じる、との指摘をした
wikiによると、
フレーゲの第5法則に訴えずとも、(ソレ以前の)ヒュームの原理にも矛盾を生む自然数論が導出可能であったらしい
ラッセルのパラドックスを解消するために型理論が考案された
カントールのパラドックスの研究の延長で見つけたらしい ref 『集合とはなにか』.icon p.88-
Russellの指摘の内容
「ある概念$ Fが存在して、$ xは$ Fの外延であるが、$ xは$ Fではない」
という概念を$ R
その外延を$ rとする
ここで、$ rは以下のどちらであるかを考える
$ Rである
$ Rではない
$ rが$ Rだとすると
$ Rの定義より、ある概念$ Fが存在して、$ rは$ Fの外延であるが、$ rは$ Fではない
ここで、フレーゲの第5法則より、ちょうど同じ対象がFとRを満たす。
よって、$ rは$ Fではなかったので、$ rは$ Rではない
$ rが$ Rでないとすると
ある概念$ F(つまり$ R)が存在して、$ rは$ Fの外延であるが、$ rは$ Fではない
そこで、$ rは$ Rである
いずれにせよ、矛盾
集合論で表現(こちらの方がわかりやすい)
$ R=\{x∣x\notin x\} という集合を考える
つまり$ Rは,「「自分自身を要素として含まない集合」全体の集合」
この$ Rは以下のどちらであるかを考える
自分自身を含む
自分自身を含まない
含む($ R\in R)と仮定すると
$ Rの定義より$ R∉Rであるはずなので矛盾
含まない($ R\notin R)と仮定すると
$ Rの定義より$ R∈Rとなるはずなので矛盾
いずれにせよ、矛盾
パラドックスが生まれるワケ
そもそもフレーゲがやろうとしていたことは論理主義の前段階(?)のようなこと
つまり、論理学の言葉で、数学を説明しようという試みに取り組んでいた
そこを突き詰めていくとこのパラドックスにぶつかった
故にパラドックスが生まれるのは以下のどちらかだと考えられる
フレーゲの第5法則に問題がある
Friedrich Ludwig Gottlob Frege自身はこちらに注目
論理の側に問題がある
Bertrand Russellはこちらに注目
ここから型理論の考案に繋がる ref 型理論の歴史#5eb7b7421982700000038df0
上のパラドックスの導出は悪循環原理に違反している
$ Rの定義が非可述的になっている
つまり上の導出の$ xの取りうる値の中に$ Rが含まれてはならない
参考
『論理の哲学』 6章
Russelの指摘に至るまでの話などが紹介されている
ラッセルのパラドックスと特性関数 : tnomuraのブログ
特性関数として集合を見て、パラドックスの出現を観察する
https://tnomura9.exblog.jp/28123124/
有向グラフとして集合を見る
https://ryota-ka.hatenablog.com/entry/2018/10/13/193343
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/24335/1/%E4%B9%85%E6%9C%A8%E7%94%B0%E6%9C%80%E7%B5%82%E7%A8%BF.pdf
ラッセルの記述の理論とタイプ理論の関係について
https://tnomura9.exblog.jp/26167871/
https://tnomura9.exblog.jp/27320723/
https://tnomura9.exblog.jp/27858239/
https://tnomura9.exblog.jp/22208774/
https://tnomura9.exblog.jp/21916880/
https://blog.kokuyouwind.com/archives/1347/