『ふだんづかいの倫理学』
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かなり砕けた文章なのでサクサク読める
倫理学とは何かという説明がある
その上で倫理というものを分類していく
例えば、攻めの倫理/守りの倫理
こうした分類をしながら、普段の生活における倫理がどこに当てはまるかを見ていく
具体例が豊富
カントの正義とか、功利主義とかよく知られたものを分類したり、
愛とか、企業とか、医療とか、より身近なものにおける倫理を分類したり、
デスノートとか、ライアーゲームのような漫画や映画を題材にして分類したり
一つ一つの分類の中身はもっと深堀りできそうな気はするが、
こうして大枠的に整理されると、確かに「ふだんづかい」できる気がする
自分が人生において大事にしているものは何に由来するのか
この人とこの人の意見の食い違いは何に由来するのか
そういったことを整理された目で見えるようになる
終章で全体のまとめの表が載っている
table:倫理の基本とパターン
領域 基本原理 攻め or 守り パターン 具体例 書いている場所
個人 自由 守り 消極的自由 プライバシー、愚行権 8,9章 攻め 超義務 自己犠牲、無償の愛 21章
このように、大きな視点で整理されているので役に立つ
こうしてみると、今の自分の思想が、以下の3つに大きく偏っていることに気付いた
主軸にあるのが積極的自由
それを取り巻くものとして、横の相補愛、横の共同愛
これらを重視しすぎているあまり、他の部分が蔑ろにされている
より世界を広く見るための一助になる気がする
パート0 倫理学とは何か
第1章 倫理とは何か
倫理とは
第2章 倫理学とは何か
この章おもしろいmrsekut.icon
インターミッション1 倫理の三つの領域
第3章 倫理の三つの領域
倫理は、他の人との関係
カントの基本原理は、「嘘は絶対についてはだめ」というもの
パート1 社会の倫理:正義
第4章 正義の正体
重い罪には、重い罰
軽い罪には、軽い罰
罪の重さに関わらず殺している
全部1人の判断で決めている
目的のために、罪のない恋人や捜査員も殺している
第5章 正義を洗う
強さと正義を混同してはいけない
第6章 正義のパターン
第7章 個人と社会
時代によって権利が広がってきた
e.g. 奴隷は昔は権利がなかったが、今は人間全員に権利がある
パート2 個人の倫理:自由
自由とはなにか
第8章 二種類の自由
2種類の自由
自分を目指しての自由
他の人や社会からの自由
自分
よくわからないもの
自分探ししないと見つからないようなもの
自我
「自分の素」のようなもの
反抗期などに生じる
自立
自分一人で何とか生きれるぐらい
単に生きる
自律
自分で、よく生きる
自由
第9章 自律と幸福
よく生きるの、
必要条件は、正義と消極的自由
十分条件は、幸福
幸福とはなにか
アリストテレス的には「学問をすること」らしい
医療技術の発達による延命措置と、よく生きること
この章の内容は既に考えたことがあったのであまり発見がなかったmrsekut.icon
第10章 運命と出会い
幸福の定義は自分で決めるもの
パート3 身近な関係の倫理:愛
愛はどうあるのが望ましいか
以下を却下する
愛=セックス
親、郷土愛などが当てはまらない
恋愛中心
同上
愛=感情
心理の話ではなく、倫理の話
感情は不安定なので議論しづらい
第12章 恋愛と友情
この章、全体的に解像度が低い気もするが、ヒントになる部分も多いmrsekut.icon
男女間に友情は成り立つか?
雑な、恋愛/友情の区別をしているmrsekut.icon
例外もあるとは書いているが、この方向で話が進む
愛する人は一人だけ?
この部分は、疑う余地なく1人だけであることで話が進むことが気になるが、あまり重要そうではないので別に良いmrsekut.icon
愛は一方向ではいけない
e.g. ストーカーはアウト
双方向でないといけない
そうなのか?mrsekut.icon
推しとかアイドルとかって一方向の愛じゃないのか
愛は外からわからない
第13章 愛のパターン
家族の中にはいろいろ含まれている
夫婦
横の相補型
親子
縦の相補型
兄弟
共同型
コラム おじさんが大事
斜めの関係
第14章 身近な関係と個人、社会
スポーツは目的が明確
音楽の結果は量として測れない
恋愛はこちらに似ている
恋愛は常に新しい世界を築く
社会と、身近な関係の、関係
親子のような身近な関係には、社会はできるだけ介入しない
インターミッション2 倫理のケーススタディ
第15章 愛や正義の使い方
table:倫理の基本とパターン
領域 基本原理 パターン
縦の相補愛
横の共同愛
縦の共同愛
普段の生活の中の倫理観も上の表のようなパターンのいずれかに分類される
第16章 人生の解釈学
逃げ恥の契約結婚は、どういう愛か?
お金で愛は買えるか?
お金は社会的な制度が絡む関係
愛は個人間の関係
物語の中にある倫理に着目すると面白い
第17章 身近な話題に倫理学はいかが
SNSは横の共同性ベース
愛は2人で育てていくもの
結婚は法的な契約に基づくので社会的な関係という側面も持つ
戦国時代とかの一夫多妻制は、社会的な関係
跡継ぎのためなので
相補的なものではない
この章も面白いmrsekut.icon
パート4 攻めの倫理!
第18章 攻めの倫理、守りの倫理
倫理を2種類に分ける
table:_
積極的 消極的
基本の性格 善さ 正しさ
よく生きるための 十分条件 必要条件
特徴 道徳っぽい。選択肢は多数 規則、法っぽい。二者択一
典型的なパターン 自律、幸福 正義
この本を読むまではいわゆる「倫理」って守りの倫理のみを指すものだとばかり思っていたmrsekut.icon
自分の感覚としては攻めの倫理にバランスが偏っていたので、客観できてよかった
第19章 身近な関係での攻めの倫理
子供を生むことは
大人から見れば攻めの倫理
子供から見れば守りの倫理
ケアする側から見れば攻めの倫理
ケアされる側から見れば守りの倫理
横の相補型は、攻めの倫理
まあそうだよねmrsekut.icon
第20章 社会における攻めの倫理
客観的な価値が定まる場合は功利主義は有効
コラム 宗教と経済の関係
厳密な正義を実現する方法として
第21章 個人における攻めの倫理
4つの自由
他者からの自由
他者への自由
自己への自由
自己からの自由
自己犠牲、無償の愛
法的な義務
しないと罰せられる
e.g. ゴミを道端に捨てるな
努力目標みたいなもの
目指すべき形のような
e.g. 落ちているゴミを拾おう
終章 全体のおさらい
あとがき
付録
付録パート1 倫理学の内と外
倫理学の4分類
ソクラテスから始まる
倫理学に親しい学問について
心理学
経済学、政治学
人類学、社会学
生物学、脳科学
etc.
科学とかの基礎に数学があるのと同じように
↑のような学問の基礎には倫理学がある
付録パート2 倫理学の方法
倫理学をどうやって研究するのか?
道徳的だと思われる様々な価値判断を整理する
付録パート3