自分はなぜ同人誌即売会にサークル参加するのか?
「自分はWebで発表できるのになぜリーチが少ないコミケのようなリアルイベントで同人誌を売るのか?」 次のような疑問がわくが、一旦は上を作業仮説とする
「リアルイベントはWebよりリーチが少ない」は本当?リアルイベントの方が売れる可能性はない?
動機はいろんな種類がある。全てを上げることはできないが、主たるものを分類して考察していく。
同人活動で生計をたてること
しかし、私は当てはまらない。利益/時間で比較した場合、バイトをした方が圧倒的にかせげる。
自分がもし売ることを強く目的にした場合、オリジナルエロのNTR本を作ってFanzaやDLsiteで売ると思う(製作のモチベーションと需要の両方がある分野)
1. 自分の創作物を楽しんでくれるかもしれない人に接点を作りたい
1'. 読み手のリアルな反応が知りたい
2. 元の作品が盛り上がるといいなという思いがある
3. 知人に会える機会
4. まったく別のものに触れる機会
自分の周りのブースはおちついたら回ってみて、何が流行っているのかとか、どういうものがあるのかを楽しんでみている
5. 修羅場が楽しい
7. Webの読み手と物理の読み手が重なっていない可能性(作業仮説に近い)
8. 近隣にネットを通じてしか知らない実在の人がいるワクワク感
以下一つ一つ見ていくが、結論から言えば太字の部分が自分が即売会に参加する理由だ。
2は発表場所がWebでもよいから、即売会に行く理由にはならない。
また、自分の影響力はかなり小さい上に、評価がしづらいので完全にお気持ち以上のものではない(ベースとしてのやる気に関わる)。
二次創作の自己正当化に使える論理だと思う。
3, 4は一般参加でも満たされるはずなのでサークル参加をする大きな理由にはならない
コミケが終わると熱にあてられて絵を描きたくなる。落選した時は何故自分は本を出さないのか?という悔しさが残る。(ただし3日ぐらいでモチベーションが消えることも白状しておく。だからこそモチベーションを最も大事にしている)
1は結構大事に思う。この場合次の疑問が湧く
(目的1)楽しんでくれるかもしれない人に接点を作りたいなら、Webで無償で公開すればいいのでは?
この疑問への回答は難しい。まず、真っ先に反論として思いつくのが金銭面だ。
利益を最大化するのを目的にしなくとも、「バイトの方が圧倒的に稼げるなら、そちらをやったほうがいいのでは?」と迷い(モチベーションの低減)が出てしまうので、ある程度は利益を目的にするという方もいるだろうし、それはそれで健全だと思う
さらに、もしオリジナルで出すならいくら稼いでも誰も文句はいわない
ただし、前述の通り外発的動機は薄いので、説得力にかける。これ以外の回答も考えていく。
楽しんでくれるかもしれない人との接点を具体的に考えていこう。2014年のC86で発行した「しのぶれど」は現地での頒布数は20部だが、後日pixivで無償公開した場合は4965 viewである(2019/08/13時点)。有償公開した場合に比べて約250倍の見られていることになる(5年たっているが、大体当初にみられているはず)。 この数字だけを見れば、1の目的を達成したいのなら、即売会で有償頒布するのではなく、Webに無償で公開するべきという結論になる。(しかし、後述するが、7によって層が被っていないので両方やればいいということになる)
そこで1の欲求をもう少し具体的に捉え直したところ、1'となった。特に試し読みしている方がどういう反応をされるのかがとても気になる。
これはTwitterなどでは「いいね」や「RT」などの代替指標によって反応がわかるものであるが、実際に目の前で反応を見ると、より情報量が多い。
余談:これが担保されればVRでもいいかも?
また、即売会にわざわざきて、うちのような弱小サークル(参考:うちのサークルは二次創作をしている)を見てくださる方はジャンルに対する熱量が高いはずなので、そういうアクティブな人の反応は気になる。SNSでは一つのいいねの裏側に隠れてしまっている部分だ。
一方でSNSの方が反応はしやすいと思う(Twitterでたくさんいいねがあってもそんなに売れるわけではないというのは、この事実を違う側面から見ている)。現実の方がフットワークが重くなりがち。
5は本当だが、なるべく無くしていくべきだろう。
6はかなり大きい。自分は飽き性なので(2年ごとぐらいに活動ジャンルが変わるのでミーハーと言っていいだろう)、締め切りのない創作はゴールのないマラソンのように感じる。もちろん、趣味だからこそ商業ではできないクオリティにすることも可能で、そういう素晴らしいものを作っている方もたくさんいらっしゃる。
7はどうだろうか?これは肌感ではYesだ。コミケの現地だからこそ手に取ってくれている人もいるとは感じる。ただし、本当に私の創作物の潜在的な読み手が、全員Twitterやpixivをやっていて、かつリーチするなら、そこで無償公開してもよいだろう(しかし、全員やっていてリーチできているとは思っていない)。
8は一般参加でも味わえる
ここまででモチベーションの原泉は大体分かった。以降、このモチベーションの上で同人誌の公開形態のあり方を探っていく。
同人誌の公開形態
物理か電子(Web)
無償か有償
で4パターンに分けて議論できるはず。
物理か電子か
好み
私は部屋に荷物を増やしたくないので(オタクとして最悪の食い合わせなんだけどVR始めたらみんなこうなるよ!)電子のほうがいい
買い手の住環境や保持しているデバイス、読書週間や、作り手の作り方によってどちらで買いたいか変わってくるだろう
無償か有償か
この間には大きな壁があるというのは間違いないと感じる
自分の作品に市場価値(魅力)があるか知りたいなら、100円でもお金をいただくべきだと思う
それで買っていただけないなら、0円で公開してもさほど見られないだろう。消費者にとって無償の娯楽はインターネットにはたくさんあるからだ
table:発表場所の例
有償 無償
物理 即売会・委託 即売会
電子 Booth、note、FANBOX、fantia pixiv、ニコニコ漫画、Booth、Twitter
無償配布する場合
物理での無償配布は、すればするだけ損になってしまうので、モチベーションが削がれてしまうため、持続可能性の観点からよくないのでやらないことにしている
自分が石油王なら別
クオリティの問題でお金をいただけるものではないなと判断した場合、無償配布したりすることはあります
Webでの公開は、pixivやドワンゴのお陰でホスティング料金すらかからず、タダでいろんな人に見ていただける。情報の複製コストがタダに近い(本当は無料のものなどないので、回線料などがかかっているのだが)という電子媒体の特性とマッチしている 有償配布の場合
この領域は売上最大を目指す問題になる
どれだけの人にリーチするかが問題で、つまり、物理とWebで見る層がかぶるかどうかが興味ということになる
コミケはそもそも買い手としても熱量のある人が来るかも?
物理とWebでリーチできる層があまり被らないとすると、最善手は全ての販路に出すことだ。つまり即売会でも、Webでも頒布するのが、見てもらえる人の数を最大化するはずだ。
ただし、在庫を抱えたくないという問題がある場合もう少し複雑になる(電子販売を遅らせたりするテクニックがある。このテクニックが期待通りに働くかは未検証)
以上の考察から、同人誌即売会でも、Webでも漫画を頒布する方針をとる。
ではどのように頒布したらよいか?ここで自分の目的は1であることを思い出しつつ、場合わけで考える。
table:場合わけ
即売会で無償 即売会で有償
Webで無償 (パターン1)ペーパー? (パターン2)詳細は下記
Webで有償 (パターン3)存在しない (パターン4)本を売りたいとき
パターン1
ありうる(ペーパーなど)
双方にデメリット無し
パターン2
目的1のため。わたしにデメリット無し
一方、即時公開は即売会で買う側のメリットを損ねてしまう。Webで無料公開されるならそちらで十分という人もいるだろう。そのため、即時公開はしない
落とし所は、充分時間が経った後に無償公開する(いわゆるweb再録)ところだと思う
二次創作の場合は特に、ムーブメントが去っていると機会損失になることはありうるので 公開日時を決めた上でパターン4を併用するのもあり
基素.iconはこの運用
パターン4
普通に物を売るのが目的の形態。パターン2で期間をおいたとしても本を現地で買った人に不利益があると考えてこちらにする人もいるかも?
過去作だけパターン2にする宣伝手法は珍しくない