百合
たまに難問が出るやつ
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何もないただのベンチですら百合になってしまう
百合は見出すものの信仰を表す
柴田 ──まずは百合というジャンルに馴染みのない読者に向けて、どういった傾向の作品を指すのか教えてください。
中村 一言でいうのは非常に難しいのですが、「女性二人の関係を第三者視点で見て感じるもの」でしょうか。
梅澤 そうですね。女性同士ならではの関係性、もしくは片方がもう片方に抱く感情を、第三者視点から読みとるものという傾向があるかなと思います。とはいえ、どういうものを百合と捉えるかは〈百合姫〉の作家さんでも違いますし、読者もそれぞれ「これが百合」という考えを強く持っているので、そのあたりはあまり限定せず、各々の想像力に任せています。
梅澤 百合の歴史でいえば、さかのぼっていくと吉屋信子から続いてきた少女小説の歴史があり、少女漫画のなかでも女性同士の恋愛はひとつのジャンルとしてありました。そうした女性がひそやかに楽しむ流れのなかで少女小説『マリア様がみてる』が生まれました。このころから、女性同士ならではの清らかな関係性に心をつかまれた男性が増えてきたと思います。 柴田 個人的な感覚ですが、二〇〇〇年代中盤から百合作品が増えてきて、ジャンルが認知されてきたと思います。
梅澤 ここ数年は『ラブライブ!』や『艦隊これくしょん』などの百合系の二次創作イラストをツイッターで目にするようになって、そこから妄想の楽しさが広がっているような空気を感じます。 中村 『けいおん!』のころから少しずつそういう傾向があるかなと。 他方、その流れの前身としての百合作品では、二〇〇九年に『ささめきこと』や『青い花』のアニメ化などもありました。 中村 最近だと『citrus』という作品がアニメ化しました。百合をメインテーマにした作品はなかなかアニメにできないところがあったんですけど、ジャンルが認知されたことで男女ともに読者が入ってきてくれました。あと今クール(二〇一八年秋)は『やがて君になる』が放送中ですね。 梅澤 〈電撃大王〉さんの作品ですね。他社から百合をメインテーマにした長期連載でヒット作が出たというのも、ジャンルとして一般的に認知されたということかと。
中村 しかも『やが君』ははっきりと百合を押しだしているので、そう言えるようになったのはすごいことだと思います。
百合とは何かといえば、“女と女の関係” といえば間違いないといえます。 この「関係」とは「恋愛」だけではなく、恋愛をもその中に包み込む非常に大きな“何か” です
感情」の動きをちゃんとやるとフィクションの「解像度」が高まるんです。解像度の上がった百合は「強い」
つまり「人間を描く」ということだと思いますね
架空の“女“は実在しませんが、架空の“女と女“の関係は実在するんですよ
どういうこと?
宮澤 そうですね…本当に何も話したくないのですが……百合が好きな人たちの間には「百合について語るな、百合をやれ」という感覚が共有されていると思うんです。雑に語ると炎上しますし、ここで話したことが意図しない形で広まってほしくもない、もしそうなったら俺はお前たちを斬らねばならん。 最近の百合の動向を追っていない方にとって「百合」といえば、女性と女性の恋愛なのかな? というようなざっくりした認識がほとんどだと思うので、まずはアップデートが必要な古い概念をいくつか共有していきたいと思います
“““女”””
百合の文脈で複数の意味を含有する専門用語
全体的に発話がTwitter的基素.icon
強い百合
虚構でも感情が実在するという立場
弱い百合
感情を生み出す何らかの仕組みを仮定する
他人がどう思ったのかは、想定したその仕組みの出力結果とする
「この文章は悲しいという感情を想起しそうだ」から悲しい
本当の感情が実在するかには興味がない
コンテンツの例
中村 あらゆるものにBLを見出せるファンの感覚は凄いですね。百合はまだそこまでの妄想力はついていない気がしていて、「これが百合だよ」と提示されたものだけを百合として楽しんでいる。...勝手に妄想する力を読者につけてほしいと思ってます(笑)。
梅澤 BLはある程度読者も読み方を訓練されている素地があるのですが、百合は、こういうものが百合だ、という明確な位置づけがなかったのかもしれません。
梅澤 大きな違いは、BLはセックスから始まって恋愛のドラマは後からついてくることも多いんです。百合の場合、もちろん肉体描写を含む作品もありますけど、心がつながってからこそのセックスだったり、もしくは様々な葛藤があったうえで……という過程がしっかり描かれていないと、なかなかエモさを感じたり萌える気持ちにならないのかなという気がしています。百合は感情的な関係性が重要だと思いますね。 柴田 間違いないですね。そう考えると、感情的な関係性を見いだせるあらゆる作品から百合の感覚を鍛えられそうです。 ——いえ、そんな。訓練を積むと百合を感じられるということですね。天井と床でBLができるという話も聞いたことがありますし、そういう。
宮澤 天井と床は、BLの畑では普通に受けいれられると思うんですけど、百合の場合はそういうのはあまり見ない。 コンテンツ
宮澤 プレイヤーはライブハウスの新人スタッフのような地位を与えられているんですけど、作中の物語に絡むことはなくて、25人の女の子同士の関係が変わっていくのをただ見せられる。
すべてに“女と女”の緊張感が満ちていて、死ぬかと思いました。
魂を持ったバーチャルな「人間」が仲良くしているのを、動画配信やSNSで毎日見せられるんです。わかりますか。仮に何も更新がなくても、それはそれで視聴者たちの目の届かない裏で何かしているのではないかと、沈黙自体に意味を感じて追い込まれてしまう……。
剥き出しで提示される生の“感情”を目の当たりにするうちに、キャラとしてのロールプレイと、魂から漏れ出る「素」の区別がどんどんつかなくなって……。
イベント当日にホテルで「お泊り配信」とか言って2人の生活音を聞かせてくることなんてどんなアイドルにもないと思うんですよ!
われわれの観測が対象に影響を与えることへの恐れというか、仲がいい女性と女性が「これは百合だよね」とキャッキャすること自体に、他人の関係を勝手にカテゴライズしてしまったことへの罪悪感があるんですよね。それがバーチャルYouTuberでは露骨になって、みんな言葉を失っていくわけです。
とはいえ、これはごく一部の限界オタクしぐさでしかなく、創作ジャンルとしての百合はまだ発展途上で、今後もどんどん広がっていくと思います。
宮澤 ...観測したくない...観測することで影響を与えたくない...無になりたいですね。
百合SF
54歳の女性と2歳のメスのミズタコの異種間&歳の差百合
最近の百合SFって、かなりディストピア的だったり、ポストアポカリプスな世界で──『少女終末旅行』はまさにそうだと思うんですけど──世界が終わった中で、女の子二人だけがいるというものが多い気がしています。
柴田 書き手の側から言いますと、SFってもともと世界を拡げること、人間が進化していくことを考えて書いてきたんです。ですが、これはワシ個人の感覚であるものの、どこかでそれだけで立ち行かなくなる瞬間があったんです。そこで、人間は世界の中でどう生きていくか、という風に書き方が変わった。個人の関係性にまで焦点を合わせるようになったんです。百合でいえば、「あなたとわたし」という二人の関係性にテーマが行きつきやすくなった。昔「セカイ系」という言葉もありましたけど、人間同士の関係性に落とし込んで、その背景に大きな世界を描く小説の書き方があるなと思っています。 ライトノベル
知人の視点(床屋談義)
人間と人間の関係性を描くのは普遍的なテーマだから、百合以外でも見られる枠組み
救われた人は、通常相手の気持ちを想像できなかったが、百合を介してだけ相手の思考を仮定して想像できたのでは?
もしそうなら、その人にとってはまさに救いだろう
高次脳機能障害の男女比は5:1ぐらいだから(要出典)、この救われは男の方が多いかもしれない
Q. 2人の女が出てきたら百合ですか?
第1回のゲスト様は……まにお先生✨
【5/27(月)21時から】生配信予定です❣️
まにお先生へ質問や伝えたいことなど募集してます!ぜひ下記フォームからお願いします🥰
🔻まにお先生へ質問などこちらから!
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