ファイナンス理論
「ファイナンス理論」 という言葉は、投資や金融に係わる多くの理論の総称です。つまり、「ファイナンス理論」というたった1つの理論があるわけではありません。 そのカバー範囲はとても広いのですが、 大きくは
企業金融 (コーポレート・ファイナンス) に関する理論に分かれます。 主に投資家にとっての最適な投資行動について考えるための「投資理論」と、
投資家からの出資を受けた会社が、最適な資金調達や投資を行うための「企業金融理論(コーポレート・ファイナンス)」の2つに大別されます。
資本市場の先駆的な研究、特にルイ・バシュリエ (Bachelier) (1900) のものは、基本的には理論家からも実務家からも無視された
〜1930s
この初期の時代の経済学者たちの多くにとって、金融市場は相変わらずまともな意味での「市場」ではなく、ただの「カジノ」と思われていた。
というわけで、投機活動(つまり財や資産を後に転売するための購入や一時的販売)についてあれこれ著作が行われることにな
1938 John Burr Williams「資産価格はその資産の「内在的価値 (intrinsic value)」の反映であり、資産から来る継続的な将来の期待配当を割り引いたもので計測できる」
Harry Markowitz「将来についての期待に依存するので、リスクの要素がからんでくるはずで、したがってジョン・フォン・ノイマン とオスカール・モルゲンシュテルン (1944) が新たに開発した期待効用理論がうまいこと使えるはず」 マーコウィッツはリスクとリターンのトレードオフ関係という文脈での最適ポートフォリオ選択理論を組み上げて、リスクを減らす手段としてポートフォリオの分散化という考えに注力した――そしてこれが、現在では「モダンポートフォリオ理論 (Modern Portfolio Theory)」または単純に MPT として知られるものの始まりだった。
最適ポートフォリオ配分の考え方はそれ以前にもケインズ、ヒックス、カルドアが、その貨幣/マネーの理論の中で考えていたことだった。だからジェイムズ・トービン (James Tobin) (1958) が貨幣/マネーをマーコウィッツの理論に追加するのは自然な流れだった。
トービンは要するに、エージェントたちは自分の貯蓄をリスクフリー資産(マネー/貨幣)と、リスクのある資産のたった一つのポートフォリオ(これは万人にとって同じものとなる)とで分散保有する、と論じた。リスクに対する態度のちがいは、マネーとそのリスク資産の唯一のポートフォリオをどう組み合わせるか、というだけの話でしかない、とトービンは結論づけた。
マーコウィッツ/トービン理論は、あまり実用的じゃなかった。具体的に言うと、分散化の便益を算定するためには、実務家たちは資産のあらゆるペアについてリターンの共分散を計算しなきゃいけないことになる。 1965 CAPMの発明し最適ポートフォリオ選択が実際に計算可能になった この理論は、すべての資産と一般的な市場インデックスとの共分散さえ計算すれば同じ結果が得られるよ、ということを示している。必要な計算力は、これで一気に減った(「β」というやつだ)... Richard Roll (1977, 1978) の論文で経験論的に批判を受けることとなった
1973 Robert Mertonが改良版のintertemporal CAPMを提案
1976 Stephen A. RossがCAPM のリスク vs リターンによる論理ではなくArbitrageによる値つけを利用 モジリアニ・ミラーの定理
企業を資産として見れば、二つの企業の資金調達がちがっていても、その生産計画さえ同じなら、両者の市場価格は同じはずだ、というわけ。そうでなければ、そこにはアービトラージ(さや抜き)の機会ができてしまうからだ。 (完全で効率的な資本市場では)生産計画は資金調達計画とは無関係
アーヴィング・フィッシャー (1930) が考案した「分離定理 (Separation Theorem)」