クルーグマン教授の経済入門(1989)
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Paul Krugmanが1989年にワシントン・ポストに「学問的な水準を保ちつつ、一般読者にもわかるようなアメリカ経済の短い本」を依頼されてかいた本 原題:The Age of Diminished Expectations
当時、根本的に暗澹なアメリカ経済に誰も文句を言っていなかった
テーマ:なぜアメリカが経済を改善する努力をしていないのかを説明する(要約:めちゃくちゃ苦痛があるからやってない)
経済学者は知っている基本的なことも説明する
住宅金融の混乱は自由市場の履き違えが原因
状況を説明して、なぜそうなのか解説する本
ぼく個人にとってもこれは経済学と経済の実態とを結びつける重要な本だった。そして多くの人も、本書で「なぜ生産性が上がるかはよくわからない」と率直にクルーグマンが認めてくれたことで、かなり救われたし、その後の本を選ぶ目も変わった。「こうすれば生産性が上がる!」と書いている本を見たら、即座に眉にツバをつけられるから。
80年代アメリカについて書いた本ながら、その根本にある考え方は実に重要。経済学が何をどんなふうに考えるか、それが現実経済の説明にどう使われるか、というのが理解できる。
第一章
経済の良し悪しは3つの要素からなる
ほかの事象は間接的にこれらに影響する
根拠は結構あやふやらしい
財政赤字は国の貯蓄を引き下げ、成長性の足を引っ張るかもしれない 世界のあらゆる国が年に3%成長する、自国だけ1%成長する場合
自国の生活水準はどうなるでしょう?
答えは「1%で成長する」
「海外と比べて競争力が落ちるので成長は止まる/マイナス成長になる」は誤り
問題になるのは自国の輸出品の価格が、輸入品の価格から見て高いか低いか(交易条件) 外国の生産性成長が交易条件を悪くするとは限らない。理由(全部1つのことの言い換え)
外国の成長により競合が増えるが、自国のマーケットが拡大する
外国の競合製品の企業の生産性が上がると、自国の輸入業者の生産性もたぶん上がる
競合製品を作る産業の生産性が上がると、賃金も上がるので価格に反映されて価格差は埋まる
基素.icon 品質 - 価値を考えたときに価値が逓減するようなモデルを仮定している?
ケーススタディ:アメリカの交易条件は70-80年代で15%、80-91年で2%下がった
(石油と農産物は変な動きをするらしいので除外している)
輸入品はGDPの7%なので、15%*7%で年間1% 貿易が国内の生活水準に与える影響は小さい
生活水準は、国内の生産性成長だけでほぼ決まる