悪夢を見るとき
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怖い夢をみているとき、そこからすぐに外へ逃げ出したいという風になるかというと、そうではないことが多いのは、そこが夢だと分からない(まさに現実であると思いこんでいる)からで、もし悪夢を見ている人にオススメしたい作品があるとしたら、悪夢を見ているときに悪夢だと気づいて外へ抜け出せることを助けてくれるような想像力を与えてくれる作品であったりするのかな。 夢を題材にした作品はちらほらあるきがするけど、まさに現実の境界が曖昧になっていくさまを映像化したものが多くて、むしろ怖くなってくるのでパスしたい気になる。『パプリカ』とか。つい最近も関連する作品を数話切りした(『18if』)記憶が。攻殻シリーズの『イノセンス』のリープも怖い。 ループものの作品が、そのループから抜け出すという意味で、夢から覚めた状態に似ているということはあるかもしれない。悪夢が、そのテーマを反復する類のことが多い(たとえばボクなら学校で緑の人間に追い回されて毎回殺される夢をみていた時期があった)というこを踏まえるならばループ物語は参考になるかもしれない。 どんなに過酷な仕打ちを悪夢で受けても死なない、死ねないという意味では、むしろ現実社会のほうが怖いようにおもうことがある。死ねないというのはどんなに無理をしても構わないが、現実社会では、自分の無責任な行動は後になって自身が代償を払うことになることが多いからだ。
現実社会の無理ゲー感、シーシュポスの岩というか、自分で掘った穴を埋めるというか、そういった苦痛に耐えるには、自分がやりたいことや、なりたいことを諦めて、そんな自分を受け入れてしまえばいいのではないか。そういう意味で、自己肯定感を高めてくれそうな作品群が推奨されるかもしれない。
そもそも現実が悪夢のように過酷なのだから、それが夢に反映されて悪夢をみている可能性も高くて、せめて現実社会で意識しているときには楽しい思いができたらいいなと思うので、なろう小説のような俺TUEEE的展開やハーレム展開などのご都合主義的な展開で、補完できるメンタリティの人ならそれに触れてみるというのも手だが、むしろ逆に貴重な時間を捨ててしまったと思ってしまう人も多いらしいです。 過去の自分を失うことの恐怖というものを描く作品がある(たとえば『ゴールデンタイム』)一方で、悪夢においては過去の自分が存在しないまま(正確にいうと現実社会の自分の設定が改変されたまま、それをまったく意識せず)、物語が続くことがあって、自分を巡る葛藤が存在しないのは面白い。 恐ろしいことに対して、自分の心の世界にそれが居付いてしまう人がいて、それをトラウマと呼ぶことが多い。悪夢もまさにそれが心の世界におけるあり方ゆえに、想像力豊かな創造が可能であるが、一方で自分がこわいと思っていることを何度も反復してしまう世界でもある。 大切な他者を失うことで、そのときから時間が止まってしまう人がいる。その人にとっては今、生きている人生そのものが悪夢となってしまっている。そういった物語は、夢の中だろうが、現実社会だろうが、意図せずしてハマってしまうものであり、そういう意識せずにハマってしまう物語を、新しい物語で補完するというタイプの話があって、ゴースト・ストーリーなどと呼ばれる作品群もそれに当たるだろう。例えば『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などはオススメできるかもしれない。 悪夢が予知夢であるというタイプの話もある。
夢の中の時間が、現実社会とのそれと違うという話は、古典の『胡蝶の夢』を思い出させる。今期アニメの『ソードアート・オンライン アリシゼーション編』を観るのもいいかも。 アイデア大全の技法に夢見というのがあって、起きたらすぐにメモして写真にとってScrapboxになげてアイデアの源にするというのは悪夢を自分の糧として付き合う意味で、自分のなかで今日も不可思議なホラー体験できてよかったなあとか思えるようになるかもしれない(ならない)。