スクラムの作成物
具体的には3つの「作成物」がある。それぞれの作成物はコミットメントを含める(用意する必要がある)。
辞書には「人工物 、成果物、加工品」などがあるけど、どれもしっくりこなかった。なかでも「成果物」にするのは絶対によくなくて、たとえばプロダクトバックログなんか別に成果ちゃうやろ!と思っていたのだ。そんなとき、翻訳レビューアの守田さん(だったと記憶してるけど)が「作成物はどう?」って言ってくれたので、即採用したのだった。
スプリントで「つくるもの」は日本語の「(最終)成果物」に相当するものではない、というのがポイント。作成物はソフトウェア(インクリメント)に限らず、コミットメントも含めて同列に(同じレベル)扱えると健全。
作成物
スクラムの作成物は、作業や価値を表している。これらは重要な情報の透明性を最大化できるように設計されている。作成物を検査する人が、適応するときと同じ基準を持っている
Scrum’s artifacts represent work or value. They are designed to maximize transparency of key information. Thus, everyone inspecting them has the same basis for adaptation.
作成物自体はwork(作業)やvalue(価値)なので、成果物(アウトプット)やそのフォーマットはチームにお任せ、ということ
それぞれの目的は「重要な情報の透明性の最大化」なので、その実現に寄与しているかを点検するとよい
重要な情報の透明性を最大化できると、
作成物を「検査」する人は全員、
「適応」(現状に合わせて自分たちを変化させる)ための判断基準が揃うことになる
コミットメント
各作成物には、透明性と集中を高める情報を提供する「確約(コミットメント)」が含まれている。これにより進捗を測定できる。
Each artifact contains a commitment to ensure it provides information that enhances transparency and focus against which progress can be measured:
「進捗」というギョーカイ用語に惑わされないように注意(要は「進捗」ではあるのだけれど)
ゴールや「完成」向けて進んでいることの判断基準になっているかがキモ
そのために、スクラムの理屈としては透明性とフォーカスを高める情報をきちんと提供すること、となっている
透明である: 理解しやすい、根拠が明瞭
フォーカス: 焦点が定まっている
これらの確約は、スクラムチームとステークホルダーの経験主義とスクラムの価値基準を強化するために存在する。
These commitments exist to reinforce empiricism and the Scrum values for the Scrum Team and their stakeholders.
アウトプットとしてどのようなものを用意すべきかという議論はスクラムガイドには無いので、点検基準は「スクラムに資するか」ということになる(困ったね)
手がかりは、このコミットメントは「スクラムの経験主義と、スクラムの価値基準を強化するもになっているか?」となる