可換環の素イデアルの剰余環は整域
#イデアルと剰余環の関係
定理
単位的可換環$ Rとそのイデアル$ Iについて
$ Iが素イデアルであることと、剰余環$ R/Iが整域であることは同値
証明
$ \Leftarrow)剰余環$ R/Iを整域であると仮定し、$ Iが素イデアルであることを示す
任意の$ a, b \in Rについて、$ ab \in Iならば$ a \in Iか$ b \in Iであることを示せば良い
$ ab \in Iなので、$ (a+I)(b+I) = ab+I = 0+I
$ R/Iが整域なので、$ a+I = 0+Iか$ b+I = 0+Iである
つまり、$ a \in Iであるか$ b \in Iである
$ \Rightarrow)$ Iを素イデアルとか停止、$ R/Iが整域であることを示す
$ R/Iが零因子を持たないことを示せば良い
任意のイデアルに対して、$ R/Iは可換環
$ R/Iが零因子を持つと仮定する
$ (a+I)(b+I) = 0 + I
このとき$ (a+I)(b+I) = ab+I = 0+Iなので、$ ab \in Iである
$ Iを素イデアルと仮定したので、$ a \in I or $ b \in I
よって、$ a+I = 0+Iであるか$ b+I = 0+I
証明のイメージ
イデアルの世界と剰余環の世界を入れ替えながら証明してくイメージ
根本的な対応関係
イデアルの世界:$ a \in I
剰余環の世界:$ a+I = 0+I
証明の全体図
素イデアルの条件:$ a \in I or $ b \in I $ \leftrightarrow $ ab \in I
整域の条件:$ a + I = 0+I or $ b + I = 0+I $ \leftrightarrow $ (a+I)(b+I) = 0+I